ご購入は下記電子書店で
最新号 vol.103 2022/8
Index
軍拡は破滅の道 サンプルあり
ロシアの戦争で迷路に サンプルあり
事情異なるNATOと日米安保
中立志向と連動
破局的惨事のリスク サンプルあり
安倍氏が礎築く
議会襲撃で分断深まる中
物価上昇・円安で副作用
サウジ訪問で同盟強化へ布石
日本の力量問われるTICAD
スコットランドで独立論に勢い
「徴用工」進展なく
バックナンバーを含め電子書店でお求めになれます
ロシアのウクライナ侵攻を受け核軍縮は厳しい状況にある。核兵器禁止条約の第1回締約国会議の評価や核廃絶に向けた課題などについて、長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授の中村桂子氏に聞いた。(聞き手=時事通信社解説委員 高橋浩之) 2条約は車の両輪 ―6月にウィーンで開催された核兵器禁止条約の第1回締約国会議でどのような成果があったと見ていますか。 中村桂子氏 今回の会議には、ウクライナ危機の中にあって核廃絶に向けた強い政治的メッセージを出すことと、条約を実行するロードマップの第1歩を踏み出すこと、という二つの役割がありました。政治宣言と行動計画をまとめ、きっちりと仕事をこなせたと思います。 政治宣言の方では、ロシアを名指ししてはいませんが、核兵器の使用や、使用の威嚇が明確に(続)
中村 桂子 (なかむら・けいこ)
長崎大学核兵器廃絶研究センター准教授
2月24日のウクライナ侵攻をきっかけに対ロシア制裁が強化される中、ロシアはイラン核合意再建に向け高まっていたモメンタムを崩壊させた。イランと国際原子力機関(IAEA)が今後のロードマップに合意し、核合意再建に弾みがついたまさにその時、ロシアは米国に対し新たな要求を突き付け、「核合意再建によりロシアが得られるはずの利益を米国の対ロシア制裁が阻害しない」との保証を求めたのである。 2018年にトランプ米大統領がイランとの核合意の破棄を宣言し、最大限の圧力の名の下に対イラン制裁を大幅に強化して以降、イランのハメネイ最高指導者は、米国とは「戦争も、交渉もしない」という大方針を掲げ、最大限の圧力に対抗するイランの「最大限の抵抗」を率いてきた。核合意の再建を掲げるバイデン政権が発足して以降も(続)
坂梨 祥 (さかなし・さち)
日本エネルギー経済研究所中東研究センター副センター長
ウクライナに侵攻したロシア軍は、ザポリージャ(ザポロジエ)原発を攻撃し、かつて大事故のあったチョルノービリ(チェルノブイリ)原発を占拠するなど、原発を標的とした。国内に多くの原発を抱える日本にとって、看過できない深刻な事態だ。原発が外敵から攻撃を受けたり、制御権を奪われたりした場合、どのようなリスクがあるのか、また、リスクを低減させるにはどうすればいいのか、科学的な視点から考えてみたい。 建屋はミサイルに耐えられず 原発が本格的にミサイルなどの武力攻撃を受けたら、まず建屋などの構造物が耐えられないだろう。日本の原発の構造物は意外と壁や屋根が薄く、小型の航空機が衝突することすら防護設計の対象にされていないからだ。この点からすると、ドイツやフランス、イギリスにある新型の原発の方が (続)
上澤 千尋 (かみさわ・ちひろ)
原子力資料情報室スタッフ