早読み行政誌

人口減少、ドイツの処方せん(11月9日〜13日号)

地方行政

【11月9日号】 「関西3空港問題解決に向けた提案(中)」は、関空、伊丹、神戸の3空港について、利便性(空港へのアクセスなど)や外部経済効果(空港が地域や周辺に与える影響)を基に評価した。結論から言うと、利便性は所要時間、料金ともに伊丹が優れ、次が神戸で、関空は最も低い。外部経済効果は関空が大きく、伊丹はまずまず。そして神戸は極めて小さい。この評価から見ると、神戸はいわゆるローカル空港の一つでしかなく、「3空港問題」といわれてきたものの、「実際には伊丹と関空の2空港のあり方が課題の本質」ということになるようだ。

【11月12日号】 国と地方の財政関係の特徴を分析した功績などで紫綬褒章を受章した神野直彦関西学院大教授のインタビュー記事が、12日号に掲載された。鳩山由紀夫首相が所信表明演説で述べた「人間のための経済への転換」など、神野教授の思想は政権の基本理念にも影響を与えている。この中で、政府が目指す「ひも付き補助金の一括交付金化」については、「地方に特定財源として仕送りしているお金を一般財源化するだけでは限界がある」と主張。「住民がその規模を含めて決定できる自主財源に変えていくことを明確にしてもらわなければ」と注文を付けている。

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内外教育

【11月10日号】 社団法人国立大学協会はこのほど、「教育費負担の在り方と国立大学の授業料」をテーマとするシンポジウムを東京都内で開催した。国立大学の授業料はこの30年間に14倍増となり、私立大学との差もその間に5倍から1.6倍まで縮小した。そうした中でも、大学は幅広い所得層の学生を受け入れており、国立大学の学生の6割は3大都市圏以外の地域で勉強しているという実態もある。シンポジウムでは、深刻な社会経済状況の中で学生や保護者の不安がこれまでにもなく増しているとの認識の下、授業料減免措置の拡充や給付型奨学金制度の創設などのため、公財政支出を増やすべきだといった声が相次いだ。教育費負担の軽減は、教育機会均等化や少子化の対策として大きな意味があるといった意見もあった。

【11月13日号】 ベネッセコーポレーション(本社岡山市)のシンクタンク「ベネッセ教育研究開発センター」はこのほど、子供の学校外教育活動と家庭の経済状況などとの関係を調べた「学校外教育活動に関する調査」の結果をまとめた。それによると、年収の多い家庭の子供ほど、スポーツや芸術などの活動により多く参加していることが分かった。既に文部科学省の委託研究の結果などから、年収の多い家庭の子供ほど学力が高いことが明らかになっているが、勉強だけでなく、スポーツや芸術の分野でも家庭の経済力による格差が広がりつつある。その一方で、中学生以上の子供のスポーツや芸術面で、学校の部活動が大きな役割を果たしていることも分かった。

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厚生福祉

【11月10日号】 新連載「新政権の2010年度予算概算要求詳報」の1回目は経済産業省。「中小企業、温暖化対策に重点」を掲載。太陽光発電の補助金を倍増し、クリーンエネルギー自動車の導入促進対策費などを盛り込んだことを紹介。「ドイツの家族政策とワーク・ライフ・バランス調査報告−こども未来財団」の連載第3回は「『経済支援』『インフラ』『時間』が政策3本柱」。2003年から人口が減少し始めたドイツでは家族政策の転換を余儀なくされ、児童手当をはじめとする有子家庭への経済支援、保育施設の整備、ワーク・ライフ・バランス支援を重点としていること、東ドイツ地域では婚外子が6割を占めることなどが分かる。「インタビュールーム」では神奈川県病院協会会長に小児救急や産科医不足などの課題への取り組みを聴いている。

【11月13日号】 「新政権の2010年度予算概算要求詳報」の2回目は環境省。「追加的な温暖化対策、別枠で要求」と題して温室効果ガス25%削減目標に向けた事業を中心に解説。NPO法人「インターナショナルバイオフィリア リハビリテーション学会」理事長による「リハビリテーション医学は改革が必要か?」との提言を掲載。「地域を支える」では新潟市保健医療センターを取り上げる。保健と医療の連携で新型インフルエンザ対策などで効果的な対応ができたという。

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税務経理

【11月13日号】 巻頭言「フォーラム」では、アフリカ・チャド共和国の知人を名乗って突然送られてきた緊急メールの顛末(てんまつ)を、日本不動産鑑定協会副会長の緒方瑞穂氏が紹介している。それによると、知人は訪問先のフィリピンで乗っていたバスが爆発炎上し、病院に運ばれて皮膚移植を受けなければならなくなった。緊急メールは、「皮膚移植に1550ドル必要なので直ちに送金を」という内容。搬送先病院の現地看護師あてに振り込めというのを不審に思った筆者が、改めて知人に直接問い合わせると、「国際振り込め詐欺」であることが判明。互いの無事を喜び合ったという。

入門講座「実務に役立つ鑑定評価」(同日号)は、1棟の建物の中で階層や部屋ごとに所有者が異なっている「区分所有建物」のケースを取り上げている。こうした建物の鑑定評価では、1棟の建物とその敷地の価格を求めた上で、特定の専有部分に価格配分する作業が加わる。配分作業では、例えばマンションの場合、階層や同一階層での位置などによって、▽日照▽エレベーターへの接近性▽騒音—などの効用が影響を受け、これが分譲価格に反映されることが多い。オフィスビルでは、店舗として利用する場合、1階の効用比が上層階に比べて高くなる。

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金融財政ビジネス

【11月12日号】 「綱渡り続く回復の軌道−11月の景気動向と金融情勢」と題して、最新の日米の経済情勢分析を掲載。それによると、先に発表された米国の2009年7〜9月期の実質GDP(国内総生産)速報値を細かく見ても、日本の各種の経済統計を見ても、日米ともに政府の対策が景気を下支えしていることが明確だ。米国では住宅の初回取得者向けの減税と自動車買い替え補助制度、日本でもエコポイント制度やエコカー減税が経済を押し上げている。しかし、景気対策効果は次第に薄れていくことが避けられない。米国は7〜9月期のような高い成長率を今後も続けていくことは困難。日本も、景気対策がはげ落ちるほか、輸出の伸び率が鈍化していくことは避けられず、厳しい状況が続く。

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