早読み行政誌

「音サイン」という福祉政策(11月16日〜20日号)

地方行政

【11月16日号】 「関西3空港問題解決に向けた提案」は16日号が最終回。前回までの分析で、関西3空港の最大の問題は、伊丹空港と関西空港(関空)が両立できない点だということが分かった。筆者は「関空は国際と国内の両方の旅客ハブとして成立させる必要」があり、「そのためには大阪都心に直結する鉄道が必須だ。開港時にそれをやり終え、かつ伊丹を廃止していれば、ことは単純だった」と指摘する。しかし、伊丹は残った。ではどうするか。筆者の答えは明確だ。「羽田と関空を国際と国内の乗り換えが自由にできるハブ空港にすべきだ」という。そして、伊丹は「関空と大阪市内を結ぶ鉄道が出来次第、廃止」というのが結論だ。

【11月19日号】 政府の地方分権改革推進委員会がまとめた地方税財政改革に関する第4次勧告を取り上げている。地方交付税の必要額を確保するため、国税5税の約3割を充てている法定率の引き上げを要請したのをはじめ、鳩山政権が2011年度の創設を打ち出す国庫補助金の一括交付金化について、交付基準の策定に当たり自治体間の財政力格差への配慮を求めたのが特徴だ。記事は、分権委の議論中に政権が交代し、3次勧告が分割されたり、4次勧告の提出が一時危ぶまれたりした経緯なども詳しく伝えている。

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内外教育

【11月17日号】 文部科学省はこのほど、大学の図書館やコンピューターネットワークの整備状況などを調べた「2008年度学術情報基盤実態調査」の結果をまとめた。対象となった大学は国立86、公立75、私立591の計752大学で、調査結果によると、大学全体の図書館運営費は前年度に比べてほぼ横ばい。厳しい経営環境の下、各大学は図書購入などのための予算を何とか確保する一方で、人件費、維持費などの削減のため、さまざまな合理化や外部委託を進めていることが分かった。そうした中、電子媒体形式の雑誌など「電子ジャーナル」の関連経費は急増しており、情報化の進展が大学図書館にも及んでいることがうかがえる。また、「学内LAN(情報通信網)」を整備している大学は全体の99.1%に上り、学内のネットワーク化は、もはや大学では「当たり前」の時代となった。

【11月20日号】 公立高校の教頭や副校長の全国組織である全国高等学校教頭・副校長会が、日ごろの調査や研究の成果をまとめた「研究集録」をこのほどまとめた。3回シリーズでその内容を詳しく紹介する。初回のテーマは「学校の管理運営」。下部組織である奈良県高等学校等教頭協議会の調査結果によると、いわゆる「モンスターペアレント」などからのクレームに「対応したことがある」という学校は全体の79%(大規模校では91%)に上り、保護者あるいは地域からのそうしたクレームへの対応に追われる教頭、副校長の姿が垣間見える結果となった。

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厚生福祉

【11月17日号】 連載「保育所の現状と課題」の4回目は「東京都、横浜市などの設備、人員基準の強化と緩和」を掲載。厚生労働省の児童福祉施設基準を地方自治体がどのように運用しているかを東京都、仙台市、千葉市、横浜市を取り上げて紹介。基準をよりきめ細かくしている例や逆に緩和している例を見る。「地域を支える」では静岡県賀茂地区にある社会福祉法人「梓友会」を取り上げる。四つの介護福祉施設を運営し、地域住民との交流の場として毎年秋に里まつりを開催、地域の3世代交流も図っていることを紹介する。

【11月20日号】 連載「ドイツの家族政策とワーク・ライフ・バランス調査報告—こども未来財団」の最終となる第4回は「地域自ら『家族にやさしい社会』を構築」。子供を持つ家庭を支援する「家族のための地域同盟」と「多世代の家」について詳しく解説する。「地域医療の再生に挑む」の連載を開始。初回は「『地域医療を守る条例』を市町村では初制定」と題して宮崎県延岡市の取り組み、地域の医療の実態を紹介。

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税務経理

【11月17日号】 民主党新政権の試金石の一つである2010年度税制改正は、12月11日の大綱取りまとめに向けて本格的な論戦が始まった。17日号の「解説」は、各省庁が新政権下で出し直した税制改正要望が肝心の租税特別措置に十分切り込めていない点を強調しつつ、財源探しに四苦八苦する政府税制調査会の面々の現状を伝えている。たばこ税や環境税で隘路(あいろ)打開の方途を探っているが、立ちふさがる壁は厚い。同日号の巻頭言「フォーラム」では、武田昌輔成蹊大学名誉教授が「政権交代によって期待される大きな政策の一つは、透明性の確保である。この際、租税特別措置を全廃して、必要があるのであれば、国庫補助金によるべきである」とハッパを掛けている。

【11月20日号】 入門講座「実務に役立つ鑑定評価」は、建物を含まない賃貸用不動産として青空駐車場を例に取り、鑑定評価の方法を解説している。収益還元法を用いる場合、こうした物件でも建物を新たに建築することを想定し、その賃貸料を含めて査定するが、▽減価償却費を除く諸費用▽耐用年数満了時の取り壊し費用▽家賃収入が得られない期間の「未収入期間修正率」—などを含めて総合的に算定することが求められる。

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金融財政ビジネス

【11月19日号】 「音サインからみた音環境−空間利用者すべてに役立つ設定が課題」と題し、ハイブリッド車の静音対策などで最近注目を集めている「音サイン」のあり方を探っている。筆者はサウンドスケープデザイナーの武者圭氏。記事によると「音サイン」とは、社団法人日本サインデザイン協会(SDA)の定義によれば「ある情報を伝える目的で人為的に施設や機器に付加された音」を指し、実際には日常生活の中で、家電製品から携帯電話、企業広告の「サウンドロゴ」、鉄道の発車告知に使われるなど、その目的や利用者は多種多様だ。しかし、最近では福祉政策の一環として、公共空間で視覚障害者が利用すると予想される場所に無秩序に使われるようにもなり、かえって混乱を引き起こす結果となっている。騒音にならない効果的な音サインを考えるには「音環境」に着目することが必要となる。それは、音サインが視覚障害者だけでなく、多様な人々にとって有効な情報伝達手段であるからだ。実際、国交省が示したハイブリッド車や電気自動車の静音対策案でも、エンジン音が視覚障害者に限らず重要であると認めている。理想的な音環境とは、聴覚に負担を感じやすい人に違和感を与えず、同時に音を求めている人に確実に情報を伝えるものでなければならない。また、危険や異常を知らせる音サインは、誰にでも即座に認識される必要がある。音サインの制作・設置には、目的と対象者の明確化や、掲示板などほかのデザインとの統一・連携が重要である。

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