【11月26日号】 政府の行政刷新会議が採用し、国民の注目を集める「事業仕分け」。静岡県でも10月31日から3日間、県民委員らが101事業(総額約530億円)を対象に仕分けを行った。結果は12件が「不要」、53件が「要改善」と判断された。「行財政改革の切り札」として各地で実施されている事業仕分けだが、その結果をどう反映させていくかは手探り状態だ。11月26日号は静岡県の「事業仕分け」の特集記事を組み、実施例を通じて仕分けの意味や課題を探った。この中で、静岡県立大の前山亮吉准教授は、仕分けのメリットを「県庁職員が身内の論理ではなく、政策遂行のため、県民に対する説明責任を意識すること」と強調。ただ、「民間の考えは多種多様なはずなのに、特定の人たちの考え方(仕分け結果)が民間の意思として強調されるのは問題だ」とも。その上で、「知事が事業仕分けの結果のみを理由に事業の廃止などを決めるのは、責任逃避で許されない」と語っている。
【11月27日号】トップ記事は海外の教育事情を紹介する「世界の動き」。今回は、文部科学省調査企画課の担当官が、米教育専門誌カッパンが民間調査会社ギャラップ社と共同で実施した公立学校に関する市民意識調査の結果を詳しく紹介している。米国には、「落ちこぼれをつくらないための初等中等教育法」という教育改革法が連邦レベルであり、この法律に基づき、人種や所得の違いによる「学力差の解消」を目的とした州政府や学区の取り組みに対して、連邦政府が一定期間、補助金を出している。ただ、補助金を受けるための条件として州政府は、教育課程の基準を定め、これに対応した統一学力テストを行い、同テストの成績を中心に学校の評価も行って、恒常的に成績の上がらない学校には教職員の入れ替えを含む厳格な「是正措置」を講じることになっている。今年6月に行われた共同調査は、同法についての米国市民の意識などを探っているが、法律が「大変好ましい」「好ましい」とする回答は計28%で、前年より4ポイント減った。また、同法の効果について43%が「違い(改善)をもたらしていない」と答え、「(地元の公立校を)損なっている」という回答も29%に上った。オバマ民主党政権は、ブッシュ前共和党政権時代(2002年)に制定された同法の改正に乗り出す動きを見せており、学力テストのやり方や、その結果の利用法などが改められる可能性が高いという。
【11月27日号】 連載「新政権の2010年度予算概算要求詳報」3回目は文部科学省。民主党が政権公約に盛り込んだ高校の実質無償化に4624億円計上する一方、医師不足対策や大学病院の機能強化の事業費は「事項要求」扱いとしている。全国学力テストは全員参加から抽出方式に改めるなどの内容を紹介。連載「地域医療の再生に挑む」の(下)は「なぜ医師が少ないのか」と題して宮崎県延岡市の状況を踏まえて医師が勤務を希望する条件、新臨床研修制度の影響、県立病院の運営状況などを解説する。「地域を支える」では京都府亀岡市にあるNPO法人「青空ふれあい農園、ハーブ倶楽部」を取り上げる。中高齢者の自立支援といきがいづくりを活動の柱に農園デイサービスや盲導犬をかたどったサブレの生産加工などの取り組みを紹介。
【11月27日号】 「直言苦言」は、民主党政権が看板とした「子ども手当」を取り上げ、さまざまな疑問を投げ掛ける。子ども手当は所得制限がないので、児童手当の対象外だった高所得世帯は増収となり、一層教育費に充てられるが、所得税などが増税される低所得世帯は生活費に充てるだろうと指摘。これらを踏まえて筆者は、「収入による教育格差はさらに拡大することとなる。自民党政治下の格差社会を批判した民主党よ、どうするのだ」と結んでいる。
同号の「会社法の基礎」は、会社法によって創設された「合同会社」についての解説に入る。合同会社では、出資者である「社員」(一般的な会社の従業員とは異なる)全員が有限責任で、この点が他の持分会社(合資会社、合名会社)とは異なっている。合同会社が創設された背景には、法人を素通りする「パススルー課税」(構成員課税)を導入する狙いがあったが、合同会社が普通法人である以上、他の普通法人との均衡上認められないという理由で、導入は見送られている
【11月26日号】 「増殖するアルカイダ、激しさ増す部族対立−日本人誘拐の土壌を探る」と題し、イエメンからの現地報告を掲載。イスラム教の宗門と部族が結び付いた国内対立や、アルカイダの流入など、揺れるイエメンの政治・経済情勢をリポートしている。イエメンは、ソマリア沖の海賊対策で活動する海上自衛隊の補給拠点の一つでもあるが、経済の柱である原油資源が枯渇寸前の貧困国だ。北部のフーシ族民兵組織と政府軍との戦闘の長期化や国際テロ組織アルカイダの潜伏など数々の難題に直面する。さらに、幻覚作用がある植物・カートの栽培が広がり、貴重な地下水の枯渇を助長している。国際社会は、不安定なイエメン情勢に懸念を強めている。
このほか26日号では「韓国LGに見るアジア企業の戦略」と題して、苦戦が続く日本企業を尻目に業績が急回復している韓国のLGグループの経営戦略を解説している。