【11月30日号】 新連載「省庁、自治体の『今そこにある危機』」が始まった。「消えた年金」問題をはじめ個人情報の漏えい、職員の犯罪など、中央省庁や地方自治体を取り巻くさまざまなリスクが顕在化している。行政に対する国民の信頼感は低く、とりわけ中央省庁への視線は厳しいという。その原因は、国民にとって「望ましくない重大な出来事」が頻発し、それに行政が適切に対応できていないためだろう。連載では、行政のリスクマネジメントの現状を検証するとともに、海外や民間の先行事例も紹介しながら、省庁や自治体が展開すべき総合リスクマネジメントの在り方を提案していく。
【12月3日号】 11月25日に開かれた政府主催の全国知事会議の詳報を掲載。政権交代後初の開催となり、鳩山首相は民主党が掲げる「地域主権」に関連し、「基本法を考えることは十分あり得る」と述べ、地域主権の理念や国と地方の役割分担などを定めた基本法制定の検討に前向きな姿勢を示した。また、地方交付税の復元・増額に対しても、「(国と地方の)三位一体改革で痛め付けられた地域の状況を考えれば、何らかの手だてを講じることが必要」と理解を示した。一方、知事からは高速道路無料化や暫定税率の廃止、「子ども手当」の支給、「国と地方の協議の場」の設置など、民主党マニフェストの政策に注文や要望が相次いだ。
【12月1日号】 政府系金融機関である日本政策金融公庫は、2009年度の「教育費負担の実態調査」の結果をこのほどまとめた。それによると、高校入学から大学卒業までに掛かる教育費は、子供1人当たりで平均1007万7000円。前年度よりも15万9000円減少したものの、依然として高い水準にあることが分かった。また、家庭の年収別に見ると、400万円未満の世帯の教育費は前年度より減少したのに対して、400万円以上の世帯の教育費は増加しており、教育費の「二極化」とも言える現象が起きていることも明らかになった。
【12月4日号】 インターネットの有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリングサービス」を業務にしている民間会社がこのほど、小学校から高校までの児童・生徒の保護者を対象とした「家庭でのインターネット利用実態調査」の結果をまとめた。それによると、保護者はインターネットを通じて子供が性犯罪の被害や誹謗(誹謗)中傷などのトラブルに遭う可能性があることを十分に認識しており、学校裏サイト、出会い系サイトなどへの警戒感も強いが、そうしたさまざまなサイトの危険性の度合いについて、自身で「判断できる」と答えた保護者は全体の4割に満たなかった。同社は「インターネットの危険性などについて、保護者に対し、もっと具体的な情報提供を進めていく必要がある」と指摘している。
【12月1日号】 連載「新政権の2010年度予算概算要求詳報」4回目は厚生労働省。民主党が政権公約に盛り込んだ「子ども手当」や「年金記録問題への対応」などを中心にした内容を解説。診療報酬改定などは「事項要求」として年末に調整することや財源問題で調整が難航しそうな状況など最新の動向を伝える。来年度の診療報酬改定の基礎資料となる厚生労働省の「医療経済実態調査」の内容を2回に分けて取り上げている。初回は「2009年の病院の損益がやや好転」と題して調査の概要、開設別の状況、日本医師会の見解を紹介する。「社説拝見」では「たばこ増税」や相対的貧困率などに関する社説について解説する。
【12月4日号】 厚生労働省の「医療経済実態調査」の2回目は「診療所の損益、職員給与の状況などを見る」と題して療養病床を持つ病院と持たない病院の損益、病床数別の収支、診療所の損益、医療機関の給与水準、関係団体の見解を詳しく解説。療養病床60%以上の病院が黒字、入院基本料別では「15対1」を除くと赤字、医師給与平均は月額123万円などの結果が分かる。また、「開業医の年収は勤務医の1.7倍」との報道に日本医師会が反論している点や開業医の時間外労働時間は平均で過労死ラインを超えていることも取り上げる。
シリーズ「業種別に見た税と会計」が1日号と4日号で取り上げるのは「ゲームソフト業界」。経済産業省の研究会が2006年にまとめた報告書は、家庭用ゲームソフトの市場規模はピーク時の1997年から46%減となるまで落ち込んでいることなどを指摘し、国際競争の激化や青少年健全育成上の問題も含めて「日本のゲーム産業が置かれている状況は決して明るいものばかりではない」としている。また、ハードの性能向上に伴い、ゲームソフトは開発期間が長期化し、開発コストも増大するといった問題がメーカーに重くのしかかっているという。
ゲームソフトの開発を受注する企業はこれまで、公共事業など長期の工事に適用され、完成して施工主に引き渡した時点で収益に計上する「工事完成基準」を会計基準として採用してきた。ところが今年4月から、工事の進ちょく度に応じて収益を計上していく「工事進行基準」が原則となり、年度ごとの進ちょく率算定が求められるようになった。世界の会計基準を国際会計基準(IFRS)に統一する流れの一環で、これはソフトウエア業界にとって「会計上だけでなく経営面でも一つの転機」とみられている。
【12月3日号】 好評の連載「日本の『国際会計戦略』を考える」の第18回を掲載。「業界単位で決算期を分散、日本版SECも必要に」と題してグローバル化時代の日本の会計の課題や対策などを解説している。日本の企業決算は、公認会計士・監査法人によるチェックが働かなければ野放し状態と言ってもよい。日本公認会計士協会(JICPA)の会長を務めたこともある会計士が「日本の経営者の多くは、会計基準を守ろうとしない」と発言して波紋を呼んだこともある。不正を防止するには、企業と監査人という2者だけで行われている企業決算の作業に、権限を強めた独立の日本版SEC(J−SEC)を創設する必要がある。また、米国は「日本には公認会計士が少ないので、決算や監査が『ずさん』になる」と言うが、実は会計士が足りないのではなく、日本の企業がこぞって3月末に決算をするから、瞬間的に会計士が不足する。対応としては、日本の企業が決算日を分散させればよい。さらに、決算日を分散させると企業同士の期間比較に障害が生じるという批判を受ける可能性もあるため、業界ごとに決算期を統一するのも一案だ。