早読み行政誌

税金滞納者の氏名を公表せよ(12月7日〜12月11日号)

地方行政

【12月10日号】 トップ記事は「やってみた事業仕分け」。鳩山政権が国の歳出削減の切り札として採用したことで、一躍脚光を浴びた事業仕分け。この7年間、地方自治体の事業仕分けを主導してきた政策シンクタンクの「構想日本」が先月26日、仕分けを経験した13首長を招いて東京都内で報告会を開いた。結論は、全首長が「やって良かった」。だが、議論の過程から今後の課題も浮かび上がった。まずは仕分け人をどう選ぶか。自治体の大半は外部有識者のほかに市民もメンバーに加えているが、議員を含めて地元民を仕分け人に加えると利害が絡みやすくなる。2番目は仕分け対象事業の選定だ。仕分けされる側の各部局が事業を選定しているケースが多い。恣意的な選定を避けるためには、首長が主な事業を常に把握し、副市町村長らの意見を聴いて仕分け対象を選び出すといった努力が求められそうだ。

【12月7日号】 キイチゴの特産化に挑戦している秋田県五城目町の特集記事を掲載。ラズベリーやブラックベリーなどが主な栽培品種で、甘酸っぱい味が特徴だ。洋菓子やケーキの材料としても重宝されるため、輸入量は増加しているが、国内には大規模な生産地がない。果実が軽く高齢者への負担も少ないだけに、町は高齢化の進む農家がコメ以外に栽培できる作物として期待を寄せているという。

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内外教育

【12月8日号】 文部科学省は2008年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(いわゆる問題行動調査)の結果をまとめ、公表した。それによると、08年度中に全国の国公私立の小学校、中学校、高校の児童・生徒が学校内外で起こした暴力行為の件数は前年度比13.0%増の5万9618件で、過去最多となったことが分かった。一方、学校がいじめを認知した件数は同16・3%減の8万4648件。2年連続の大幅減となったが、文科省はさまざまな対策が効果を上げた結果とする一方、実態把握に向けての取り組みが低調で、いじめをとらえ切れていないという側面もあるのではないかとし、楽観視はしていない。

【12月11日号】 民主党と中心とする連立政権が発足し、これに伴って教育界でもさまざまな変革の動きが出ているが、都道府県教育委員長、教育長の全国組織である全国都道府県教育委員長協議会と全国都道府県教育長協議会が、「2010年度文部科学省諸施策に関する緊急要望」を同省にこのほど提出した。要望は多岐にわたるが、まず民主党の“看板施策”の一つ、高校実質無償化は、「高校生が安心して勉学に打ち込める環境づくりに資するものと期待している」とした上で、現在の中学3年生の進路決定に大きな影響があることを踏まえ、混乱が生じないよう、早期の制度設計とその周知を行うよう求めた。

 また、抜本的な見直しが打ち出された教員免許制度については「新しい制度への移行を前提としながら(今春スタートした更新制など)現行制度を継続実施することは、(免許更新講習の)受講者である教員、免許管理者である都道府県教委、講習開設者である大学などに大きな混乱を招くとともに、錯誤による免許状失効者が生じるなどさまざまな問題が発生する」と懸念を表明。制度の見直しに当たっては、その期間中、免許更新制を凍結するなど混乱防止のための措置をとることを要求している。

 悉皆(しっかい)調査から抽出調査へ改められる方向となっている全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)では、抽出規模、抽出方法について十分検討すること、都道府県・市区町村の費用負担や学校・教職員の業務上の負担を生じさせないよう配慮することなどを求めた。

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厚生福祉

【12月8日号】 文部科学省がまとめた2008年度の児童生徒の問題行動調査結果を詳しく解説。全国の小中高校を対象に調べた結果、児童生徒の暴力行為が過去最多だったことなどを都道府県別の1000人当たりの暴力やいじめ件数の一覧表とともに示す。自殺した生徒の状況調査では最多が「不明」で、「教職員が原因」も2件あった。「海外トピックス」では国連人口基金が発表した「世界人口白書2009年版」を取り上げ、日本の人口が2050年までに2500万人減少するとの予測を紹介。

【12月11日号】 連載「保育所の現状と課題」の5回目は「横浜、せんだい保育室に見る保育サービス」を掲載。東京都の待機児童数の現状、横浜保育室、せんだい保育室の保育サービス内容や課題を取り上げる。両保育室は待機児童が多い現状を踏まえて地方自治体独自に認定、助成している保育施設。英語、音楽、図工の講師を配置したり、障害児保育を実施したりして第3者評価で高い評価を受けている保育室がある。一方、施設について「狭い、不便」として満足度が低い保育室もある。せんだい保育室には英会話学校が経営して幼児に英会話レッスンを行っている例も見られる。

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税務経理

【12月11日号】 「直言苦言」は、地方税の滞納が極めて深刻であるにもかかわらず、自治体の徴収部門が人材確保の面で大きな問題を抱えていることなどに警鐘を鳴らす。多くの自治体では、職員は一つの部署を3年程度で交代する。累積滞納者が自治体の督促をはね返すやり方はしたたかで、経験の浅い職員では到底太刀打ちできない。筆者は「社会の共通経費である租税の納税義務が踏みにじられていると言わざるを得ない」と嘆きつつ、米国の州の約3分の1で実施されているインターネット上への累積滞納者名の公表など、「新たな滞納防止策を本格的に検討・導入すべき時期が来ていると実感する」と訴えている。

【12月8日号】 「会社法の基礎」は、引き続き「合同会社」を取り上げる。合同会社では、出資者である「社員」(一般的な会社の従業員とは異なる)すべてが有限責任であり、出資した額の範囲内でしか債務の弁済責任を負わないため、出資金の払い戻しを制限することによって債権者の保護が図られている。例えば、社員は定款を変更しなければ払い戻しができないほか、資本金の減額に対して債権者が異議を述べることも認められている

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金融財政ビジネス

【12月10日号】 「日本を待ち受ける2つの『OUT』−手遅れになる前に必要な5つの政策」と題して、日本経済の課題を解説。それによると、日本には国内産業の空洞化(hollowing out)と、国債大量発行などに伴う長期金利の上昇が民間活動を抑圧するクラウディングアウト(crowding out)の危険に直面している。二つの「OUT」を避けるためには(1)政策順位の明確化(2)産業政策の明確化(3)規制緩和(4)人口政策(5)政策コストの回収可能性の引き上げ─が政策対応として最低限求められる。

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