早読み行政誌

税制改正大綱、決定の内幕を明かす(1月18日〜1月22日号)

地方行政

 鳩山内閣が初めて編成した10年度予算案。18日号の「政治潮流」は「期待は見事に裏切られた」と手厳しい。「自民党政権が批判されたのは『政・官・業』が癒着し、予算編成を通じて支持団体への利益誘導が行われたことが、理由の一つだった。政権が交代したのだから、そんな利益誘導もなくなるのだろう、国民にとって真に必要な予算が付くのだろうと、期待した」。ところが、出来上がった予算案は「実に露骨なアメとムチによって成り立っている」というのだ。例えば、「アメ」の診療報酬引き上げ。これには、厚労省幹部でさえ「付け過ぎだ」と驚きの声を上げたとか。政権交代しても政治の質は変わらず、「攻める側と守る側が変わっただけの『攻守交代』に見える」とバッサリ。

 21日号に石原慎太郎東京都知事のインタビューが掲載された。3期目の任期が残り1年余となり、知事はどのような都政の展開を考えているのか。一問一答で今後の抱負などを聞いている。この中で4選出馬問題にも触れているが、知事は「考えなくちゃいけないかと思ってます。そう言うと面白いじゃない。うそうそ。そりゃあ分からない。ケセラセラだ」と、笑ってけむに巻いていた。

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内外教育

【1月19日号】 新型インフルエンザが流行していることを踏まえ、教育関連出版大手の旺文社は各大学が2010年度入試で講じる特例措置に関するアンケートを実施し、このほどその結果をまとめた。それによると、国公立大は8割以上が追試を実施すると回答。ただし、芸術系学部や医学部には「特に措置は講じない」とするところが多い。私立大は追試のほか(1)一般入試の別日程への振り替え(2)大学入試センター試験利用入試への振り替え──など対応は多様で、インフルエンザで受験できなかった場合、多くが検定料の返還に応じる。国公立大と同様、「特に措置は講じない」のは医学部などに多いという。

【1月22日号】 文部科学省はこのほど、都道府県の教育委員会と私学所管部局の担当者などを対象に、2010年度から始める高校授業料無償化について、現段階でまとまっている制度の概要を説明した。それによると、公立の高校(全日制、定時制、通信制)と中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部では授業料を生徒から徴収せず、その相当額を国が地方自治体に交付。私立については、生徒本人に対し、学校設置者を「代理受領者」として「高校等就学支援金」を支給する形で、授業料を助成する。ただし、留年したため標準の年数を超えて在学している生徒の授業料は、無償化の対象にはしないという。同省は2009年度内に関連法を成立させ、4月から制度をスタートさせたい考えだ。

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厚生福祉

【1月19日号】 重大な医療事故を防ぐための方策を特集。題して「『ヒヤリハット』事例活用し、原因の改善を」。「人間はミスをするものである」「個人の責任転嫁は有害」「危機管理はトップから」などをポイントとして挙げる。2001年の厚生労働省の事故報告とともに始まったヒヤリハット報告は08年で年間22万件に上る。当事者は看護師が最多、次いで医師、薬剤師の順。連載「保育所の現状と課題」の9回目は「保育所の民営化の動向と企業参入問題」。日本保育協会が昨年まとめた調査報告書を土台に民営化の動向を紹介する。「インタビュールーム」では福島県立医科大学の丹羽真一教授が登場。昨年11月に福島県立医科大付属病院に設立された「こどもの心診療センター」の狙い、診療体制、課題などを聞いている。

【1月22日号】 連載「保育所の現状と課題」の最終となる10回目は「規制緩和求める経済界、財源の充実を求める自治体」。東京商工会議所が昨年7月に出した「少子化対策の抜本的見直し」の提言や「保育園を考える親の会」の調査報告、民営化をめぐる訴訟動向などを点検する。「インタビュールーム」では千葉大の植木哲教授にNPO法人「医事紛争研究会」の取り組みについて質問。医事紛争専門のADR(裁判外紛争解決手続き)機関として初めて国の認証を取得した同法人の活動状況などを説明する。

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税務経理

【1月22日号】 来年度税制改正大綱決定までの内幕を明かす「新春記者座談会」では、民主党政権が初めて臨んだ税制改正作業が、同党のマニフェスト(政権公約)と財源探しのはざまで迷走した経過をたどる。鳩山政権発足後スタートした新政府税制調査会では、「インナー」と呼ばれる非公式な幹部会合が実質的な決定権を握っていたかつての自民党税調に対し、公開性、透明性の強化がアピールされたが、結局は非公開の場を中心に意見集約が図られた。マニフェストの目玉の一つだったガソリン税などの暫定税率廃止は、昨年12月16日の党要望を受けて実質維持で決着。扶養控除の見直しも、財源探しに追われる中で最後までもつれ、議論が中途半端なまま大綱に反映されるようなケースも目立ったという。

【1月19日号】 「国を救うため、消費税の議論を」と題した「直言苦言」は、国と地方の長期債務が2010年度末で862兆円に上り、国民1人当たり約675万円の借金を背負う計算になることに言及。いずれは「自国通貨の信用が低下して激しいインフレーションが発生し、国民生活を破壊する」と憂慮する。その上で、鳩山内閣が封印した消費税率引き上げの議論について「社会保障の財源として必要なことなどを丁寧に説明すれば、国民は理解を示してくれるのではないか」と訴えている

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金融財政ビジネス

【1月18日号】 航空アナリスト・首都大学東京客員教授の杉浦一機氏による解説「地方空港経営のカギ握る民営化と課金見直し」を掲載。この中で「100空港時代」を迎えて厳しさを増す地方空港経営の活性化策を取り上げた。それによると、各地で空港の整備が進み、ネットワークが充実して便利になった半面、集客が思うようにできていない空港や、赤字が膨らむ空港も増え「地方空港は冬の時代」と言われるようになった。「空港はできたものの、飛行機が飛んで来ない」(国内線に就航会社が名乗りを上げない茨城空港)といった所もある。世界の「航空自由化」「空港民営化」の動向をみれば、解決策のヒントは多い。米国には、地域にどうしても必要な1路線に限って赤字を補_する基本航空サービス(EAS)制度がある。また海外の空港では、駐車料金やレンタカー経営などからの収入も多い。日本の空港ではこれまで、施設の「ハード」を主体にした整備が行われてきたが、これからは「利用者の視点」に重点を移した「ソフト」重視の整備が必要だ。

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