連載「若者Iターンと起業の島─島根県海士町」は1月28日号が最終回。東京で「隠岐牛」の売り込みを図る建設会社の社長を取り上げている。この人は、飯古建設社長の田仲寿夫さん。畜産業を始めるため、04年に100%出資の子会社「隠岐潮風ファーム」を設立した。なぜ牛の畜産を始めたのか。田仲さんは、公共事業の削減で会社の仕事が減ったことを理由に挙げている。「東京以外の出荷は考えていない。隠岐牛ブランドの確立には東京で認められるのが早道だし、東京は日本の中心。そこで勝負する」。田仲社長の営業戦略は着実に実を結びつつあり、銀座のステーキ店や浅草の老舗すき焼き店など、隠岐牛のメニューを提供する店は少しずつ増えているという。
同じく28日号に、川勝平太静岡県知事のインタビューが掲載された。経済学者から知事に転じ、就任後の半年間に全国的に注目された「事業仕分け」や知事退職金返上などの公約を次々と実行。また、国への陳情も真っ先に廃止するなど、地域主権への思い入れは人一倍強いという。インタビューでは、「富国有徳の理想郷『ふじのくに』」を掲げる同知事に、今後の施策展開や自身の考える道州制構想などを聞いた。
【1月26日号】 文部科学省はこのほど、公立の小・中・高校、中等教育学校、特別支援学校の教員に対する懲戒処分や分限処分などの現状をまとめた2008年度の「教育職員に係る懲戒処分等の状況について」を公表した。それによると、08年度に懲戒処分を受けた者は計1059人で、この10年間では00年度(927人)に次いで少なかった。一方、うつ病などの精神疾患で休職した者の数は5400人で、調査開始以来の最多を更新した。これで16年連続の増加となり、1999年度(1924人)の3倍近くに上っている。教員のストレスを緩和するための、総合的な施策が急務と言えそうだ。
【1月29日号】 文部科学省がまとめた「2008年度学校給食実施状況等調査」の結果によると、少子化の影響などで学校の統廃合が進む中、給食の実施校数も前年度に比べ282校(0・9%)減少、計3万2690校になった。
学校の総数に占める実施校数の割合も減り、前年度より0・1ポイント減の94・4%。学校栄養職員や調理員の人数も前年度を下回った。一方で、学校給食の外部委託が調理、運搬、食器洗浄などを中心に増えている。
【1月26日号】 第一生命経済研究所のアンケート調査を特集。「進む寺離れ、求められる寺院の公益性」と題して、寺院の今日的役割などについての調査結果を紹介する。40〜69歳の調査モニターを対象とした調査で「墓参りや観光以外で寺院を訪れる人は少ないが、座禅などイベントへの関心は少なくない」「寺院の活動として老いや死への取り組みへの期待がある」などの傾向が分かる。2009年後半(7〜12月)に「新刊図書の中から」で取り上げた図書から医療、福祉、環境をめぐる傾向を探る特集も掲載。(上)として医療関係と介護・保育・年金に関する傾向を見る。
【1月29日号】 新連載「増加する有料老人ホームと高賃専」を開始。初回は「有料老人ホームと介護保険の関連などを見る」。有料老人ホームの定義、役割、介護保険との関係、施設数などを説明する。法務省の研究会がまとめた父母による児童虐待防止のための提言を簡潔に解説。
【1月26日号】 厚生労働省が健保組合と共済組合に対し、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)への国庫補助の肩代わりを求めている問題が、「直言苦言」で取り上げられている。筆者は、厚労省が900億円もの負担を健保組合などに求める一方で、国民健康保険組合(国保組合)に対しては、・年金生活中の無資格者が多数加入している・政治加算と思われる隠れ補助金が長年支給されている──といったずさんな運営実態を放置していることに言及。「さまざまな自助努力をしてきた健保組合・共済組合からは900億円をむしり取ろうとする、この論理思考の一部でも正当化できる部分があるだろうか。優遇措置をやめない国保組合には本件肩代わり負担を求めるべきである」と糾弾する。
【1月29日号】 「主要省庁別に見た2010年度税制改正」(上)は、国土交通省と総務省の担当記者が改正のポイントを解説する。国交省関係では、住宅所得を目的に親などから援助された資金に対する贈与税について、500万円の特例非課税枠を1500万円に拡大することが柱。また、世代を超えて利用できる「長期優良住宅」の普及促進に向け、不動産取得税の課税標準からの控除額を1300万円(一般住宅1200万円)に拡大するなどの優遇措置も創設された。
1月28日号は新連載企画「経済物理学入門」の第2弾。筆者は、経済財政諮問会議の民間議員も務めた東京大学の吉川洋教授で、表題は「ばらつきを持つ労働生産性」。経済物理学は、経済学の新分野で海外でも注目されている。今後は、理論だけでなく鉱工業生産指数の解析や共同研究ネットワークの構築など、実際の経済分析や政策立案に役立つ内容も順次扱っていく予定だ。
このほか今号では「難問山積、多難な船出─2期目迎えるバーナンキFRB議長」と題して、2月1日から2期目に入る予定のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が直面する課題を分析した。それによると、米国の経済状態は悪く雇用回復は遅れている。物価安定と共に持続可能な雇用の最大化が任務であるFRBの責務は重い。雇用情勢の改善は、11月の中間選挙、ひいてはオバマ大統領再選のために欠かせないとみられる。このほか、出口政策の円滑な遂行、FRBに対する批判を受けながらの金融システムの再構築、神通力が問い直されているインフレターゲットへの取り組み、さらに今回の危機対応の理論的整理も必要だ。