国家公務員の幹部人事を首相官邸主導に改めるための国家公務員法改正案が、国会に提出された。1日号はトップ記事で改正案の内容や問題点、野党や霞が関の反応などを詳しく伝えている。改正案は、事務方トップである事務次官を局長、部長級幹部と同格とみなし、政治主導の柔軟な昇格・降任人事を可能にするのが柱。内閣官房に「内閣人事局」を新設して幹部候補の一元管理を行い、政治主導で省庁横断の幹部入れ替えを進めることになる。しかし、中央府省幹部からは「恣意的な人事が乱発されるのではないか」と懸念する声が多く聞かれ、野党の自民党やみんなの党も「降任人事の在り方が手ぬるい」(渡辺喜美みんなの党代表)などと反発。政府は今年度内の改正案成立を目指しているが、国会審議を乗り切るのは容易でないという。
【3月2日号】 今回は地方の話題から。校庭約3300平方メートルの全面芝生化に踏み切った奈良県宇陀市立室生東小学校の様子を紹介する。2009年度から県教委が進めている「小学校の運動場芝生化推進モデル事業」に応募し、実現した。体力向上策の一つとして進められているもので、芝の苗や肥料の購入、スプリンクラーの整備などのための経費は1校当たり300万〜500万円。「金が掛かるし、手間暇も大変」と当初は反対する声もあったが、校庭全体が硬い土から柔らかい芝生に変わり、砂ほこりがなくなった。芝生に寝転がって遊ぶ児童が増える一方で、擦り傷が減り、保健室に駆け込む児童は減った。「芝刈りは月1回で十分。水まきもスプリンクラーがやってくれる。思ったほど負担は大きくなく、それと引き換えに得られるメリットの方がはるかに大きい」と校長は胸を張る。
【3月2日号】 連載「増加する有料老人ホームと高専賃」の6回目は「高齢者専用賃貸住宅への総務省勧告と東京都の対応」。高専賃(高齢者専用賃貸住宅)の現状と問題点、対策について総務省の勧告、東京都の対応を取り上げて詳しく解説する。「社説拝見」では2月前期分の高速道路無料 化、診療報酬改定などに関する社説について解説する。2010年度の都道府県政令市の予算特集では秋田県、滋賀県、静岡市を取り上げている。
【3月5日号】 連載「増加する有料老人ホームと高専賃」の7回目は「有料老人ホームをめぐるトラブルと対策」。国民生活センターや東京都消費生活総合センター、神奈川県の調査結果に基づいて有料老人ホームへの苦情内容、2006年の国民生活センターの提言、注意事項を詳しく紹介する。2010年度の都道府県政令市の予算特集では福島県、富山県、新潟市を取り上げている。
【3月5日号】 巻頭言「フォーラム」では、現政権によって進められる地方自治制度の抜本見直しについて、片山善博・慶応大法学部教授(前鳥取県知事)が「ぜひ地方税法も(見直しの)対象に加えられるべきだ」と提言している。特に、大都市と地方の格差などがあるにもかかわらず、税率や課税標準に全国一律の規制が掛けられている点に対して、「自治体が文字通り地域の実情に応じて課税の仕組みを整えられるようにするのが『地域主権』ではないか」と主張する。
【3月2日号】 特集「2010年度税制改正と今後の展望」第4回は、同年度の地方税の税収見込みについて、総務省の担当職員が解説する。10年度税制改正による地方税の増減額は、国税の改正に伴うものを加えた地方税全体では、初年度299億円の増、平年度4826億円の増(地方法人特別譲与税への影響額も加えた場合には、初年度286億円の増、平年度4761億円の増)となる。
3月1日号は、好評の連載「日本の『国際会計戦略』を考える」の第20回を掲載。今回は「世界の流れを無視する『連結先行』論」と題し、日本で進む国際会計基準(IFRS)の連結決算への先行適用案を多角的に分析した。それによると、この考え方の前提にある「連結も個別もIFRSで作成するのが正しい」という理解は、数多くの問題がある。実際に株主に利益を分配(配当)したり、確定決算主義を採る国では税金計算のベースとしたりして、実質的な財産の変動・移転を決めるのは個別財務諸表である。ところが、欧州連合(EU)諸国を含めて多くの国がIFRSを個別財務諸表に適用していない。それは、自国の「課税の決定権」をも左右する会計基準の設定を、国家の権限が及ばない英米主導の民間団体(国際会計基準審議会=IASB=)に委ねたくないからである。また、IFRSはもともと連結のための会計基準であり、個別財務諸表に適用して配当を決めたり、税金の計算を行ったりする基準としては設定されていない。個別財務諸表には連結と異なる役割があり、それを果たすには個別財務諸表を自国の会社法、自国の会計基準によって作成する必要がある。