早読み行政誌

たばこ税の異変、市町村財政を襲う (3月23日〜3月26日号)

地方行政

 地方にかかわる政策全般を話し合う「国と地方の協議の場」を設置するための法案がまとまり、今通常国会での成立が期待されている。3月25日号はこの法案を特集記事で取り上げ、「地方が長年要望してきた、国と対等の立場で政策の企画、立案段階から関与するという枠組みは整ったが、本当に機能するかどうかが試されるのはこれからだ」と指摘する。その試金石になりそうなのが、11年度から全額支給も見込まれる「子ども手当」の地方負担問題だ。この問題では、全額国費を明言してきた鳩山政権が、昨年末の10年度予案編成で地方側に何の相談もなく地方負担を導入した。「協議の場」では、11年度予算編成に向けて同手当の財源問題などが話し合われる見通しだが、地方側は「(国は)本当に地方の声を反映させるのか。単なる『国と地方のガス抜きの場』に終わる危険性もある」と警戒しているという。

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内外教育

【3月26日号】 日教組の臨時大会がこのほど都内で開かれ、当面の運動方針などを決めた。民主党の小林千代美衆院議員=北海道5区=陣営に北海道教職員組合(北教組)が選挙資金1600万円を提供したとして、先に、北教組の幹部らが政治資金規制法違反容疑(企業・団体献金の禁止)で逮捕された事件に関連して中村譲委員長は、法令順守の徹底を再度図っていく必要があるとしながらも、労働組合の献金と教育の政治的中立性とは「全く別の問題だ」と強調。労組が要求実現のため候補者を推薦・支援し、組合員へ周知することは「正当かつ重要な組合活動であって、何ら法的制約を受けるものではない」として、公務員や教職員の組合が政治活動を行うことは許されないといった、一部の議論をけん制した。

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厚生福祉

【3月26日号】 厚生労働省の長浜博行副大臣に政権交代から半年となったのを機にインタビュー。子ども手当の財源、政務三役の連携、介護ビジョンなどを質問。2011年度の予算編成について「安定的な財源を確保する道を切り開いていかなければ」との副大臣の決意などを掲載。連載「医の安全を目指して」の2回目は「病院内での共通認識形成、標準化が重要」。危険薬の誤投与防止策など具体的な行動目標を示して解説する。京都府医療企画課の池上直樹課長へのインタビューも掲載。府の「あんしん医療制度研究会」がこのほど、国民健康保険などのレセプトのデータを分析して「市町村国保を都道府県単位で一元化すべきだ」との報告書をまとめたことを踏まえ、研究会発足の経緯、データの分析結果などについて聴いている。2010年度の都道府県政令市の予算特集では宮城県、兵庫県、浜松市を取り上げる。

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税務経理

【3月26日号】 巻頭言「フォーラム」は、衆院議員で元自治省税務局長の滝実氏が「たばこ税の異変」と題し、2010年度税制改正で決まった増税により、同税が収入確保目的から健康増進目的へとその性質を変貌させた背景に言及している。異変の背景には、財政的な理由として「たばこ税の収入が2兆円なのに、たばこによる健康被害が原因で医療費の増額と病気により仕事ができないための損失額とで7兆円を超えるとの調査研究があるようだ」と明かす。また、今年10月の値上げ分には、葉タバコの耕作者とたばこ販売者への「販売減少補てん費」が含まれているが、今回の増税によって街のたばこ屋の3分の1が廃業するとされ、市町村の財源も失われる。これらを踏まえ、「たばこ税の異変は市町村財政の危機である」としながらも、「その解決策を示すのは難しい」とも認めている。

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金融財政ビジネス

【3月25日号】 「再生模索する投資銀行業界」と題し、世界の投資銀行が抱える課題などについて分析した。それによると、2009年以降、金利の低下や株価の上昇に支えられて世界の大手投資銀行の業績は急速に回復した。しかし、回復を支えたトレーディング益は安定した収益とは言えず、今後の見通しは不透明。また、金融危機の再発を防ぐため、規制や制度の変更が各国で検討されており、各行はビジネスモデルの見直しを迫られる可能性がある。日本の大手証券会社については、規制変更の影響は小さいが、安定した収益の確保と競争力の向上が引き続き課題となっている。

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