早読み行政誌

「モンスター親」、都教委が対策集(2010年4月5日〜4月9日号)

内外教育

【4月6日号】 文部科学省は2011年度から使用する小学校と高校(主として低学年)の教科書検定結果を公表した。11年度から全面実施する学習指導要領に基づき教科書会社が編集した申請図書が対象で、申請のあった148点すべてが合格した。教科書の平均ページ数は、03年度の前回検定と比べて理科と算数の3割増をはじめとして軒並み増えている。新しい教科書が厚くなるのは、指導要領の範囲外であった発展的な学習内容が新要領に取り入れられたため。算数では、基礎学力定着のために同一内容を異学年でも繰り返し記述された要因もある。

【4月9日号】 東京都教委は学校に理不尽な要求を突きつける「モンスターペアレント」に対する対応事例を集めた対応手引を作成、約7万人の全教職員に配布した。その内容と数々の対応事例、手引きの基になった「日本苦情白書」をまとめたコンサルタントのインタビューと3回に分け特集する。1回目の今回は概要と、クレームへの「初期対応」肝心であることを指摘。手引には「モンスターペアレント」という言葉が一切出てこず、「モンスターとして扱えば理解し合える可能性がなくなり、さらに問題をこじらせる」という側面を紹介、現場の対応指針を明確に打ち出した。

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地方行政

 公共事業費の一定割合を地元自治体に負担させる直轄事業負担金のうち、維持管理分の負担金を原則廃止する法律が3月31日の参院本会議で可決、成立した。これを受けて、4月5日号は「直轄負担金、攻防1年」と題する連載を始めた。維持管理分の負担金廃止は全国知事会が1962年から求めていたが、国や自民党の反対に遭ってこれまで実現しなかった。約半世紀に及ぶ懸案が決着した背景には、世論へのPRにたけた橋下徹大阪府知事の突破力と、政権交代という「追い風」が地方側に吹いたことがある。負担金見直し問題に関する1年間の攻防を振り返り、今後の課題を探っていく。

 4月8日号では「公務員の労働基本権回復」にスポットを当てた連載がスタート。国民の基本的権利として認められている「団結権」「団体交渉権」「争議権」の労働三権。国および地方の一般行政職公務員は争議権と共に、団体交渉権の一部で勤務条件を労使間で取り決める「協約締結権」が制約されている。終戦直後で労働運動が激化していた1948年に、占領軍の意向で課されたこの制約が、60余年ぶりの大きな転換期を迎えようとしている。民主党政権が、公務員の労働基本権回復に向け11年の通常国会に関連法案を提出する意向を打ち出したためだ。これまでの議論や現行制度の評価を踏まえ、労働基本権回復が自治体に与える影響などを考察している。

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厚生福祉

【4月6日号】 介護予防事業の実情についての特集を掲載。要介護状態に陥らないように高齢者を対象に筋トレや食事指導を行う同事業だが、参加者が少なく、自治体が盛り上げに苦心している状況を埼玉県和光市、江戸川区、豊島区などを取り上げて紹介する。女性医師の子育て支援のために大阪府医師会が昨年度から運用している院内保育所ネットワークの活動を特集する。2010年度の都道府県政令市の予算特集では長野県、大分県、千葉市を取り上げる。

【4月9日号】 連載「「増加する有料老人ホームと高専賃」の10回目は「介護一時金、一時金の保全、月額利用料の現状」。介護一時金の内容、その保全措置、広告等の表示基準などについて詳しく解説する。3月に関西の消費者4団体が開催した「だまされる心理から見る消費者トラブル」のセミナーを紹介。「インタビュールーム」では静岡市にあるNGO「カレーズの会」理事長にアフガンへの医療支援について聴いている。2010年度の都道府県政令市の予算特集では福井県と広島県が登場する。

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税務経理

【4月6日号】 相続人が2人以上いて、被相続人が地方税を滞納したまま死亡した場合は、各相続人の法定相続割合によって案分した額がそれぞれの相続人の納税責任として承継される。これは、実際に各相続人が遺産をどのように分割して取得したかとは関係がない。相続人B、C、Dの法定相続割合が2分の1、4分の1、4分の1であれば、Cが遺産を100%取得したとしても、納税責任は同割合に応じて各人が承継する。ただし、BとDがそれぞれ承継した額の地方税を納めないと、その納税責任は相続財産の範囲内でCに及ぶことになる(市町村アカデミー紙上研修「地方税法総則─基礎から実務まで─」)。

【4月9日号】 入門講座「実務に役立つ鑑定評価」は、わが国の会計基準では従来全く取り入れられていなかった「資産除去債務」についての解説。これは具体的には、▽定期借地契約終了後の建物撤去義務▽アスベスト(石綿)除去費用▽土壌汚染地の汚染物質除去債務──といった、法律などに基づく将来の支出を当初から認識しようとする手法を指す。これら資産除去債務については、将来の負担として財務諸表に反映すれば投資情報として役立つという考え方などを背景に、企業会計基準委員会(ASBJ)が2008年3月「資産除去債務に関する会計基準」を公表している。

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金融財政ビジネス

【4月8日号】 「回復に転じた日米の企業利益」と題し、2009年後半から今年にかけての日米の企業、経済動向などを分析した。それによると、米国の企業利益は、09年10〜12月期に前年同期を上回る水準まで回復した。しかし、その中で突出しているのは金融部門で、ほかの部門はまだ比較的低い利益水準にとどまっており、企業利益の回復は今のところ、雇用改善にはつながっていない。また、日本の企業利益も、09年10〜12月期に前年同期を大きく上回る水準に回復したが、これは輸出の急激な回復と人件費をはじめとするコストの圧縮に負うところが大きく、後者は雇用者報酬の激減という強烈な「副作用」をもたらしているという。

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