早読み行政誌

「幸福度」の指標はこれだ!(2010年4月19日〜4月23日号)

地方行政

 2つの連載が始まった。4月19日号の「地域主権構築のための自治体財務の変革」(全6回)と、同22日号の「幸福度評価に基づく、生活者起点の公共経営」(全3回)だ。前者は、上下水道、道路、鉄道、ダムなどが老朽化して更新ニーズが高まる中、これまでの全国一律型の地方債制度や交付金・補助金制度のままで果たして必要な資金を調達ができるのか──という問題意識の下、公的インフラの新たな資金調達のあり方などを提言していく。経団連の21世紀政策研究所が09年度に取り組んだ、公的インフラの資金調達のあり方を見直すプロジェクトを基に、上山信一慶大教授らが執筆している。後者は、新潟市都市政策研究所の研究報告。鳩山内閣は新成長戦略の中で「国民の『幸福度』を表す新たな指標を開発し、その向上に向けた取り組みを行う」方針を打ち出しているが、同研究所はこれに先んじる形で新潟市民の幸福度の測定・評価を行った。その手法や評価結果を紹介するとともに、市民の幸福と社会関係資本との関係などについて考察していく。

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内外教育

【4月20日号】 私立大学に通う学生の生活費は1日1123円。私立大学教職員組合が毎年、新入学生を対象に実施している調査で明らかになった。生活費は仕送り額から家賃を引いたものだが、1985年の調査開始以来、最低の記録。調査時期は2009年5月から6月。親の世代よりさらに厳しい生活を強いられる学生生活の経済実態が浮かび上がった。

 日本、米国、中国、韓国の4カ国を対象にした「高校生の勉強調査」で、日本の高校生は、授業中に先生が板書した内容をきちんとノートにとっている生徒が最も多い一方で、授業中に積極的に発言をする生徒が最も少ないことが判明。一見まじめだが、能動的な姿勢に欠ける高校生が多いのだろうか。

【4月23日号】 大阪府の橋下徹知事が都道府県の持つ小中学校の教員人事権を来年度に市区町へ移譲することを、文科省が認める方針を打ち出した。民主党政権が掲げる教育改革の実験的な前倒し実施となる。橋下知事の強力なリーダーシップが全面に出た形だが、都道府県レベルでは人事権の移譲に根強い反対論がある。「地方分権」は政治的には美しい響きを持つのだが、分権化作業の内実を解析した。

 「モンスターペアレントにどう対応する」の企画では番外編として、苦情を申し立てる親の意識を分析した調査結果を紹介した。親の5人に1人は苦情を学校に申し立てた経験があり、PTA役員の経験を持つ保護者より、学校活動にかかわらない疎遠層が無理難題を持ち掛ける傾向があることが浮かんだ。

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厚生福祉

【4月20日号】 連載中の「増加する有料老人ホームと高専賃」13回目は「有料老人ホームの看護、介護職員の役割とは何か」。有料老人ホームの医療問題への取り組みについて野村総合研究所が2008年に発表した「特定施設における医療サービス等の確保に関する調査研究報告書」に基づいて解説する。夜間は看護職員不在が74%を占め、入院後の「ホーム再入居可能」が6割に上ることなどが分かる。「新刊図書の中から」では『精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』など3冊を取り上げる。2010年度の都道府県政令市の予算特集では新潟県、静岡県、さいたま市を取り上げる。

【4月16日号】 連載「「増加する有料老人ホームと高専賃」の14回目は「特養での介護職員の『医療行為』で厚労省が通知」。厚生労働省が4月1日に都道府県に出した通知の内容、その背景、有識者による「特養における看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方」検討会の報告書を詳しく解説する。2010年度の都道府県政令市の予算特集では岡山県と佐賀県が登場する。

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税務経理

【4月23日号】 シリーズ「会社法の基礎」は「合併」の第2回。小規模会社または子会社を吸収合併する際にも常に株主総会の開催を必要としていては、機動的な組織の再編が難しくなるという考え方から、株主総会の決議を必要とせず取締役会の承認だけで吸収合併ができる「簡易合併」と「略式合併」の手法が会社法で認められた。このほか、吸収されて消滅する会社の株主への対価として、存続会社の株式に限定せず、存続会社の親会社の株式を交付するケース(三角合併)や、金銭のみを交付するケース(交付金合併)といった手法もある。当事会社が全部消滅して新しい会社を設立し、新設会社に消滅会社のすべての権利義務を承継させる「新設合併」方式もあるが、マスコミで「対等合併」と報道されていても実際は吸収合併の手法が採られている場合がほとんどで、新設合併はまれにしかないという。

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金融財政ビジネス

【4月22日号】 「米大統領から引導渡された鳩山首相」と題し、ワシントンで開かれた核安全保障サミットでの同首相と米オバマ大統領とのやりとりや沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題の見通しなどに関する記事を掲載した。それによると、鳩山首相とオバマ大統領との会談は夕食会でのわずか10分間の非公式なものだけで、「『これでは大統領から早く代わった方がよい』と引導を渡されたに等しい」と指摘。普天間飛行場移設でも「『5月末までに決着』との目論見は完全に破綻した」と厳しい見方を示している。

【4月19日号】 「市場の信認に不可欠な3つのC」と題する日本の国債の発行状況などに関する分析記事を掲載した。それによれば、「これまでは国債暴落論が語られてきたが、財政悪化の状況を踏まえると、国債増発の余地は乏しくなっている。国債市場の信認を維持するためのカギは『Communication(市場との対話、市場への愛)』『Creditability(市場に信用に足ると思われること、国債版マニフェスト〈公約〉)』『Coordination(協調、国債版三位一体)』の三つのCに集約される」と結論付けている。

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