【5月10日号】 二つの町のユニークな取り組みが掲載された。まずは、日本三名瀑の一つ「袋田の滝」がある茨城県大子町。少子高齢化による過疎化が進む中、人口減少に歯止めを掛けようと綿引久男町長は「子育て日本一」を掲げ、子育て家庭を対象としたユニークな施策を展開している。特に、町外からも注目を集めているのが、子どもの数に応じて町営住宅の家賃を減額する制度。本来5万円の家賃から、高校生以下の子どもが1人いれば1万円、2人なら1万5000円、3人以上なら2万円を減額する。町営住宅そのものを「子育て仕様」にした全国的にも珍しい取り組みだ。もう一つは福島県矢吹町。若手職員9人による行財政改革プロジェクトチーム(PT)が、役場組織のあり方などについて改革案をまとめ、野崎吉郎町長に提言した。現在の13課体制を9課に再編すべきといった意見が盛り込まれ、役場内では「衝撃的な内容だ」という声も上がったとか。若手職員による提言は、新しい自治体経営の方式を模索する試みの一つで、6月にも新たなPTを結成して具体化に向けた検討に着手するという。
【5月11日号】 公立小学校に全国で初めて学校選択制を導入するなど、閉塞感漂う日本の教育界に問題提起して来た東京都品川区の若月秀夫教育長にインタビュー。この10年間の改革の歩みを振り返ってもらった。「文科省は不要」「国家教育委員会の創設を」「高校無償化はポピュリズム」「教育委員会は首長部局に移す荒療治を」。教育界を取り巻く問題を縦横に語る言葉は、「制度改革」という視点だけで教育を考えてはならないという現場派教育長の重い提言となっている。
【5月14日号】 文科省キャリア官僚から公立中学校長に転身して1年がたった東京都品川区立大崎中学校長の浅田和伸氏にインタビュー、現場目線から見えて来た教育政策を語ってもらった。「人手が足りない」「モンスターと呼ばれ、学校に強く言って来る親に会えることがうれしい」。大きな仕事の喜びを肌に感じて、悪戦苦闘している光景が浮かび上がる。「最後は人」。制度改革の議論に次々追われる教育界。本質は議論ではなく、現場にあることがよく分かる。
【5月11日号】 連載中の「「増加する有料老人ホームと高専賃」17回目は「介護報酬、介護型ホーム、低所得者をめぐる課題を点検する」で、最終となる。介護付き有料老人ホームの経営者から「特定施設の介護報酬は特別養護老人ホーム(特養)や認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に比べて低い。引き上げてほしい」との要望が出ている。要介護5の場合で見ると、1日1人当たり特定施設一般型で8510円、特養従来型個室で8710円、同ユニット個室で9410円、グループホーム9000円となっていることを踏まえ、職員配置など格差の要因などを探る。低所得高齢者の介護が問題となっているため、東京都が昨年11月に「ケア付き賃貸住宅」などの整備を提言したことも取り上げる。2010年度の都道府県政令市の予算特集では札幌市と広島市を取り上げる。
【5月14日号】 新しく「2007年医療法人制度改革とその後」の連載を開始。初回は「社会医療法人、基金供出型などの創設で多様化」。医療法人の概要、07年制度改革のポイント、病院の65%が医療法人となっていることなどを解説する。今後、制度改革の影響などを検証していく。
【5月11日号】 相続人の明らかでない財産に関して「相続財産法人」が成立する場合、死亡した被相続人から同法人へと財産の名義を変更する手続きを行う「相続財産管理人」が選任される必要がある。選任されないと、地方税の滞納処分も困難になる。市町村アカデミー紙上研修「地方税法則則─基礎から実務まで─」第26回では、被相続人が税を滞納したまま死去して相続財産管理人も選任されないようなケースについて、自治体の徴税吏員(滞納処分吏員)自らが同管理人になるという手法を提案している。
【5月14日号】 シリーズ「会社法の基礎」は「合併」の第3回。新設合併によって消滅会社の債権者が重大な影響を受けるケースに配慮し、会社法では、各当事会社が債権者に対して異議を述べる機会を提供し、場合によっては弁済や担保提供をしなければならないとされている。そして、合併自体に瑕疵(かし)があれば、訴えによって合併の無効を主張することもできる。合併に関しては、会社法以外に、独占禁止法や金融証券取引法によっても規制が設けられている。
【5月10日号】 「存在感強める原油輸出国」と題し、イラクが世界第3位の原油確認埋蔵量を誇る国として油田開発を本格化させている状況を分析した。それによると、イラクは油田開発を経済復興の鍵とみており、旧フセイン政権下での経済制裁の影響から徐々に回復、存在感を高め始めているという。「イラク政府は『6年後には生産能力が日量1200万バレルに達する』(シャハリスタニ石油相)と強気の姿勢を示しており、世界最大の輸出国・サウジアラビアに次ぐ輸出大国に数年で上り詰める可能性もある。ただ、石油生産設備の老朽化や不安定な政治、治安の悪化など不安材料も多く、実際にどの程度生産量を確保できるかは、政治や治安情勢の推移に大きな影響を受けそうだ」と解説している。
【5月13日号】 「成長基盤強化の支援という『奇手』に出た日銀」と題して、日銀が4月30日に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の分析記事を掲載している。この記事は「追加の金融緩和が今後も避けられない情勢の中で、日銀は『成長基盤強化の支援』という『奇手』を繰り出したと言える」と位置付けている。