不意の災害に備え、地域では常日ごろ何をしておけばいいのか──。全労災協会が開催した講演会「地域と防災」の記事が24日号に掲載された。04年の中越大震災、07年の中越沖地震という2度の大きな地震を経験し、災害対策の陣頭指揮に当たった新潟県の泉田裕彦知事が講演。その後、泉田知事、中井洽内閣府防災担当相、古賀伸明連合会長の3人が、地域の防災力を高めるために必要な取り組みについて話し合った。特に、泉田知事の実体験に基づく話は聞き応えがあったという。災害時に住民がどのような辛酸をなめ、それを救護する行政にどんな問題があるのか、体験者しか知り得ない貴重なエピソードが語られ、来場者も真剣に聞き入っていた。
27日号では、松下政経塾とPHP総合研究所が共催したシンポジウム「減税自治体サミット」を取り上げた。独自の減税に取り組む名古屋市の河村たかし市長と東京都杉並区の山田宏区長が主賓。「市民税10%減税」の恒久化をめぐり、市議会と激しい対立を繰り広げている河村氏は、住民による議会のリコールに意欲を示し、「市民に訴え掛ける」と表明。一方、10年後の特別区民税10%減税に向けた「減税基金条例」を3月に成立させた山田氏は、成功の秘訣を紹介するとともに、新たに首長経験者らによる新党「日本創新党」を立ち上げた決意について語っている。
【5月25日号】 全国に先駆けて教員人事権を、北摂地区の3市2町に移譲することを目指す大阪府の中西正人教育長にインタビュー。「(北摂5市町に)問題をしっかり詰めて腹をくくってもらう必要がある」と語った。気になるのは、教育連携体の責任主体を問われ「3市2町で考えてもらうこと。府が指示を出すことではない」と答えた点。揚げ足を取るつもりはないが、「丸投げ」が透けて見える。連載企画「筑波大附属の実践」が佳境に入った。今回は附属小学校の算数を教える細水先生。「驚き」と「感動」で教えることを強調。教えることの極意を「子供の目を見て授業すること」と説かれると、当たり前のことだけど、納得してしまう。
【5月28日号】 福島県は意外と知られていないことかもしれないが、衆参の国会議員のほとんどが民主党で占める民主党王国だ。政界のご意見番として存在感のある渡部恒三元民主党顧問の地元、会津若松市の教育長に民主党政権の教育改革について聞いた。意外にも、と言うべきか、民主党が掲げる教育委員会構想について「大都市部だけの構想。過疎地域を含む地方では機能しない」と冷淡な反応を示した。教育政策が都市部選出の議員たちで練られたからなのか。意外な弱点が明らかになった。
【5月25日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の3回目は「社会医療法人の認定状況と業務認定要件を見る」。2008年度から始まった社会医療法人の認定状況を一覧表とともに取り上げる。今年1月1日現在で33都道府県の79法人が認定を受け、都道府県別に見ると大阪府11法人が最多で、医療法人が最多の東京都は2法人だけ。業務別では認定された96件の業務のうち救急医療が68件で最多。へき地医療など六つの業務それぞれについて認定要件を解説する。「新刊図書の中から」では「後期高齢者医療制度を再考する─豊かな長寿社会に向けての13の提言」などを紹介。
【5月28日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の4回目は「社会医療法人は付帯、収益業務をどう生かすのか」。社会医療法人に対する優遇措置のうち、収益事業や付帯業務について詳しく点検。付帯業務には看護師など医療関係者の養成、介護保険の通所介護、介護予防訪問介護などがある。医療用具、介護用品販売、配食サービスなど13の収益業務が認められており、「治療効果が高まる」などの効果があるという。2010年度の都道府県政令市の予算特集では北海道と長崎県を取り上げる。
【5月25日号】 「直言苦言」は、2010年度税制改正で実施された「1人オーナー課税制度の廃止」を取り上げている。個人事業者が1人オーナーとして会社を設立(法人成り)した場合に、法人段階で自分の役員報酬を法人税の損金に算入した上、個人段階では所得税に給与所得控除が適用される「二重控除」を防ぐため、05年度税制改正でこの制度が創設された。法人段階での給与所得控除相当額を損金不算入とすることによって公平を期したものの、法人税の損金不算入適用要件の根拠が意味不明だったり、所得税の概念を法人税に持ち込んでいたりといった問題を抱えていて、10年度税制改正で廃止された。ところが同年度税制改正大綱は「『二重控除』の問題を解消するための抜本的措置」を11年度改正で講じるとし、制度の「復活」させる含みを残している。筆者は、廃止後1年で同様の趣旨の措置を新設するのでは、納税者に不安と不信を与え、ただ現場を混乱させるだけだと指摘している。
【5月28日号】 シリーズ「会社法の基礎」は「事業譲渡」。会社の全部または一部を他の会社に譲渡することを事業譲渡と呼び、合併や会社分割のような包括移転と区別している。その具体的な定義は、最高裁判例などに基づき、単なる物質的な財産(商品、工場など)だけでなく、のれん(ブランド)や取引先などの経済的価値のある事実関係を含めた、事業に必要な有形・無形の財産を一体とした譲渡と解されている
【5月24日号】 「金融分野の新規業務参入規制を緩和」と題して、郵政改革関連法案に関する記事を掲載した。同記事は「郵政事業の抜本的見直しの具体的な内容を定めた郵政改革関連法案が5月18日から国会審議に入った。日本郵政グループの組織再編や、郵便・貯金・保険3事業の全国一律サービスの義務付け、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険への政府関与の維持など、同グループの公的性格を強め、金融2社の完全民営化を計画した、いわゆる『小泉郵政民営化路線』を大幅に転換する内容だ」と解説している。
【27日合併号】 「米ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレド経営からの示唆─ガバナンスの原点を探る」と題し、企業の危機管理対応の伝説的なケースとされる「タイレノール事件」の経験を持つ米医薬品・健康関連用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)を取り上げ、企業経営の在り方について分析した。それによると、米国において長年にわたり優良企業として高く評価されたJ&Jが取ってきたクレド(Credo=信条)をベースとする経営は、日本企業が活力を取り戻し発展する上で、示唆を数多く含んでいると思われる、と結論付けている。