早読み行政誌

「水ビジネス」に東京都が進出(2010年5月31日〜6月4日号)

地方行政

 5月31日号は、特集記事で東京都の「水ビジネス」を取り上げた。海外では民間企業が浄水施設の建設・管理などを一体的に受託する水ビジネスが拡大しており、都も水道事業の管理技術を海外に売り込むための検討を本格的に始めた。今年度からアジア諸国など計10カ国程度で市場調査を実施してニーズを探るとともに、都の水道事業を受託している三セクの「東京水道サービス」を中心にしたコンソーシアムが海外進出できるようビジネスモデルを確立する。石原慎太郎知事が「蛇口から飲める国はわずか。東京の水は世界一だ」と自賛する技術力の高さを武器に、打倒「水メジャー」を目指す。

 経済産業省の研究会が「買い物弱者」支援の報告書をまとめた。6月3日号の記事によると、買い物弱者とは日常の買い物に不便を感じている高齢者らで、その数は600万人に上ると推計している。支援策としては▽インターネットで注文を受けて食料品などを宅配する「ネットスーパー」▽車による移動販売▽希望に合わせて運行時間やルートを設定する「オンデマンドバス」──といった手段が考えられるが、問題は採算性。ビジネスとして成立しなければ民間参入は見込めない。そこで、同省はこうした民間支援に取り組む自治体の先進事例を集めたガイドラインを年度内にも取りまとめるという。

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内外教育

【6月1日号】 日本の教育行政を担う文科省で筆頭局に位置付けられる生涯学習政策局。その板東久美子局長は「中央教育審議会と併せて、熟議などの現場対応を進め、いろんな人が政策形成に参加していける仕組みづくりが始まっている」と民主党政権下での教育政策の進化を強調した。確かに、教育分野はいい意味での民主党らしい政策が打ち出しやすいのかもしれない。子供1人1台の情報端末を使っての近い将来の授業風景にも言及。近未来の教育像のアウトラインが見えて来る。

筑波大附属の実践3回目は、小学2年生の国語。授業は水族館でやる。水族館を2回目に訪れた子供たちは、もう生き物博士。水槽の前に立ち、説明員として来館者に説明する。その指導の秘密が明かされている。

【6月4日号】 旧文部省時代に入省し、大臣秘書官、内閣参事官などを務め、品川区立中学校長に転身した元キャリア官僚の浅田和伸さん。日本と米カリフォルニア、ニューヨーク両州の弁護士資格を持ちながら、弁護士を休業して大阪府立高校長となった中原徹さん。この異色の経歴を持つスーパーエリート2人が対談。子供たちの未来を見詰め、現場から説得力のある教育改革の方途を発信した。

「言数科」という科目がある。広島市教委が新学習指導要領を先取りして実施した「ひろしま型カリキュラム」で小中学校に設定された新設科目だ。4月から既に始まっている。広島市の秋葉市長が絶賛したカリキュラムだが、現場では思わぬ課題も浮上している。

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厚生福祉

【6月1日号】 「シリーズ『医の安全を目指して』」の4回目は「看護部門がけん引役果たす─先駆けの武蔵野赤十字病院の医療安全管理者に聞く」。医療事故を防止するため1999年から専門のリスクマネジメントナースを選任して先進的な取り組みをしている武蔵野赤十字病院の医療安全管理者へのインタビュー。医療事故による保険金が何億円にもなっていた同病院が防止対策に取り組むきっかけ、産業界の品質管理手法を参考にした事例分析、医療安全全国行動、課題などを聞いている。「新刊図書の中から」では「逝かない身体─ALS的日常を生きる」などを紹介。

【6月4日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の5回目は「社会医療法人をめぐる税制と会計」。社会医療法人を中心に医療法人の税制を図表とともに解説する。法人のメリットとして低い税率と給与所得控除があることなどが分かる。「海外トピックス」ではギリシャをはじめ財政危機にあるユーロ圏のポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランドの財政再建対策を紹介。公務員給与の削減、社会保障制度の見直しなどがある。

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税務経理

【6月4日号】 シリーズ「会社法の基礎」は「会社分割」の第1回。会社分割は、会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を切り離し、それを新会社として独立させたり、他の会社に承継させたりする制度で、▽成長部門を独立させて競争力を強化する▽不採算部門を分離する─などの場合に利用される。会社法の制定に伴う簡素化・柔軟化でより使い勝手のよい仕組みに改められたが、株主や債権者の保護に万全を期すための細かい規定が定められている。中でも、分割に伴って分割会社の債務は債権者の個別同意を得ずに承継会社に受け継がれるため、債権者の保護手続きは特に重視されている。

【6月1日号】 会社合併で、合併後に存続・新設される法人は、消滅する法人の権利義務とともに、納税義務も承継する。市町村アカデミー紙上研修「地方税法総則─基礎から実務まで─」第28回では、こうした場合の納税義務の承継を取り上げ、人格のない社団・財団を含めてその手続きを解説している(「事業譲渡」「組織変更」ではこうした納税義務の承継は行われない)。

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金融財政ビジネス

【6月3日号】 知的財産(IP)の現状や将来の在り方などを連続インタビューで描き出すIPフロントランナーという連載企画がスタート。その第1回として「『物づくり』から『知恵づくり』へ」と題し、荒井寿光・東京中小企業投資育成社長(元特許庁長官)に話を聞いた。荒井社長は「世界は、農業社会から工業社会へと発展してきたが、今は知識社会に移行している。経済の焦点は『物づくり』から『知恵づくり』に移っている」と強調している。
 今回の連載では、IPの専門家らによるコラム「IPレーダー」も併せて掲載を開始した。第1回は「国内3D作品の未来」と題して金沢工業大学大学院客員教授の土井宏文氏が執筆。「特許権などの技術的な側面と著作権などの制作的な側面とをうまく連動させて初めて、国内における3D作品の将来があるような気がする」と結論付けている。

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