【6月14日号】は、特集で道州制移行に向けた経済同友会の提言を取り上げた。道州制を導入する場合に、人口が多く企業が集積している東京23区を「東京特別州」として創設。23区には税源も集中しているため、東京特別州の歳入の一部をほかの地域との財政力格差を緩和する財政調整の原資とするよう求めている。税源が一極集中している東京を区割りや財政などの制度設計でどう取り扱うかという「東京問題」と、国から道州に税源移譲する際に国の長期債務も地方に移譲するのかという問題は、道州制を検討する上で重要な論点とされている。同友会がまとめた今回の提言は、この2点について講じるべき対応策を示したものだ。
総務省の地方行財政検討会議が10日、地方自治法の抜本改正に向けた「基本的な考え方」をまとめた。6月17日号の解説記事によると、自治体組織のあり方や首長・議会議員の選出方法については住民が選択できるようにする方向を打ち出すとともに、多くの自治体で不適正な経理が判明したことを踏まえ、現行の監査委員や外部監査の制度はゼロベースで大胆に見直すべきだと指摘している。政府は、検討会議の議論の内容を踏まえ、自治法抜本改正の基本的なあり方を、今夏に策定する「地域主権戦略大綱」に盛り込む方針だ。また、同会議は11月をめどに論点を取りまとめ、これを受けて総務省は来年の通常国会への自治法改正案提出を目指すという。
【6月15日号】 連載「筑波大附属の実践」第5回目は、理科と言葉の関係を考える。発見学習をベースにした「順思考」と、学んだ知識を前提としそれに合う実験法を考える「逆思考」。より確かな学力を子供たちに身につけさせる指導法はどちらか。筑波大附属小学校の理科の熟練教諭の講義が、図入りで3ページにわたって展開される。
【6月18日号】 鹿児島の中2まりあ。この4月から男子制服を着て通学している。ようやく世間でも知られるようになった「性同一性障害」。体の性と心の性が一致しない状態だが、治療法があるわけではない。中学生親子の葛藤と、「男子」と扱う決断をした中学校の校長にこれまでを聞いた。障害を生きる重さは否定しようがないが、生徒の明るさと、メディア対応を含めた母親の腹の決め方が見事だ。
【6月15日号】 大阪市が開催した生活保護行政のあり方を話し合う30都市合同会議を特集する。各市の実態や「貧困ビジネス」撃退策、居宅生活移行支援策などについての情報を交換した。連載「2007年医療法人制度改革とその後」の7回目は「『非営利性とは何か』『規制会議はどんな答申をしたのか』」。2007年医療法人制度改革の基本方針に沿って非営利性、公益性の具体的な内容を厚生労働省の検討会報告などに基づいて点検する。「社説拝見」は5月後期分の「子ども手当」や産業ビジョンについての社説を論評する。
【6月18日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の8回目は「MS法人と配当禁止の関係を点検する」。医療法人関係者の営利性や配当禁止などをどう考えているかを2005年の調査に基づいて紹介。その結果に基づいて日本医療法人協会が出資額限度法人の法制化を要望していることが分かる。「新刊図書の中から」では「生き方の不平等─お互いさまの社会に向けて」などを取り上げる。
【6月15日号・18日号】 今年5月、電子部品大手の日本電波工業は、国内の上場企業として初めて国際会計基準(IFRS)に基づく決算を発表した。IFRSは、早ければ2015年に日本の上場企業すべてに強制適用される可能性が出てきている。新連載「国際会計基準─見方・読み方」の第1回(15日号)は、金融資本市場のグローバル化とともにIFRSへの需要が高まっていった歴史を振り返りつつ、日本で受容されるに至った背景などを説明する。第2回(18日号)では、連結業績を日本基準とIFRSの両方で発表した日本電波工業の決算短信を解説。財務諸表が日本基準とIFRSとでどのように異なっているかを、短信に記載されている「連結財政状態計算書」「連結包括利益計算書」「連結持分変動計算書」などを点検しつつ明らかにする。
6月14日号では、「企業業績、本格回復視野に」と題して大手企業の2010年3月期決算に関するまとめ記事を掲載している。それによると「コストダウンに成功した電機や自動車などの輸出型製造業に牽引される形で、大手を中心とする東証1部上場企業は2期ぶりに増益を達成した。ただ、ギリシャに端を発した欧州での信用不安や外国為替相場の円高・ユーロ安、政策効果の反動などの波乱要因が企業側の回復シナリオに水を差す可能性がある」などと解説している。
6月17日号には、首相の交代に伴う7月の参院選の動向などを分析した「菅政権で息吹き返した民主」を掲載した。それによると「鳩山政権で参院選に臨めば、同党の惨敗は必至だった。しかし、鳩山由紀夫前首相は同党の小沢一郎前幹事長を『道連れ』に辞任。菅直人首相は党役員・閣僚人事で『脱小沢』色を鮮明にし、民主党への逆風は収まり、世論は新政権への期待感を高めている。菅首相は小沢氏の影響力をどこまで排除できるか。『脱小沢』が本物かどうかを見極める必要がある」と分析している。