6月21日号の「政治潮流」によると、参院選で民主党は50議席以上を確保し、第1党になるのは確実な情勢だという。鳩山由紀夫前首相と小沢一郎前幹事長のダブル辞任と菅政権誕生によって、民主党政権の支持率が「V字回復」を果たしたためだ。しかし、筆者は「政治とカネの問題も、米軍普天間飛行場移設問題も解決したわけではない」と指摘。「小手先で国民を目くらましに遭わせるようなことをしてほしくない」と主張する。つまり、「小鳩体制で正々堂々と民意を問い、そこで敗北したら、鳩山、小沢両氏には謹慎してもらい、小鳩抜きで政権を立て直す。その方が長期的に見て、民主党のためになった」というのだ。参院選で民主党が勝利したとしても、それは「選挙至上主義がもたらした結果であり、憲政史上に汚点を残したと記録されるに違いない」と締めくくっている。
6月24日号に、国土交通省・成長戦略会議がまとめた最終報告書の記事が掲載された。報告書は、航空や観光など同省所管5分野について、日本の国際競争力を高める具体策を提言し、政策の優先順位や今後の工程表を示したのが特徴だ。羽田空港の国際拠点化や訪日外国人年間3000万人達成など華々しい提案が盛り込まれたが、実現には課題も山積している。例えば、羽田の国際拠点化には成田空港の地元・千葉県との調整が不可欠だ。将来に向けた成長戦略も「実行しなければただの紙」(国交省幹部)だけに、政府全体の取り組み姿勢が問われることになりそうだ。
【6月22日号】 京都市は明治の初め、住民がお金を出し合い日本で最初の64の学区制小学校を作った。今でも少人数教育や学校運営協議会などの先進的な取り組みは全国のモデルとなっている。市長になる前7年間は教育長として、京都市の教育改革に取り組み、現在も中教審の委員を務める門川大作市長。市長はインタビューで「共汗関係」を説いた。「子供は地域の宝、社会の宝」。子供を地域みんなで育てる、一緒に汗をかく、こんな仕組みづくりへのメッセージだった。
【6月25日合併号】 合併号のため、「あすの政策」を聞くインタビューが2本読める。1本は教育界のご意見番ともいえる全国連合退職校長会長。もう1本は、政治主導で影の薄かった文科事務次官。
ご意見番は時に過激だ。家庭でのしつけの責任をはっきりさせるために、家庭の役割と責任を法制化することを求める、と主張。インタビューアーが慌てて「法制化はなじまないのでは」と聞いても、「親から理不尽な要求を突きつけられた時に、それは家庭の問題でしょう、と学校がはっきり言える」と応えた。
久々のメディア登場となった次官。民主党政権誕生時には許されなかった政務三役会議へ3月から、オブザーバー参加していることを明らかにした上で、「政とは仕事通じ信頼関係」と蜜月を示唆。「強い者に巻かれろ」。かつての「日の丸君が代路線」も自民党文教族がいたからか、と妙に納得できる。
【6月22日号】 「子ども手当の波紋」を特集する。子ども手当の創設にともなって全国の自治体でこれまで独自に子育て世帯向けに支給していた手当や助成を見直す動きが相次いでいる状況を紹介する。群馬県太田市や名古屋市などが独自手当の廃止、縮小に踏み切る一方、静岡県島田市や兵庫県三木市のように手当受給者向けの新規施策を打ち出す自治体もある。「インタビュールーム」では自殺率やがん死亡率でワースト1の秋田県の中野恵健康福祉部長に電話でがん検診の受診を促す取り組みなどについて聴いている。「新刊図書の中から」では「なくそう! 官製ワーキングプア」など3冊を紹介する。
【6月25日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の9回目は「出資額限度法人と持ち分をめぐる裁判」。今年4月に最高裁判決が出た医療法人の出資金返還請求権の相続をめぐる判例を詳しく解説する。「新刊図書の中から」では「癌を追って ある貴重な闘病体験」などを取り上げる。
【6月22日号】 「国際会計基準─見方・読み方」の第3回は、国際会計基準(IFRS)による決算書の業績内容が日本基準での決算書と異なってくる要因を分析する。今年3月期の連結業績を日本基準とIFRSの両方で発表した日本電波工業の場合、IFRSでは日本基準に比べ売上高が約6000万円、営業利益は約700万円少なくなっている。両基準で差異が生じる理由は、▽売り上げの計上時点が異なる▽日本基準でいう「営業外損益」「特別損益」が、IFRSでは違う項目で計上される──などが挙げられる。
【6月25日号】 シリーズ「会社法の基礎」は「会社分割」の第2回。会社が、その事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割によって設立する会社に承継させることを「新設分割」といい、一般的には、分社化による新会社設立がこれに当たる。会社分割に対しては、株主総会での承認、反対株主の株式買い取り請求権、債権者保護手続きといった事項が会社法で規定されている以外に、労働契約承継法(会社分割に伴う労働者の保護手続き)、金融商品取引法、独占禁止法による規制もある。
6月24日号では、「虎視眈々と『9月反攻』狙う小沢氏」と題して7月11日の参院選投開票を前に、今後の政局などを分析した記事を掲載している。それによると「鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長(いずれも当時)の『ダブル辞任』によって内閣、民主党両支持率がV字回復した。このまま参院選で勝利し、同党の単独過半数獲得も見えてくるのか。それとも菅直人首相が自ら掲げた『54議席』のハードルを超えられず、またもや短命政権に終わってしまうのか。9月の同党代表選には、鳩山氏に『寝首をかかれた』小沢氏が最後の政治生命を懸け、戦いに挑んでこよう。この勝負、どちらに転んでも『民主党分裂─政界再編』へのきっかけとなる可能性が大きい」などと解説している。
また、「IPスペシャル」として、政府の知的財産戦略本部がまとめた「知的財産推進計画2010」に関する解説記事を載せている。それによると「知財推進計画は、日本経済が置かれた現状について『一度は追い付いたかに思えた欧米諸国には再び引き離され、猛進する新興国には追い付かれ、追い抜かれつつある』と警鐘を鳴らし、『国際標準や知的財産の活用』を日本が潜在力を発揮して国際競争を勝ち抜くカギに挙げた」としている。