7月12日号は「米経済に不安要素が増加」と題して、米国と日本の最近の経済動向を分析する記事を掲載した。それによると、「米国では住宅取得特別減税制度の終了によって、住宅市場が再び軟化の兆しを見せ始めた。マインド面の悪化を背景に貯蓄率が上昇し、消費支出でも伸び率の鈍化が見られる。米国経済の先行きに不安要素が増えてきている。堅調だった日本の輸出にも、伸び率の鈍化傾向が出てきている。消費を支えてきたエコカー減税、エコポイント制度などの景気対策の効果が薄れつつあることも見えてきた。法人税率の引き下げによって賃金の増加を促す政策が望まれる」などと解説している。
7月15日号では「知財活用へ自治体や金融機関とも協力」と題して日本弁理士会の筒井大和会長へのインタビュー記事を掲載した。それによると、「筒井会長は、特許や意匠・商標権の申請が最近減少傾向にあることについて『出願件数は国民のパワーのバロメーターだ』などと指摘。さらに、知的財産権(IP)分野で、海外の企業が日本ではビジネスチャンスが少ないとみて特許出願を見送る『ジャパンパッシング』が起きている可能性があるとして、強い危機感を表明した。その上で筒井会長は、大学や中小企業のほか地方自治体や金融機関でIPを活用する必要性を強調。日本弁理士会として積極的に協力していく姿勢を示した」としている。
7月12日号の特集は、自治体ウェブサイトの標準化を目指しているNPO団体「アスコエ」(安井秀行代表)が開催した自治体サイト審査発表会を取り上げた。「ユーザビリティー」をキーワードに専門家や一般利用者が下した評価で総合1位に輝いたのは、兵庫県姫路市のサイト。また、「引っ越し部門」で大阪市、「子育て部門」で千葉県習志野市がそれぞれ1位に選ばれた。いずれも「お役所仕事」ではない、親切なサイト作りが高く評価されたという。姫路市サイトの特長は、「市民のみなさまへ」「訪問・観光されるみなさまへ」「事業者のみなさまへ」の三つのタブで導線を明確にしたことや、新着情報とは別に「特にお知らせしたいこと」というエリアを設け、分かりやすい情報提供に努めている点。市長や各局長が投稿する「幹部ブログ」など、親しみやすさを演出する工夫もうかがえる。
7月15日号には、本誌連載「若者Iターンと起業の島」(今年1月)でおなじみの島根県海士町が登場。今回は県立島前高校が今年度から導入した「島留学制度」にスポットを当てた。地域の高校には地元の中学生が入学するという従来の発想を超えて島外、さらに県外からも積極的に募集しようという野心的な取り組みだ。6月下旬には都内でも初めて島留学制度の説明会を開催し、首都圏に住む中学生と保護者ら約20人が出席したという。
【7月13日号】 コミュニティースクールの先駆け東京都三鷹市の市立第4小学校の様子をリポートした。地域ボランティアには、クラスに担任と一緒に入り教えるスタディー・アドバイザー(SA=学習支援者)と、趣味や特技を生かしクラブ活動、総合的な学習の時間を支援するコミュニティー・ティーチャー(CT)の2種類がある。さまざまな問題はあるのだが、女性校長の「時代が変われば子供たちのニーズも変わる。マンネリでは学校も化石になってしまう。学校も新しい風邪を吹かせ、変わり続けなければ」という言葉が、何とも清々しい。
【7月16日号】 経済協力開発機構(OECD)は日本政府に対して就学前教育への公的支出が少ないとして、増額を勧告した。教育チームのメンバーとして日本に戻った日本人アナリスト田熊美保さんにインタビュー。大学授業料の高い日本にとって、高等教育への支援が先ではないかと尋ねると、「幼児教育への注力は社会的なリターンになる。高等教育では奨学金やローンなど他のオプションがある」と答えた。優先順位でどちらが先か、財源の問題に行き着いてしまうのだろうか。
コミュ二ティースクールの現状をリポートする3回目は、1970年代から80年代にかけて東京湾岸を埋め立てて造成された千葉県習志野市の住宅地にある秋津小学校。一昔前は住宅地の前に「新興」と形容されたが、今は世代交代が進む。ベッドタウンの盛衰と学校の関係が、興味深い。
【7月13日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の12回目は「強まる『相続税の納税猶予』の要望。日本医師会が今年度の医療に関する税制に関して要望した相続税と贈与税の納税猶予制度の拡充について詳しく解説。納税猶予の計算例や相続税の税率表を示して医療機関の承継について考える。「インタビュールーム」では山形県社会福祉事業団の「村山障害者就業、生活支援センター」所長の二関郁子さんが登場する。施設外での障害者の就労機会拡大への取り組みを聞いている。
【7月16日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の13回目は「基金拠出型医療法人とは何か」。07年の制度改革で新設された医療法人について創設の狙いや背景を紹介する。「地域を支える」では岐阜市にある介護付き宿泊施設の「シティタワー、アンキーノ」を取り上げる。JR岐阜駅前の複合ビルの3階にある24時間体制の介護が受けられる施設で、「人間の尊厳を支えるケア」を目指す同施設の取り組みを紹介する。
【7月16日号】 既存の2社が株式を交換することにより、1社を完全親会社、他方の1社を完全子会社とする組織再編手続きを「株式交換」という。シリーズ「会社法の基礎」では2回にわたり、この株式交換について制度の概要や手続きの流れなどを解説する。
完全子会社になれるのは、株式交換という手法がその株式を完全親会社に取得させることを目的としているため、株式会社に限られる。また完全親会社になれるのは、株式会社と合同会社に限られる。そして、株式交換比率(完全子会社となる会社の株式1株につき、完全親会社の株式何株と交換するかを示す比率)の算定に当たっては、当事会社の株主の利害に直接関係することであるため、▽当事会社各社の株価、資産内容、収益状況▽完全子会社となる会社の経営体質、人材、技術──などが考慮される。