早読み行政誌

公文書管理を改善—都城市の挑戦(2010年8月2日〜8月6日号)

地方行政

 8月2日号から時事通信解説委員長による「政局を読む」が始まった。初回のテーマは「首相の器」で、筆者は「菅直人首相はつくづく『首相の器』ではない」と嘆く。なぜなら、このまま政権を続ければ「必ず政権運営は行き詰まり、衆院解散に追い込まれ」、「民主党は敗北して政権の座から滑り落ちる可能性が高い」。首相が決断すべきは「自ら退陣すること以外にない」のに、それができないから「『首相の器』にあらず」と言うのだ。首相を見ていて思い付くキーワードの一つは「覚悟のなさ」だという。それは「選挙で負ければ責任を取って首相を辞める覚悟のないまま最高権力者になったこと」で、「何か事に臨むに当たって、失敗すれば腹を切る覚悟のない者に、『大業』は成し得ない」と手厳しい。

 また、8月5日号からは「自治体と公文書管理」の連載もスタートした。公文書管理法の施行を来年4月に控え、政令およびガイドラインの素案に対して目下、パブリックコメント(意見公募)が実施されている。素案は、伝統的簿冊式整理からの脱皮を意識しており、地方自治体にも改善対応が迫られる。連載では、これからの自治体の公文書管理改善をどのように進めるべきかについて、NPO法人行政文書管理改善機構(アドミック)が地方公務員を対象に募集した懸賞論文の入選作を中心に掲載し、新しい公文書管理の方法を紹介していく。初回の論文は「公文書管理の改善戦略」で、筆者は宮崎県都城市企画部行政改革課副主幹の別府雅彦氏。

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【8月3日号】 国立教育研究所がペーパーテストなどで計れない分野の学力の実態を調べる「特定課題調査」。音楽では、多くの子供が音程やリズム感にも恵まれているが、表現力に課題があることが浮かび上がった。音楽を聞くことが楽しい、好きということと、次の一歩を結び付けるのは難しいのだろうか。ちょっと考えさせられる、興味深い調査だ。

【8月6日号】 学校ボランティアを少しでも増やそうという動きが始まっている。酷暑の7月末。東京都港区のホールで東京学芸など国私立6大学が集まって、「教育における公共のあり方と教育支援人材」というタイトルのシンポジウムが開かれた。タイトル名は硬いが、要するに学校ボランティアの拡大のために免許ではなく、「支援可能な人材」と認定する制度をつくろうというもの。「新しい公共」の枠組みで、地域と学校の関係をとらえ直す動きの一端だ。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【8月3日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の15回目を「医療への株式会社の参入論議を振り返る」と題して解説。2009年末に日本医師会が見解を発表した医療への株式会社参入問題について総合規制改革会議などでの論争を振り返る。同会議が2003年にまとめた第三次答申の内容、04年から06年にかけての論点、関連する法律、「介護でも会社は問題多い」と指摘した日医の意見などを紹介する。「海外トッピクス」ではメキシコ湾での原油流出事故の処理作業や中国の大気清浄度などを取り上げる。「新刊図書の中から」では「消費税のカラクリ」「ドキュメント ひきこもり」などを解説する。

【8月6日号】 連載「2007年医療法人制度改革とその後」の16回目は「『株式会社特区』の拡大は是か非か」。構造改革特区での株式会社の医療への参入問題を取り上げて解説。神戸市や長野県からの申請内容、医師会の反発、05年に申請の「かながわバイオ医療産業特区」の認定、同特区への評価などを点検する。「新刊図書の中から」では「年金は本当にもらえるのか?」「読む人間ドック」などを紹介する。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【8月6日号】 国際会計基準(IFRS)には、「会計の憲法」ともいわれる「フレームワーク」が設定され、IFRSの重要な概念を網羅している。シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」第5回では、このフレームワークの内容について解説する。例えば、こうした重要概念の一つである「発生主義会計」の発生主義とは、取引などについて会計上は発生時に認識するという考え方をいい、現金が入ってくる時、あるいは出て行く時に認識する「現金主義」と対比される。また「継続企業の原則」(ゴーイング・コンサーン)は、企業が将来にわたって継続して事業活動を行う原則のことを指し、企業の解散や清算は前提としていない。貸借対照表なども、こうした企業の「継続」が前提となる。

【8月3日号】 「地方税法総則─基礎から実務まで─」第32回は、「連帯納税義務」を取り上げている。共有物や共同使用物、共同事業などに対する地方税は、その複数いる納税者が連帯して納税する義務を負う。2人以上の者による共同事業で、従業員の給与から住民税を天引きして納入している場合には、この2人以上の共同事業者(特別徴収義務者)に「連帯納入義務」が成立する。こうした連帯責任の考え方は、税に限らず▽児童福祉法に規定する子の保育費用▽2人以上が共有する土地家屋の公共下水道受益者負担金▽給食費─などにも適用される

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【8月2日号】 「労働生産性のばらつきと景気変動」と題する経済物理学入門の第13回を掲載した。それによると、「労働生産性にはばらつきがあり、その分布は有効需要によって決まっている。新古典派経済学は、産業・企業間を労働者が移動することによって労働生産性が同じとなる『均衡』を説くが、それが現実に正しくないことはよく知られている。産業や企業間の労働者の移動や分布のランダム性を取り入れて、労働生産性の分布を説明するのが、本連載第2回で紹介された青木・吉川理論である。この理論はその後、実証的研究と超統計物理学の適用という新段階へと進化した。それにより、労働生産性の分布が需要の変動から説明されることが明らかになった」などと指摘している。

【8月5日号】 「積極的な財政健全化策が必要」と題して日本の財政問題に関する解説記事を掲載した。それによると、「6月下旬にカナダで開かれた主要国首脳会議(サミット)と20カ国・地域(G20)首脳会合では、世界経済の成長と先進国の財政健全化の両立がテーマとなった。菅直人首相は『強い経済、強い財政、強い社会保障』の方針に基づき『新成長戦略』(6月18日閣議決定)と『財政運営戦略』(6月22日閣議決定)を世界に対して説明。一方、G20共同宣言は『先進国は13年までに少なくとも財政赤字を半減させ、16年までに政府債務の対GDP比を安定化または低下させる財政計画にコミットした』と打ち上げた。債務残高の対GDP比で財政状況を評価すれば、日本は世界で最悪の状態であるにもかかわらず、日本の財政健全化計画は悠長にも映る。ギリシャなどの一部南欧諸国のソブリンリスク問題に衆目が集まる中『日本は財政健全化に消極的だ』と捉えられることはぜひとも避ける必要があるだろう」としている。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは