早読み行政誌

竜馬人気と民主敗北に相関関係?(2010年8月23日〜8月27日号)

地方行政

 8月19・23日合併号では、「混迷続く諫早開門問題」として、有明海奥部で養殖ノリの色落ちなど大規模な漁業被害の原因解明に取り組んできた佐賀大・低平地沿岸海域研究センターのシンポジウムを取り上げた。長崎県諫早湾の国営干拓事業で潮受け堤防が締め切られ、当初は拓事業により湾内の潮流が減少したことが原因との見方が強かったが、速水祐一准教授は「環境変動だけでは生態系被害の説明がつかない」と言う。つまり、10年間にわたる同センターの調査研究でも漁業不振の原因は特定できず、10年前に政府の中央水産研究所研究室長として原因究明に取り組んだ佐々木克之氏は「正確な原因分析のためには中長期の開門調査が必要」と強調している。

 8月26日号の特集記事は「奥山市政1年を検証」。仙台市の奥山恵美子市長が22日で、就任から丸1年を迎えた。市職員として副市長まで上り詰めたものの、梅原克彦前市長のトップダウン型の政治手法に反発し、昨年3月に辞任。同7月の市長選に立候補し、政令市初の女性市長となった。就任後は市政運営の基本を対話方式に変え、財政再建や地域経済の活性化などに取り組んできた。しかし、まちづくりのキーワードに掲げた「行動する市民力」はいまだに実態が見えず、「スピード感が乏しい」との指摘もある。市長自身にも「政治家に成り切れていない」との思いがあるといい、「行政マンとしてのバランス力」という今の奥山カラーからの「変身」が求められているという。

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内外教育

【8月24日号】 最近、ニュースに登場する回数がめっきり減ったエイズ。8月6日、東京都文京区の日本医師会大講堂で開かれたエイズ教育シンポジウムの模様をリポートした。養護教諭や医療関係者ら200人が出席。性教育に触れるのが中学3年と規定される学習指導要領に対し、初交年齢の低下が進む現実に対応しないとの指摘が医療関係者から上がった。HIVの主要感染経路は性行為。感染を増やさないため、指導要領の改訂が必要との認識が会場内に広まった。

【8月27日号】 今年の日本教育学会は8月21、22の両日、広島大学で開かれた。その中で、ネットいじめの実態に関する研究報告が目を引く。匿名性の高いインターネットは、いじめの被害者と加害者が入れ替わりやすい。そうした環境の中で、成績が上がったり、下がったりした子供の方が、よりターゲットになりやすいという。京都市の小学生2600人を対象にしたアンケート結果だ。携帯を持たせただけでは、親の責任を果たしたことにはならない。ネット社会を生きるルールを子供たちに教えることが必要だ。

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厚生福祉

【8月24日号】 「救え! 超高齢社会 介護、医療、予防─行政の果たすべき責務とは」と題した実務セミナーを特集する。8月4日に弊社主催で開催したもので、自治体関係者約500人が参加した。厚生労働省の宮島老健局長、大森東大名誉教授、仙台市の岩崎前副市長らの講演を詳しく紹介する。宮島局長は都市部の高齢化、低所得高齢者の居住、介護従事者の処遇改善などを課題に挙げた。シリーズ「医の安全を目指して」の6回目は「医療安全の『困った』を解決─寄せられた悩みに答えるQ&A」。一元管理、内服薬の標準化などについての具体例を取り上げる。京都府の「マザーズジョブカフェ」開設についても紹介する。

【8月27日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設、事業所」の2回目は「障害者支援施設のサービス内容などを見る」。創作的活動や生産活動にも重点が置かれている障害者支援施設のサービス内容を点検する。「インタビュールーム」では長崎市病院事業管理者の楠本征夫さんが登場。ER型の救命救急センターを設置する新たな市立病院の整備について聞いた。

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税務経理

【8月24日号】 固定資産税や相続税の課税の基礎となる財産の価値が適正に評価されているかどうかは、納税者にとって非常に気になる問題。財産が不当に高く評価され、適正水準以上の税金を掛けられているのではないかという納税者の疑念と、国・地方の税務職員は日常的に向き合わなくてはならない。20日号からの新連載「検証・租税判決から見た不動産の時価」は、紛争事例の多い不動産の評価に関する判例を取り上げ、裁判所の判断を左右した要因について解説を加えていく。24日号の第2回では、父親との間の売買契約により「著しく低い価額」で土地を譲り受けたことに対し、相続税法上の贈与があったとみなした国税不服審判所の裁決を検証。同裁決では、納税者と国税当局それぞれが主張した土地の時価のいずれも認められなかった。こうした点を踏まえ、課税当局が時価を算定する際には▽適切な取引事例の採用▽セットバックなどの修正要因の取り扱い──などに配慮が求められるとしている。

【8月27日号】 「地方税法総則─基礎から実務まで─」第33回は、引き続き「連帯納税義務」を取り上げる。一定額の連帯納税義務に対して、債権者である自治体は各納税義務者にそれぞれ総額の納税告知をすることができる。例えば税額30万円について納税義務者A、Bがいる場合、両人は連帯して納付する義務を負っているので、うち1人が全額を支払う形でも徴収できる。ただし、「分割納税義務」である場合は、分割された税額の範囲内で納付請求をしなければならず、各納税義務者がすべて納付しないと全額の徴収ができない。

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金融財政ビジネス

【8月23日号】 「竜馬人気と民主敗北に相関関係?」と題するコラム「新・歴史夜話」を掲載した。コラムは「NHKの大河ドラマ「龍馬伝」がなかなかの人気だそうだ。歴史物はロマンを駆り立てることが多い。戦国と幕末〜明治政府の頃が二つの大きな人気時代だとされ、熱狂的なファンがいると聞く。また、坂本竜馬や織田信長など、特定個人へのひいきが強いようだが、「龍馬伝」や同じくドラマの「坂の上の雲」などに対する人気、あるいは戦国時代への憧れの中には、単なる個人崇拝や自分自身の投影といったレベルではない、新しい時代への期待の強さも感じるものがあり、選挙の結果がそれを示しているようだ」などと指摘している。

【8月26日号】 日本航空の再建問題を分析した解説記事として「期限は支援決定から3年以内」を掲載した。それによると、「日本航空の再建は、企業再生支援機構による支援の下、会社更生法の適用を受けて進められているが、8月末になっている更生計画案の裁判所への提出期限が近づき、事態は緊迫してきた。再建は3段階に分かれており、第1段階で事業の『仕分けと整理』を行い、第2段階で『更生計画案の策定』、裁判所の承認を受けて第3段階の『更生作業』に取り組むことになる。支援機構による更生の期間は、支援の決定から3年以内と定められており、この間に更生のめどを付けてスポンサーを募り、保有株式や債権を譲渡することになる。支援の決定は2010年1月19日だったため、更生の期限は13年1月となる。」としている。

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