【10月14日号】 総務省は、地方自治体の2009年度決算に基づく健全化判断比率と資金不足比率の速報値をまとめた。それによると、47都道府県と1750市区町村のうち、国の管理下で再建が義務付けられる「財政再生団体」は、前年度に続き北海道夕張市だけ。破綻も懸念され、警告段階となる「早期健全化基準」を超えた自治体は前年度より8団体少ない13市町村で、新たに同基準を上回り「財政健全化団体」になる自治体はなかった。同省は「地方自治体財政健全化法の趣旨や財政健全化の意識が自治体に浸透し、着実に計画を実施したことにより(財政健全化団体)が減った」(財務調査課)と分析。「新たに基準以上の団体がないのも健全化への意識が高まった結果」(同)と受け止めている。
片山善博総務相が時事通信などの就任インタビューに応じた。この中で、住民が署名を集めて条例の制定・改廃などを求める直接請求制度について、「使い勝手の悪さを認識している」とし、住民にとって使い勝手の良い制度となるよう見直す考えを示した。その具体例として「条例制定・改廃の直接請求」を取り上げ、「大勢の署名を集めて、集まったらどうなるかというと、また議会で判断することになる。議会でぺしゃんと(否決)されたら、労多くして益なしということになり、本当にこれで良いのかなという疑問がある」などと語った。
【10月15日号】 文科省キャリア官僚だった品川区立大崎中学の浅田和伸校長が執筆する「元キャリア官僚の校長奮闘日誌」が面白い。「(子供たちの)規範意識を育てるのは決して容易なことではない」と言う。校長になって1年半の経験から、「卑怯」を憎む心を育てることの特別の難しさ、を指摘している。品川区では、徳育をより実践的で実効のあるものにしようと「市民科」が設けられている。しかし、現場の努力がなかなか実らない。最大の障害は、大人社会そのものにある。「自分の利益のためにうそをついてもよい」という風潮だ。何せ、検事が証拠をねつ造するのだから。
【10月15日号】 省庁別の2010年度予算概算要求詳報を特集。初回は厚生労働省。上積みを目指す子ども手当については「事項要求」として結論を年末の予算編成に先送りしたことや特別枠で子宮頸がんのワクチン接種の助成など15事業を計上、医師の偏在是正に取り組む「地域医療支援センター」の設置予算が盛り込まれていることが分かる。新連載「〝最貧国〟の最新事情」の2回目は「エコロジーと生活の楽しみ」。自動車の燃料の90%がガソリンから天然ガスに切り替わったことや、小型の電動自動車、自転車による「リキシャ」の普及で大気汚染が改善されていることなどのほか、人々の楽しみとしては映画、音楽を取り上げ、ワールドカップサッカーのテレビ観戦ではアルゼンチンかブラジルだけを応援していた様子を紹介する。「新刊図書の中から」では「雨のち曇り、そして晴れ」「うつと気分障害」「リハビリテーション入門」の3冊を取り上げる。
【10月15日号】 2011年度税制改正が動き出した。政府税制調査会の本格始動と前後して、民主党は、消費税を含む税制抜本改革と社会保障の姿を議論するため「税と社会保障の抜本改革調査会」を設置。15日号のインタビュー記事「消費税上げと議員削減はセット─藤井元財務相に聞く」では、同調査会の会長に就任した藤井裕久元財務相が、税率引き上げを想定した消費税の在り方について、さまざまな所見を述べている。例えば、「国会議員削減と消費税の引き上げはワンパッケージだ」として、世論の理解を得るために政治家も血を流す覚悟を強調。さらに、「消費税は目的税でなければならない」「政府がルーズなことをしてつくった穴を消費税で埋める発想は絶対許せない」と力説している。
「地方税法総則─基礎から実務まで─」第35回は、引き続き「連帯納税義務」を取り上げる。土地家屋に課税される固定資産税について、既に死亡している被相続人が納税義務者となっている場合でも、自治体は現に土地家屋を所有する相続人を確定して課税を行わなくてはならない。相続が何回も繰り返され、相続人の数を正確に確定することが困難だったとしても、調査によってとりあえず判明した相続人に課税するしかない。相続人の誰もが連帯納税義務を負っていることからすれば、調査で判明した相続人の一人に納税の告知を行って徴収することになる。