早読み行政誌

課税に役立つ!不動産時価の評価法(2010年10月18日〜10月22日号)

地方行政

【10月18日号】 連載「自治体のためのウェブサイト改善術」の13回目は、サイトの改善・構築に欠かせない評価について。サイトを評価する代表的な手法は、(1)アンケート(2)ヒューリスティック評価(エンジニアやデザイナーなどの専門家が、経験則に照らし合わせてサイトを評価し、問題を明らかにする手法)(3)ユーザーテスト──の三つで、いずれも専門事業者に委託をすれば、高額な費用が必要になるという。筆者は、評価手法の基本的考え方を抽出し、限られた予算の中で実行可能な形にして紹介した上で、専門事業者に丸投げをするのではなく、「できることから、今すぐ、自分で」取り組んでほしいと訴えている。

【10月21日号】 厚生労働省が、年金手帳や健康保険証などを1枚のICカードに集約する「社会保障カード」(仮称)について、2009年度に全国7地域で実施した実証事業の結果をまとめた。同省は「7地域とも社保カードで利便性が向上し、プライバシー面での問題も生じなかった」(情報連携基盤推進室)ことを高く評価する一方で、「社保カードの配布方法など技術的課題も見つかった」(同)としている。社保カードは自公政権が導入を進めていた。現在の民主党政権はこれに替えて、新年金制度と同時期に「税と社会保障にかかわる共通番号」を導入することを検討中で、同省は利便性やプライバシー保護など実証事業で得られた知見を共通番号の制度設計にも生かしていく考えだ。

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内外教育

【10月19日号】 08年秋のリーマンショックで派遣切り、雇い止めに遭った定住外国人の子供たちのその後を追跡する3回連載「あなたの隣の外国人」。通っていた外国人学校が撤退して、学校に行っていない(不就学)の子供が急増している。しかし、その実数すら定かでない。群馬県伊勢崎市と東京都品川区から、その実態と取り組みをリポートした。

【10月22日号】 グローバリゼーションは檻には閉じ込めておけない。日本に流入する外国人労働者の問題は、その子弟の教育を公教育がどうケアするのかという問題も突きつけている。日本の法令では外国人の子供には就学義務は課せられないが、一方で、子供には「国際人権規約」に基づき教育を受ける権利がある。リーマンショックでブラジル人学校が続々と撤退、不就学の子供が急増。日本語が分からない子供が来た学校は対応の仕方が分からず、予算も人員もないまま慌てている。どうするのか。渾身のリポート「あなたの隣の外国人」が、切ない学校現場を描きだした。

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厚生福祉

【10月19日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設、事業所」の8回目は「施設、事業所は自立支援法や報酬体系をどう見ているのか」。障害者施設などから自立支援法についてさまざまな意見が出ているが、高知県自治研究センター、大阪府守口市、全国知事会などの調査結果を取り上げる。それによると、障害程度区分を「評価しない」との意見が多いことや支援法の施行で減収となった事業所が目立つことなどが分かる。新連載「〝最貧国〟の最新事情」の3回目は「周囲をインドに囲まれた国」。雨季には国土の3分の1が水面下になるバングラデシュの地理的状況や世界自然遺産に指定されている熱帯林の国立公園などについて解説する。

【10月22日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設、事業所」の9回目は「施設、事業所の従事者の状況と人員基準」。サービス管理責任者、生活指導員、支援員、心理判定員など施設従事者の職種の内容や人員の配置基準を解説する。連載「〝最貧国〟の最新事情」の4回目は「高温多湿と高密度人口」。バングラデシュで井戸水によるヒ素中毒が問題となっていることや人口抑制策を講じてもなお人口が増加、1974年の独立時点の倍以上になっていることが分かる。「新刊図書の中から」では「生きようよ」「財政危機と社会保障」「生の暴発、死の誘惑」の3冊を取り上げる。

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税務経理

【10月22日号】 「直言苦言」の「収納率の向上を考える」で、知人の話として次のような事例が紹介されている。ある農家が、野菜などを公園に隣接する所有地で販売すると、売り上げは多い日で50万円に達し、自分の年金額の2カ月分を1日で稼ぎ出す。公園への来園者が多い日は家族総動員になるが、税金は1円も払っていないという。筆者はこれらの例に基づきながら、「(農家所得は)具体的にどの程度の確度で捕捉しているのだろうか」と、暗に税務当局への疑問を投げ掛ける。その一方では、農家に対する戸別所得補償制度の受け付けが始まっている。筆者は自身を省みて「わずかな年金、パートで税を払う身である」と嘆息しつつ、「焼け石に水だが、(中略)地道な収納率の向上対策が求められている気がする」と結んでいる。

【10月19日号】 「検証・租税判決から見た不動産の時価」は、固定資産税の課税標準である「適正な時価」(地方税法341条5号)について。バブル崩壊前後の地価が乱高下した時代には、税額に直結する適正な時価の解釈をめぐって多くの紛争が発生した。土地から将来得られると予想される収益を、現在価値にまで割り戻して算出する「収益還元価格」が適正な時価となり得るかどうかについて最高裁は2006年7月の判決で、適正な時価とは「正常な条件の下に成立する客観的な交換価値をいう」とし、収益還元価格説を認めた二審判決を破棄した。この最高裁判決の根底にある考え方として、公示価格の鑑定評価などでは土地利用によって将来得られる収益に着目することは必須である半面、固定資産税での適正な時価を取り扱う場合には「客観的な交換価値が前面に押し出され、収益還元価格がその背後に退く」と解説する。

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金融財政ビジネス

【10月18日号】 「具現化しなかった『危機』の行方」と題して中・東欧地域の金融・経済動向を分析した記事を掲載した。それによると、「ギリシャの債務危機に端を発した欧州での信用不安は今年5月に最高潮に達し、ユーロ圏のみならず、世界経済を大きく揺さぶった。しかしその約1年前の2009年春、国際金融市場では、中・東欧発の通貨危機がまことしやかにささやかれていた。その後、つながりの深いユーロ圏経済の回復に歩調を合わせ、中・東欧も平静を取り戻している。ギリシャ危機の陰に隠れた格好の、具現化しなかった『危機』だが、同地域の経済の脆弱さが改善したとは言えず、課題も多く残されている」などとしている。

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