【10月25日号】 内政関係の旬の話題にスポットを当てて解説する「内政フォーカス」が始まった。第1弾として取り上げたのは、政府の行政刷新会議による「特別会計の事業仕分け」。特会は、今年度予算で見ると歳出総額で367・1兆円、各会計間のやりとりなどを除いた歳出純計額でも176・4兆円に上り、一般会計(約92・3兆円)の2倍近くもある。財務省が厳しく査定する一般会計と異なり、所管省庁のチェックのみのため、以前から無駄遣いや利権の温床とも指摘されていた。米軍普天間飛行場移設をめぐる迷走や「政治とカネ」の問題、尖閣諸島沖衝突事件での対応など、失点続きの民主党政権にとって、過去2回の事業仕分けは数少ない「得点」の一つ。今回の仕分けは、柳の下の「3匹目のどじょう」となるか。
【10月28日号】 特集記事では、熊本県が今年度からスタートさせた「ひとり親家庭等応援事業」を取り上げた。「子どもの貧困をなくすこと」(県少子化対策課)を最終的な目標に掲げ、仕事のない親への就業支援をはじめ、食育サポーターの派遣による食育支援、塾に通えない子どもへの学習支援などを総合的に展開する全国でも珍しい取り組みだ。蒲島郁夫知事はこの事業の意義を、地域の世話役だった「おばあさんの役割」と説く。「人類の発展の中で、おばあさんというのはとても大きな役割を果たしてきた。核家族化が進み、その役割を果たす人はなかなかいない。行政がその役割を果たすという新しい取り組みにチャレンジしたい」と意気込んでいる。
【10月26日号】 外国人子弟の教育問題を採り上げた連載「あなたの隣の外国人」最終回は、ブラジル滞在歴が長く、自らもブラジル人学校や子供たちの支援に動く東海大学教養学部の小貫大輔准教授に登場してもらった。今、ブラジルは経済発展が著しく、帰国した方が就業機会もありそうな感じだが、やはりコネ社会。何年かブラジルを離れていた日系人にとっては、帰国の選択も難しい。2007年に改正された教育基本法について、小貫准教授は「すべて国民は」との表現は「すべて日本に居住する人は」と書かれるべきだった、と主張する。
【10月26日号】 省庁別の2010年度予算概算要求詳報の2回目は経済産業省。低炭素産業立地補助金など環境、エネルギー産業の立地促進、医療や介護の技術開発に重点を置いていることを紹介する。連載「〝最貧国〟の最新事情」の5回目は「自然と農業」。バングラデシュの花が咲き乱れる美しい自然や多収穫の品種改良が進む米などの農業について解説する。果物栽培では研究所を設けてマンゴーの品種を101種類も開発していることなどが分かる。「インタビュールーム」では埼玉県少子政策課長の樋口俊宏さんが登場。授乳スペースなどを整備した「赤ちゃんの駅」4000カ所設置を目指しているという。
【10月29日号】 厚生労働省の小宮山洋子副大臣へのインタビューを特集。子ども手当の支給額は当初の構想で1万6000円だったのが、小沢一郎氏の演説から2万6000円になった経緯などを明らかにしている。連載「揺れる障害者自立支援法と施設、事業所」の10回目は「施設、事業所の従事者の給与水準などを見る」。厚生労働省の2008年障害福祉サービス等実態調査結果などに基づいて生活支援員、保育士など障害者らに直接サービスを提供する職員の給与水準を詳しく提示。共同作業所などの連絡会による労働条件の調査で職員の6割近くが「辞めたいと思ったことがある」と回答したことが分かる。「地域を支える」では札幌市の喫茶店「宮田屋珈琲」を取り上げる。社会福祉法人の「ともに福祉会」と協力して障害者を雇用した喫茶店を市役所内にオープンさせたことを紹介する。
【10月26日号】 「地方税法総則─基礎から実務まで─」第36回では、「更正、決定または賦課決定の期間制限および消滅時効」の章がスタート。地方自治体は地方税の課税に際して納税義務を確定させる必要があり、一定期間を経過するまで納税義務を確定させないで放置すると、課税権は消滅する。納税義務の確定行為には、申告・決定済みの税額の誤りを修正する「更正」、納税者が申告期限までに申告しない場合に自治体の長が税額を確定させる「決定」などがあり、それぞれ3年や5年といった期間制限が設けられている。このほか、納期限を過ぎたり過少申告したりした場合の制裁として本税に上乗せされる加算金にも、決定のための期間制限が定められている。
【10月29日号】 シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」第9回は、財務諸表の様式と表示内容について。国際会計基準(IFRS)と日本の会計基準との違いが問題となる会計処理方法の一つに「総額主義」と「純額主義」がある。日本の商社では、買い手から受け取った金額の総額を損益計算書に記載する「総額表示」が慣行的に行われているが、IFRSの会計処理を取り入れると、取引の代理人として回収し得た手数料のみが記載対象となる(純額表示)。同様の問題は、メーカーや卸問屋から商品を仕入れて販売する百貨店などにも生ずると考えられ、これらの業種の売上高に大きな影響を与えるという。
【10月25日号】 「日本経済は難題に挑戦せよ!」と題して、日本経済が次の10年でどんな視点から課題の解決に望むべきかについて分析した記事を掲載した。それによると、「日本経済は、バブル崩壊後の1990年代に厳しい調整局面を経験し、その期間は『失われた10年』と呼ばれた。現在でもなお多くの未解決の問題があり、『失われた20年』とさえ言われるようになっている。しかし、グローバリゼーション、人口の高齢化、環境制約の強まりなどへの対応は、いずれも先進経済に共通の難しい課題であり、日本がいち早くこれらに挑戦し、前向きな解を見つけ出すことができれば、それは世界の範となり得る」などとしている。
【10月28日号】 「市場のポテンシャル力に迫る」と題する経済物理学入門(連載)の第16回を掲載した。同記事は「『株式などの市場の価格は、ニュースなどの市場外の情報によって決まる』と考えている人は多いのではないだろうか。しかし、市場外の情報から適正な株価を算出する公式は存在せず、ニュースに対する反応も人それぞれである。一方で、デリバティブ(金融派生商品)の値付けやポートフォリオ運用に理論的な根拠を与えている金融工学の枠組みでは、市場価格の変動をコインのトスと同じように確率2分の1のランダムな現象だとみなし、ニュースの効果も過去の変動も切り捨てた数理モデルを用いる。これに対し経済物理学は、現実の市場価格の詳細で膨大な時系列データを丁寧に分析することで、過去数分間の市場の価格変動が次の価格変動に大きな影響を与えていることを明らかにした。そして、その直近の過去の変動が現在の価格に及ぼす力の強さを『ポテンシャル力』という形で表すことにより、ボラティリティーの揺らぎはもちろん、暴騰や暴落のような方向性のある変動をも一貫して説明できるようになった。また、市場のデータからポテンシャル力をリアルタイムで推定し、市場に潜在する変動リスクを定量化する手法も確立され、急速に実務に応用されつつある」などと分析している。