早読み行政誌

「羽田国際化」でハブ空港分散の危険(2010年11月1日〜11月5日号)

地方行政

【11月1日号】 内政関係の旬の話題に焦点を当てた「内政フォーカス」の第2弾は「羽田国際化」。羽田空港では、4本目となる新滑走路と新国際線ターミナルが10月21日に供用開始した。発着枠の増加と都心部からのアクセス、国内各地への乗り継ぎといった利便性を生かし、国は羽田と成田空港と一体的に強化することでアジアの国際拠点空港(ハブ空港)化を目指す方針だ。しかし、課題は少なくないという。その一つは、海外のハブ空港の多くが一つの空港に絞られているのに対し、日本には成田、関西、中部の各国際空港が既にあることだ。羽田の国際化とともに他の空港との役割分担を考えていかないと、足の引っ張り合いに陥って結局は近隣国のハブ空港に国内の利用客までさらわれてしまう。各空港がそろって衰退してしまうかもしれない危険が潜んでいるというわけだ。

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内外教育

【11月2日号】 心身のバランスを崩し、休職する教員が増えている。東京都は学校への復帰を支援する「リワークプラザ東京」を今年5月から立ち上げた。心の病で苦しむ教員の増える中で、東京都教育庁が直接運営する全国でも先進的な組織だ。学校に戻ってもまた休職してしまうケースも多い。まだ、成果を問うまでにはいたっていないが、現場の事務長がインタビューに応じ、重く長い心の苦しみの一部を語った。

【11月5日号】 運動会、学芸会、卒業式……。学校行事に保護者が持ち込むカメラをめぐるトラブルで悩む学校は多い。写真を撮られる子供たちは本当に喜んでいるのだろうか。小野田正利・大阪大学大学院教授の連載「モンスターペアレント論を超えて」は、大阪キタの繁華街のお好み焼き屋に集まった教頭ら三人の教師が、モダン焼きをつっつきながら、解決策を探った。「撮られる子供は本当にうれしいのだろうか」、「誰のための学校行事か」。教師の議論は、当たり前過ぎる前提条件に行き着いた。

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厚生福祉

【11月5日号】 連載「〝最貧国〟の最新事情」の6回目は「政治と母語」。バングラデシュで「ホッタール」と呼ばれるゼネストの状況、旧東パキスタンから新生のバングラデシュとなってからの血なまぐさい歴史を解説、建国の父で暗殺されたムジブル、ラーマンの娘でAL党首のシェーク、ハシナ現首相と、陸軍参謀長から大統領になった夫を暗殺された前首相のカレダ、ジアBNP党首との政争からゼネストが頻発していることなどが分かる。同国の独立運動のきっかけともなったベンガル語を公用語として守った運動も取り上げる。「インタビュールーム」では福島県病院事業管理者の高地英夫氏が登場する。県立病院改革を進め、9病院1診療所から6病院体制に改め、2011年度には県立病院と民間病院の統合を図ることとしている同県の取り組みについて聴き、改革が「地域医療を守るための最善の方法」だとの考えなどが分かる。

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税務経理

【11月2日号】 「検証・租税判決から見た不動産の時価」は、前回に引き続き、固定資産税の課税標準である「適正な時価」を取り上げている。2003年度の固定資産課税台帳に登録された土地の価格が適正な時価を上回るかどうかが争われた訴訟で、さいたま地裁は05年3月30日、登録された価格が高すぎるとして固定資産評価審査委員会による審査を求めていた原告に対し、▽土地の面積が大きすぎるという理由で30%も減価する根拠は認め難い▽原告が重視すべきだと主張する「開発法」を用いて算定した土地価格は、客観的交換価値を考える上では規範性に疑義がある──などとして、訴えを退けた。原告の請求は、控訴審、上告審でも棄却された。開発法については、その算定過程で、収入や費用、利回り率といった客観的な基準としてとらえにくい要素が介在するほか、試算に当たって専門的な判断が求められるという。このため筆者は、さいたま地裁判決について「(開発法が)課税の公平性、評価の画一性を重視する固定資産税の評価に相いれないものと考えられたのではないか」と分析している。

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金融財政ビジネス

【11月1日号】 「習副主席の次期総書記が確定」と題する連載「チャイナ・ウオッチ 万物静観」を掲載した。それによると、「中国共産党は10月15〜18日に第17期中央委員会第5回総会(5中総会)を開き、習近平国家副主席(57)の党中央軍事委員会副主席兼任を決めた。これにより、習副主席が2012年の第18回党大会で党総書記に就任することが事実上、確定した。今後の焦点は、現最高指導者の胡錦濤氏が12年に総書記、13年に国家主席を退任した後も軍事委主席を続投するかどうかだ。習副主席は江沢民前国家主席に近いといわれ、胡氏にとっては『外様』となる。習副主席が総書記と同時に軍事委主席のポストを得られなければ、12年以後は胡氏による院政が敷かれることになる」などとしている。

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