早読み行政誌

甲子園連覇監督が学校経営者に!(2010年11月8日〜11月12日号)

地方行政

【11月8・11日号】 10月11日から同15日までの日程で、中国浙江省などを訪問した静岡県の川勝平太知事。尖閣諸島沖の漁船衝突問題をきっかけに日中間の緊張が高まり、出発直前まで同省の呂祖善省長との会談をめぐり事務レベルの調整が続く厳しい環境での外遊となった。その同行記が上下2回(下は11日号)で掲載された。それによると、省長との会談は実現し、環境など3分野での協力協定にも調印するなど、「両県省間の友好交流関係を深化させる」(知事)との所期の目的を達成。また、昨年開港した富士山静岡空港の利活用促進の鍵を握る中国東方航空からは、静岡─上海線1日1往復便化の早期実現を目指すとの発言を引き出すこともできた。逆風下でも訪中予定を覆さなかった知事の決断は「吉」と出たわけだ。

  今回の訪中は、日中関係の緊張を受けて足踏み状態にあった自治体レベルの交流再開の先導役も果たした。日中関係は、当時の小泉純一郎首相による靖国神社参拝、毒入りギョーザ事件など摩擦が起きるたびに悪化し、徐々に修復するプロセスを繰り返している。経済成長で中国の自信は今後ますます強まるだけに、関係改善への障壁が高くなるのは避けられない。そうした中で、外交・軍事などの分野で生じた国家間対立の融和を促す上で自治体交流が重要な役割を担うことを、今回の訪中は改めて印象付けたという。

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内外教育

【11月9日号】 「シチズンシップ教育」という言葉を知っていますか?「市民性教育」とも訳されている。このシチズンシップ教育をテーマに高校教員らでつくる「全国公民科・社会科教育研究会」(石井杉生東京都立西高校長)の授業研究委員会が10月下旬、研究集会を都内で開いた。政治や経済の仕組みを理解し、暗記させるだけの公民科でいいのか、という問題意識が根底にある。マニフェスト、模擬投票などを手掛かりとした実践例が報告され、「良き市民」となる道が模索された。「成績が必ずしも秀でていない生徒でも集中して取り組める」との指摘も。「政治参加」が常識だった時代に育った古い世代には、ちょっと理解できない教育状況が見えてくる。

【11月12日号】 春夏の甲子園を制覇した沖縄・興南高校の我喜屋優監督は今年7月から、興南学園の理事長になった。同校のOBだが、民間から監督を経て学園経営者としての理事長に就いた。経営者として何を目指すのか、野球の監督業と学園経営者の違いなどを存分に語るインタビューが、高校野球ファンでなくとも面白い。

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厚生福祉

【11月5日号】 連載「〝最貧国〟の最新事情」の7回目は「『日航機ハイジャック事件』と国会建設の頃」。バングラデシュがパキスタンから独立してから6年後の1977年、ハイジャック事件で日航機が強制着陸させられたのが同国のダッカ空港だった。事件当時に軍事クーデターが起きていたこと、その中で赤軍派との交渉に冷静に当たっていた軍幹部が交渉の録音テープを29年も保管していたこと、労働人口が30年間で倍以上に増えていることなどが分かる。「地域を支える」では金沢市の北國銀行を取り上げ、森づくりやボランティア活動に積極的に取り組んでいる様子を紹介する。

【11月12日号】 連載「〝最貧国〟の最新事情」の8回目は「憎しみと悲しみからの再生」。バングラデシュの独立戦争時に、インドからの避難民でベンガル語を話せないビハール人が多くのベンガル人の情報を軍に流し、虐殺に加わったこと、男性がいなくなった村でスウェーデンのNGOが女性の保護と自立支援の活動を進めたこと、ジュート、縫製、製薬などの企業や病院、看護学校の事業を展開しているシャハ家の歴史(独立戦争時に創始者と後継者が殺害されたこと)を紹介する。「インタビュールーム」では福井県健康福祉部の梅田武彦・陽子線がん治療センター準備室長が登場。最先端のがん治療で健康長寿県を目指している取り組み、展望を聴いている。

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税務経理

【11月9日号】 「高福祉国家と消費税─スウェーデンからの教訓─」の第4回は、スウェーデンの消費税の現状と問題点について。同国は1969年、小売売上税に代えて税率11.1%の消費税を導入した。その後税率は徐々に引き上げられ、91年にはそれまでの軽減税率を原則として廃止するとともに、標準税率を25%とする改革が行われた。しかし、92年から再び軽減税率が用いられ、事実上、3段階の税率構造となって今日に至っている。複数の税率が存在することは、▽行政にとって多大なコスト負担となる▽必需品を軽課しぜいたく品を重課して逆進性を緩和する狙いがあるとしても、消費財を必需品とぜいたく品とで一線を画すことは困難──などの点から問題視され、たびたび単一税率化が論議されてきた。例えば、ピザをレストランで食べると25%、持ち帰って食べると12%となるが、これを必需品/ぜいたく品という区分で説明するのは難しいとしている。

【11月12日号】 シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」第10回は、国際会計基準(IFRS)の前提である簿記の基本について解説している。現在、企業会計の手法として広く採用されている複式簿記では、すべての取引が貸方と借方に分けて記録される。貸借の合計額は必ず一致することが求められるため、一致しない場合は記帳ミスが発生していることになり、検証が行われる。取引には必ず何らかの原因があって結果が存在するという規則性に着目し、一つの処理に対し二つの記帳をするので、複式簿記と呼ばれる。

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金融財政ビジネス

【11月8日号】 連載「IPフロントランナー」の一環として「人材の海外流出に危機感」と題する杉山知之・デジタルハリウッド大学学長へのインタビュー記事を掲載した。それによると、「映像、音楽、アニメーションなどのコンテンツに関する教育を専門的に行っているデジタルハリウッド大学の杉山学長は『国内の市場だけではいろいろな意味で頭打ちになるので、海外市場をどう広げていくかが課題だ』と指摘した。その上で、優良なコンテンツを創造できる人材をどんなに育成しても、彼らが活躍できる場を国内に設けない限り『海外の良い条件で働ける場に流れて行ってしまう』と、強い危機感を表明した」などとしている。

【11月11日号】 「実質ゼロ金利は2年程度継続か」と題して日銀が10月28日に発表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)に関する分析記事を掲載した。それによると、「2012年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)に関する政策委員の大勢見通しの中央値は、前年度比プラス0・6%になった。日銀が物価安定とみている『プラス1%程度』までは距離があり、実質ゼロ金利政策は最低でもあと2年程度は続くと予想される。ただし、日銀が掲げる『時間軸』には、早めの解除への糸口になり得る『落とし穴』があることにも留意したい」としている。

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