【11月15日号】 今回、内政フォーカスが取り上げたのは「八ツ場ダム」。八ツ場ダムの建設中止は、民主党が衆院選マニフェストで打ち出した目玉政策の一つで、前原誠司前国交相は昨年の就任早々に明言している。しかし、菅改造内閣で国交相に就任した馬淵澄夫氏は、就任後初めてダム予定地を視察し、「中止の方向性には言及しない。予断を持たずに再検証していく」と述べ、建設中止の方針を一時棚上げする考えを表明した。民主党は、普天間飛行場の移設問題でもマニフェストで打ち出した県外移転を目指した。その結果、県内移設を主張する米国と県外移設に期待した沖縄との間で板挟みとなって迷走を続け、鳩山政権崩壊の一因となるなど大きなダメージを負った。八ツ場ダムの建設中止問題も、対応を誤れば国民の不信感はさらに増大し、民主党にとって取り返しのつかない事態になる恐れもある。
【11月18日号】 東京大公共政策大学院は10月19日、公開フォーラム「我が国の持続的成長を牽引する社会資本整備と資金調達手法の多様化」を開催した。国や多くの自治体が財政難に苦しむ中、税金や公債発行など従来の公的な資金に頼るだけでは、新規の社会資本投資はおろか、既存の社会インフラの維持、管理すら十分進まなくなるとの懸念が強いことを背景に、民間から資金を募る道筋を確立し、必要なインフラ整備を後押しするのが目的だ。民間にとっても新たな投資ビジネスのチャンスになるという。
【11月16日号】 読んだら泣きます。教育誌だから時にはいいでしょう。涙を拭いた時には、展望がはっきりと見えます。好評連載「筑波大附属の実践」第21回は、大塚特別支援学校で支援部長という地域支援のコーディネーターを務める安部博志教諭が筆者。2通の手紙の紹介から始まります。死を必ず考えるという、発達障害児を持つ保護者の苦闘、そして……。支え合う社会の一員として、われわれは何を目指すべきなのか。読むとさわやかな気持ちになります。
【11月19日号】 1979年から続き、今年で32回目となる「少年の主張全国大会」が11月7日、開かれた。全国51万人の応募の中から都道府県、中央審査を通過した12人が大会に臨んだ。内閣総理大臣賞は、がんで母を亡くした記憶をたどった静岡県沼津市立第3中3年の内村綸笑さんの「命」。病魔と闘った母を追憶しながら、命の大切さを訴えた。恒例の行事だが、訴える内容は毎回、深くて重い。
【11月16日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設・事業所」の12回目は「人材確保の障害となるのは何か」。熊本県福祉人材・研修センターの調査結果と障がい者制度改革推進会議総合福祉部会での意見を取り上げて、福祉教育やサービス体系の簡素化が求められていることなどを解説する。連載「〝最貧国〟の最新事情」の9回目は「人間と生活を重視する開発と教育」。多産多死からの脱却を目指して各種の保健活動を進めてきたバングラデシュ。ファミリープランニングや子供の下痢疾患対策などによって合計特殊出生率、5歳未満児の死亡率がともに低下し、成果を上げつつあることが分かる。「地域を支える」では大阪府東大阪市にある障害者通所更生施設の「第三ひびき作業所」を取り上げ、自閉症などの利用者の個性を生かした陶芸作品を生み出し、売り上げも徐々に伸ばしていることを紹介する。
【11月19日号】 省庁別の2010年度予算概算要求詳報の3回目は文部科学賞。10年ぶりの教員定数改善、がん専門医の養成などの項目が盛り込まれていることが分かる。連載「〝最貧国〟の最新事情」の10回目は「小・中学校における教育推進の努力」。経済格差が子供の教育の格差につながるバングラデシュで、小学校の公教育を無料化し、後回しにされがちな女子の中学校授業料を無料とした結果、小・中学校の在籍者が順調に増えていること、母親が働く工場に隣接してNGOが運営する保育所が整備されている事例などを紹介する。「地域を支える」では佐賀県嬉野市にある「佐賀嬉野バリアフリーツアーセンター」を取り上げる。
【11月19日号】 巻頭言「フォーラム」では日本不動産鑑定協会副会長の緒方瑞穂氏が、「専門家の能力」と題し、医師や弁護士、公認会計士といった専門資格者の能力について問題提起している。それによると、近年、不動産鑑定報酬や弁護士報酬、会計士監査報酬の分野にも競争入札が入り込んでいるという。筆者はこれについて「依頼者はおそらく、資格者は均一の専門能力を持っているという認識で、競争させるのであろう」との見方を示す一方、駆け出しの不動産鑑定士だった当時に冷や汗をかいた自らの体験を披歴しつつ、試験に合格したこと自体は「既に一定の専門能力があることを保証するものではない」と指摘する。こうした点を踏まえた上でもなお、「専門能力を価格競争入札で判断することが公平で正義にかなうことなのだろうか」と疑問を投げ掛ける。
【11月16日号】 「地方税法総則─基礎から実務まで─」第37回は、前回に続いて、更正、決定などの手続きの期間制限を取り上げている。10年または20年間他人の不動産を占有した者は、その不動産を時効取得する(民法162条)が、不動産取得税を課税できることになった日は「占有開始日」ではなく、時効期間が満了して取得された日というのが通説になっている。占有開始日にまでさかのぼると、不動産を取得した時点では同税の期間制限の期間(5年)を経過してしまっており、賦課決定ができなくなるためだという。
【11月15日号】 「11年度以降は緩やかな回復へ」と題して日銀が10月28日に発表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)に関する分析記事を、11月11日号に引き続いて掲載した。それによると、「2010年度は円高の進展などで成長率を下方修正したものの、11年度以降は『緩やかな回復経路に再び復していく』と予想。これに伴って物価は上昇基調を強め、12年度の消費者物価指数(CPI)は前年度比プラス0・6%(政策委員の大勢見通しの中央値)に上昇すると予想した」などとしている。
【11月18日号】 「初の女性元首、波乱の船出へ」と題してブラジルの大統領選挙を分析した記事を掲載した。それによると、「世界第8位の国内総生産(GDP)を誇る文字通りの『大国』に成長した南米のブラジルで10月31日、ルラ大統領(65)の任期満了に伴う大統領選の決選投票が行われ、与党・労働党のジルマ・ルセフ元官房長官(62)が当選を果たした。当選後の勝利演説で『女性でもやれるということを見てもらいたい』と力強く語ったルセフ氏。ブラジル初の女性大統領として、歴史にどのように名が刻まれるのか。政治、外交、経済など多くの分野で課題が山積しているだけに、2011年1月1日に発足する新政権は、波乱の船出を迎えそうだ」などとしている。