早読み行政誌

地域に眠る「潜在ホームヘルパー」 (2010年12月6日〜12月10日号)

地方行政

【12月6日号】 「自治体の防災危機管理」の連載が始まった。筆者は東京都板橋区で防災課長を務めた鍵屋一氏(現区民文化部参事)。危機管理を考えなかったばかりに厳しい状況に陥った人や企業、自治体をたくさん見てきたという鍵屋氏は、その結論として、危機管理の考え方は全ての自治体職員にとって有用であり、必要だと断言する。住民や議員から前例にない要求が来たときにどう対応するか、職員が失敗したときにどうフォローするかなど、日々の仕事はマニュアル通りにいかないことの連続だからだ。鍵屋氏は、危機管理に関するさまざまな話を気軽に読んでもらって、自然に知識を身につけてもらえればありがたいとしている。

【12月9日号】 特集は「地域に眠る『潜在ホームヘルパー』を活かすために(上)」。介護分野は「やりがいはあるけれど、大変な仕事」といわれて久しい。しかし、高齢化の進展に伴い介護サービスの需要がさらに高まる中で、それを支える担い手をどう確保していくかは、どの地域でも共通の課題になっていくことが予想される。介護人材の確保が難しい一因として、自分たちの地域において介護分野に就業しようとしている人の姿や、彼らが抱えている就業上のニーズが見えていないということはないだろうか。特集ではこうした点に注目して、介護分野に関心を持つ層のニーズに迫る。

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【12月7日号】 作文指導はどうするか。連載23回目となった「筑波大学附属の実践」は、駒場中・高校の若手国語教諭が展開する「ライティング・ワークショップ(WW)」を紹介する。従来の添削指導は作文単体の質を上げることを目指すが、WWは「書き手を育てる」授業なのだそうだ。教師に対して「多忙な教師は生徒の作文を適当にしか読まない(読めない)」とバッサリ斬りつけ、返す刀で「生徒もそのことを十分に知っており、教師向けには良い子の作文を適当に書く」。従来の添削指導の限界を指摘する。その限界を乗り越える道筋が見えて来る、国語教師必読リポートだ。

【12月10日号】 世界の15歳を対象に実施する「生徒の学習到達度調査」は、前回実施された結果が「PISAショック」と呼ばれる衝撃を日本の教育現場に巻き起こした。今回の結果は、日本の高校生の読解力が前回を大幅に上回った。数学や科学の活用力でも得点は上がった。手放しで喜んでいいのか、冷静に詳細に分析した。一方で異変も。今回初めて参加した上海(中国)がどの分野でも断然トップの得点を記録、学力世界最高を示した。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【11月30日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設・事業所」の13回目は「障害福祉計画に見るサービスの動向」。障害者自立支援法に基づく障害福祉計画に焦点を当て、厚生労働省の計画策定指針のポイント、全国集計結果、横浜市の具体的な計画について解説する。施設入所者の地域生活への移行が8%程度の計画となっていることなどが分かる。連載「〝最貧国〟の最新事情」の12回目は「『女は内』から表通りへ」。四半世紀前に女性の生き方と社会の変化を検証するためバングラデシュに出掛けるようになった筆者。最初に訪問した1990年代の初めに外で女性の姿を見掛けなかったが、NGOなどの教育、保健指導等さまざまな取り組みの結果、初婚年齢の変化に伴う人口急増の改善、識字率の上昇、衣料品製造の発展など大きく社会が変化しつつあることを紹介する。

【12月03日号】 連載「“最貧国”の最新事情」の13回目は「女性の経済的自立、縫製業と小起業」。最貧国といわれるバングラデシュは繊維製品を中心に輸出額が着実に伸びており、衣料品製造に中国よりもずっと安い賃金で働く女性たちが貢献している。工場で働くことによって女性の生活が一変しつつあるという。また小規模の融資によって貧困の軽減に向けた活動が進んでいる。「新刊図書の中から」では「助けてと言えない─いま30代に何が」「大切な人の『こころの病』に気づく」「消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし」を取り上げる。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【12月7日号】 シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」は、国際会計基準(IFRS)の1項目「IAS1号」が定める財務諸表上の表示項目を解説し、日本基準との相違点にも言及する。IAS1号は資産と負債の分類に関し、流動資産(負債)か非流動資産(負債)かに応じて、貸借対照表上で別々の区分として表示するよう規定している。日本の場合、非流動資産(負債)は固定資産(負債)と呼ばれるが、IAS1号と同様に流動資産(負債)と区分して表示することが企業会計原則で定められている。一方、IAS1号で流動資産に分類されることになる「主として売却目的で保有している資産」(使用目的から売却目的に目的を変更した建物や、廃止予定事業)という基準は、日本基準には特に見当たらないという。

【12月10日号】 検証・租税判決から見た不動産の時価」は、市街化調整区域内の土地が宅地として建築許可を得られるような場合、付近の宅地をベースにして評価することの妥当性が問われたケースを紹介している。2000年12月21日の国税不服審判所裁決では、市街化調整区域内の土地について、宅地を基準に相続税評価を行った税務署の処置を認め、納税者の主張を退けた。筆者によると、市街化調整区域の場合、開発行為に対する規制をどの程度価格に反映させるかが大きなポイントとなるが、実際には定量化のための客観的な指標が存在しないという問題がある。一方で、同区域内の土地には、開発許可を受けていなくても、将来の開発予測を見越して取引されるものがある。こうした点を踏まえ、対象地と類似する価格形成過程を経たと認められる土地の取引事例を収集し、これと直接的な要因比較を行うことが適切だとしている。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【12月6日号】 「純利益が3・5倍に拡大」と題して上場企業の2010年9月中間決算に関する分析記事を掲載した。それによると、「上場企業の10年9月中間決算が出そろい、自動車・電機など輸出企業を中心に大幅増益や黒字転換が相次いだ。中国などの新興国向けが好調だったほか、コスト削減で利益を出しやすい体質に改善したことが業績を後押しした。さらに、省エネ製品への買い替えを促す政府の支援策や猛暑効果も追い風となった。しかし、円高や米欧諸国の景気減速で、先行きには不透明感が漂う。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員は『上期はコストカットや一時的な輸出好転に踊っただけで、為替への対応など構造問題は解消していない』分析しており、危機意識の薄れが下期の懸念材料、との見方を示した」などとしている。

【12月9日号】 「日本の個人消費は伸び過ぎ」と題する12月の日米の景気動向・金融情勢に関する解説記事を掲載した。それによると、「米国の住宅市況が再び低迷し始めている。住宅投資がマイナスを続けながら景気拡大が長く続いたケースは過去にない。雇用情勢の回復を図り、住宅ローンの不良債権化に歯止めをかけることが必要だ。一方、日本の個人消費は景気対策の期限切れを前にした耐久財の駆け込み需要で大きく押し上げられており、伸び過ぎの観が強い。しかし、自動車は既に大きく反動落ちし始めており、薄型テレビなどでも同じ現象が必ず起きる。間もなく消費は深刻な状況に直面することになろう」などとしている。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは