【12月13日号】 連載「防災危機管理」の2回目は「自治体を襲う危機」。地域社会や自治体への代表的な危機は、大地震や水害などの自然災害、大規模な火災などの事故、テロなどの事件。地域には、犯罪や交通事故、住民の減少、過疎化、経済面では企業倒産、雇用悪化、社会保障面では健康保険財政の悪化、年金不安、衛生面では感染症や食中毒、さらにはエネルギー不足、環境汚染など数限りなくあり、自治体では職員の不祥事、財政面での資金ショート、借金増加、重要情報の喪失、資産の滅却など、その継続性・安定性を脅かす緊急事態が挙げられる。中でも、自治体にとって目前の危機は財政問題。高齢者の増加で扶助費は増え、一方で生産年齢人口は減少する。地方財政はますます厳しさを増すことが予測され、財政危機はまもなく全国を覆い尽くすことになる。
【12月16日号】 「地域に眠る『潜在ホームヘルパー』を活かすために」の(下)では、介護人材の確保のあり方を考える一つの切り口として、訪問介護員養成研修を修了したものの、ホームヘルパーとして従事していない人に着目し、こうした潜在ヘルパーに地域で活躍してもらうための方策を提言する。ヘルパーの大半を占める女性にとって、20〜30代は「出産・育児との両立を図りながらキャリアを積む、もしくは子どもが大きくなってから再就業する」、40〜50代は「責任のある立場に立ち、一定の収入を得ながら働く」、50〜60代は「家族介護に携わりながら、体力に見合ったサービスに従事する」というのが一つの働き方と考えられる。一人ひとりのニーズに合ったきめ細かな就業支援を実現するには、類似のニーズを持つという視点でグループ分けし、その上で各ニーズを解決する具体的な方策を推進することが有効だ。
【12月14日号】 全国学力テストで毎年、高水準の成績を収める秋田県。各地から視察団が続いている。今回はその秋田県の根岸均教育長に秘密を聞いたのだが、教員年齢の構成が40〜50代に偏る課題もあると言う。その対策として、教員採用に当たって東京都と結んだ協調選考。そして子供たちは成長するにつれ、自己表現しなくなる傾向も。どの地方も課題は抱えている。
【12月17日号】 電力会社や電機、自動車など大手メーカーには生産現場へ即戦力を供給するための企業内訓練校がかつて多くあった。今は、高校課程の企業内訓練校は全国に4つだけ。ものづくりの空洞化はここにも表れているが、トラックの名門日野自動車が拠点を置く東京都日野市にある日野工業高等学園の実際をリポートした。中卒者を受け入れ、実践教育を施す学園は「将来はここから役員を」と熱い教育現場だった。
【12月14日号】 こども未来財団の報告書「英国の家族政策とワーク・ライフ・バランス」の連載2回目は「就業形態での不利益排除し、申請を権利化」。英国のワーク・ライフ・バランスの取り組みやその背景を解説する。2000年3月から労働党政権が進めた取り組みはキャンペーン、労働規制の拡充、子供のいる就労世帯への保育費の助成、出産・育児休暇の拡充などがある。同一労働・同一賃金の実現を図る「パートタイム労働規制」は仕事と育児などを両立させようとする人々にとって労働環境改善を大きく前進させたようだ。連載「〝最貧国〟の最新事情」の16回目は「宗教が定める結婚と死」。イスラム教徒が多数を占めるバングラデシュでの結婚や葬儀的行事について筆者の実体験を交えて紹介する。女性の若年結婚の減少に伴って人口急増に歯止めが掛かりつつある。「インタビュールーム」では岐阜県各務原市にある東海中央病院の副看護部長に「みとりケア」の取り組みについて聴いている。
【12月17日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設・事業所」の15回目は「東京都、佐賀県などに見る地域移行の目標・実績と対策」で、都、佐賀県、唐津市での地域移行計画、その目標、内容を具体的に見る。連載「〝最貧国〟の最新事情」の17回目は「宗教の不思議と慣習」。イスラム教による女性への制限、宗教の違いによる牛、豚の扱いなどを取り上げる。「地域を支える」では動物による障害者や子育ての支援を進めている宇都宮動物園を紹介する。
【12月14日号】 時事通信社が東証一部上場の3月期企業を対象に集計した解説記事によると、2010年9月中間決算の連結売上高は前年同期比で10.1%増、経常利益は2.5倍に増加した。米リーマン・ブラザーズ破綻が引き金となった金融不況から2年たち、日本の企業業績はようやく回復軌道に乗ったと分析。一方、大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所と野村証券金融経済研究所は、10年度下期と11年度上期について、業績が一時伸び悩む「踊り場」と予想している。両社は踊り場を迎えても11〜12年度は10%台の増益になると予想しているが、12年度の経常利益の水準はリーマン・ショック前のピーク時の07年度に及ばないとしている。
【12月17日号】 「解説」は、11月27〜28日に開かれた「資産評価政策学会」の定期研究大会の内容を明海大学名誉教授の武田公夫氏がまとめている。28日には大学院生らによる意欲的な研究発表が行われ、一例を挙げると、インターネット上にある地域情報の中からそれぞれの土地の「評判情報」を抽出して指標化し、マンションの賃料水準モデルの精度向上に役立てようという試みがあった。ある地域でプラス要因として働く特定の指標が、別の地域ではマイナス要因になるケースが生じる。例えば「高級感がある」という指標は、港区と世田谷区ではマンション賃料を押し上げる要素となるのに対し、葛飾区では負の要素として働くという。
【12月13日号】 「小口資金需要の担い手は誰か?」と題して消費者金融業界の動向に関する記事を掲載した。それによると、「消費者金融業界のトップ企業だった武富士が会社更生法の適用を東京地裁に申請、更生手続きが開始された。不動産バブルの崩壊後から今日に至る長期不況とは表裏一体の関係にあった、長期間にわたる低金利時代において、高利金融機関が高収益を上げることが公認されてきたのは『奇観』というべきであり、銀行政策の怠慢でもあった」などとしている。
【12月16日号】 「銀行が最大の貸し手」と題して米国における農業向け貸し出しの動向を分析した記事を掲載した。それによると、「競争社会の米国では、農業分野への貸し出しの世界でも厳しい競争が行われている。米国にも、日本の農協のように農業向け貸し出しを専門にした系統金融機関である『農業信用システム』が存在するが、一般の商業銀行も積極的に貸し出しを行い、同システムと競合している。今や、農業向け貸し出しにおけるシェアは銀行が44%、農業信用システムが39%と、銀行が同システムをしのいで最大の貸し手になっているのが現状だ。農業が銀行にとってそれだけ利益になる貸し出しの分野であることを改めて示している」などとしている。