【12月20日号】 特集記事と内政フォーカスが、1日に発足した関西広域連合を取り上げた。大阪など関西の2府5県をメンバーとする広域行政機構で、都道府県レベルでの広域連合は初めてだ。当面は防災や観光・文化振興など七つの分野で連携して事務を行う。将来は、国の出先機関の統廃合や権限委譲が進んだ場合、地方分権の「受け皿」となる役割も期待されている。4日の会合では、出先機関対策委員会の委員長に橋下大阪府知事が指名され、「国の権限を奪い取ってくるのが僕の最大の仕事だ。これで渡さないと言ったら、民主党さんの(掲げる)地域主権は虚像だ」とぶち上げた。ただ、フォーカス筆者は「メリットばかりだけでなく、課題もあれば矛盾もある」と指摘する。従来の府県や議会の上に、さらに広域連合の委員会や議会ができることになり、参加を見送った奈良県の荒井正吾知事は「屋上屋を架すことにならないか。広域連携や協定で十分対応できる」と、効果に疑問を示している。
【12月24日号】 好評連載「モンスターペアレント論を超えて」は23回目。苦情を言いに来た保護者にお茶を出すかどうか。カスタマー・ファーストの立場で言えば、もちろんイエス。教育というサービスを受ける子供たちの保護者だから当然だ。ところが、お茶を出すかどうかで躊躇する学校が本当は多い。お茶を出さないことによって、「招かざる客」という学校側の本心が伝わってしまう。連載筆者の小野田正利大阪大学教授は「うどんを出しなはれ」とまで主張する。保護者が文句を言いに来る時間帯は、子供が学校から帰って、放課後も遅くなる夕食近く。「腹が減っては…」だ。自分(先生)も落ち着く、相手(保護者)も落ち着く。敵対視せず。言われれば、当たり前のことなのだが。
【12月28日号】 日本語も母語も失う定住外国人や帰国生の問題を扱ってきた「続・あなたの隣の外国人—ダブルリミッテド(番外編)」は、川崎市南部にある在日大韓キリスト教会が母体となった保育園の異変を伝えている。本来は「民族保育」だったが、南米や朝鮮半島以外のアジアからのニューカマーが増え、「多文化共生保育」を模索中だ。保育士らは園では日本語で子供に接しているが、家庭では「(それぞれの)母語で接して」と保護者に伝えている。母語も日本語も習得できない状態(ダブルリミッテド)とは、アイデンティティーの喪失に他ならない。幼い子が母語を喪失して、親とのコミュニケーションが成り立たなくなることこそ悲劇だ。
【12月21日号】 こども未来財団の報告書「英国の家族政策とワーク・ライフ・バランス」の連載3回目は「従業員は肯定7割、事業主も9割高評価」。英国のワーク・ライフ・バランスの実態や従業員、事業主の評価、課題を解説する。それによると柔軟な就業形態には「時短型」と「裁量型」があり、第3次産業での活用が活発になっていること、保守党連立政権もワーク・ライフ・バランスの促進維持の方向にあることが分かる。連載「〝最貧国〟の最新事情」の18回目は「『貧困の証明』貧困率、疾病、労働環境」。バングラデシュが自国の貧困指標として考える貧困率によると極度の貧困者は全国民の4分の1となっていること、最近の同国のトイレ事情、死因の分析、労働環境の現状などを紹介する。「地域を支える」では山口県防府市にある就労継続支援事業所の「あおぞら」を取り上げ、ハウスクリーニングや草刈りなどのいわゆる「便利屋」業に参入、工賃アップを図って厚生労働省に表彰されたことを伝える。
【12月21日号】 シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」は、企業の一定期間内の経営成績を表す「包括利益計算書」について、その機能と国際会計基準(IFRS)での位置付けなどを解説する。包括利益計算書の「包括利益」は、「当期(純)利益」と「その他の包括利益」で構成され、売却可能有価証券の評価差額など未実現の利益が「その他の包括利益」に表示される。日本の会計基準では従来、一定期間にいくらもうけたかによって将来の経営予測を立てる傾向が強く、「その他の包括利益」のように未実現の利益を計算する考え方にはなじみが薄かった。しかし近年は、将来的にどれだけのキャッシュ・フローを生み出せるかどうかの判断材料として、固定資産や売却可能な金融資産の時価評価に対する需要が強まり、「その他の包括利益」に相当する「評価・換算差額等」が純資産に表示されるようになった。それでもIFRSでの「その他の包括利益」と日本の「評価・換算差額等」の間には、記載項目などで多くの相違点が残っている。
【12月20日号】 知的財産権について有識者や専門家に連続インタビューする「IPフロントランナー」の第8回として「中国に模倣品の取り締まり強化を要請」と題する記事を掲載した。それによると、「商標や意匠、ブランドの登録・審査などを統括する特許庁の橋本正洋審査業務部長は、2008年度に行った調査で模倣品や海賊版の被害を受けた日本企業が926社に達し、そのうちの6割以上が中国でのケースだったと指摘。その上で、『日中知的財産権ワーキング・グループ』という両国の官民で構成する会合を通じ、日本政府として中国側に対してこうした被害の拡大を防ぐよう強く要請していることを強調した。また『10月の会合では、中国の知財当局に対して取り締まりの強化や関連法の執行の徹底などを提案した。中国側の意識や制度も改善を見せているが、今後も粘り強く対話を進めていく』と語った。加えて、新しい商標・意匠制度によるブランド・デザイン保護強化への意気込みを見せた」などとしている。