【1月13日号】 特集は、日本各地で行われている水を守る取り組みに焦点を当てた。水は貴重な資源として注目を集めている。水ビジネスが世界的に活発化しているほか、日本国内でも外国資本によって水を育む森林の買い占めが進むことを危惧する声も出ている。一方で、暮らしに欠かすことのできない水を守ろうという取り組みが、地域レベルで盛んに行われている。一例を紹介すると──。佐賀県白石町の川津地区にある縫ノ池。1950年代後半、周辺で地下水をくみ上げ過ぎたため、湧水が途絶えて干からびてしまった。しかし、その後の地下水利用抑制により2001年に湧水が復活。縫ノ池は約40年の時を経て再生した。地域住民は今、地区で一丸となって縫ノ池が再び枯れることのないように保全活動を行っている。「縫ノ池湧水会」事務局の赤坂宗昭さんは「保全を続けているのは、枯れていた池に水が戻った感動があるから」と、池を守り続けていく決意を語る。
【1月11日号】 連載「筑波大附属の実践」はエリート校「筑駒」から5回のリポートをしたが、今回が最終回。中・高6年間のエリート教育の秘密に迫った。タイトルは「人格形成の道場」。その道場とは、「ヒドゥン・カリキュラム(hidden curriculum)」にある。と書くと、エリート校には東大に大量合格させるための裏カリキュラムが存在するかのような誤解を生じさせるが、そうではない。文化祭などの「学校行事」を指している。現場で立ち会う教師が、6年間の流れを詳細に説明している。「エリート教育とは何か」を考える人には必読のリポートだ。
【1月14日号】 連載「モンスターペアレント論を超えて」は、「トラブルを学校全体で受け止める」ことの重要さを説いている。保護者からのクレームを一人だけで対応した場合、そのクレームの本質を見定めることが難しくなる。保護者との接点が多い方が、解決への出口を見つけやすい、ということだ。「見殺しにしない」という意識と文化を定着させていくことは、学校全体のトラブル対応力向上につながる。「複数対応」は企業の苦情トラブルマニュアルにもある当たり前の話だが、学校で現実に「見殺し」になっている事例はいくつもあるのだという。
【1月14日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設・事業所」の18回目は「障害者施策と青森県に見る就労支援事業所の課題」。障害者の就労支援策の概要を一覧表とともに紹介するほか、青森県の就労移行支援報告書を取り上げる。それによると支援策は就職準備段階、準備訓練、就職活動、雇用前・定着支援、転職段階などに分けて実施される。青森県の報告書によると実習先で正式雇用の事例がある一方、就職後間もなく離職の例もあり、家族の理解、職員の意識変革、職場開拓が課題となっていることが分かる。「地域を支える」では高松市のNPO法人「はじめの一歩」を取り上げる。障害者の就労支援に取り組む同法人は昨年12月からお墓掃除の代行や手伝いを行う「ぼちぼちお掃除隊」の活動を開始。県外に住む高松出身者からの相談をきっかけに始めた活動で好評のようだ。連載「〝最貧国〟の最新事情」の19回目は「国内の経済格差の拡大と極貧への支援」。バングラデシュの1世帯当たりの家族数、世帯別の全国平均月収などを紹介、大家族から都市部の核家族、裕福な世帯と極貧の世帯、格差が著しいことが分かる。
【1月14日号】 「検証・租税判決から見た不動産の時価」は、固定資産税の評価で家屋評価が行われる場合に基本とされてきた「再建築価格方式」の合理性について。再建築価格とは、評価対象の家屋が同じ場所に新築されると想定して算出した建築費のことを指す。2005年1月の仙台高裁判決は、個別事情や現実の収益力などを無視して「適正な時価」の3倍の額を算出した再建築価格方式が問題だとする原告の訴えを退け、被告である課税自治体の主張を認めた。判決は、地方税法でいう「適正な時価」とは「正常な条件の下に成立する当該家屋の取引価格」であるとし、建物が本来想定された収益性を十分に発揮していなかったとしても、減価要因としては考慮できないと明示した。筆者は、原告が提出した鑑定評価結果が採用されなかったのは①不動産鑑定士によって鑑定結果に相当の差異が生ずると判断された②鑑定評価書に記載された減価率(81.1%)が通常用いられる水準を著しく逸脱し、信ぴょう性に疑義が向けられた─ことなどが理由と考えられるとして、「常に市場の実情に目を向け、理論的に求められた価格が『適正な時価』として通用するものかどうかを検証することが必要」と注意を促している。
【1月13日号】 「存在感増すアジア新興国の有力企業」と題してタイの優良企業であるサイアム・セメント・グループについて詳細に分析した記事を掲載した。同記事は「アジアの新興国経済の世界における位置付けがますます大きくなる中、グローバルな活動を行う多国籍企業と並んで、それら諸国を本拠地とする有力企業も活動の規模を拡大させ、経営の近代化や企業体力の強化を図っている。アジア経済の発展に着目し理解する上で、その重要なファクターである地場の有力企業の状況を考察することが重要と思われる。このような観点から、わが国にとって長年にわたり非常に重要な投資対象国であるタイにおいて、同国の民間セクターを代表する最優良企業として名前が挙がることが多いサイアム・セメント・グループ(以下、SCG)を事例として取り上げ、アジアの地場有力企業の経営の特徴や経営近代化への取り組みなどについて概観する」などとしている。