【1月17日号】 「各府省の2011年度予算案」の掲載が始まった。初回は総務省で、一般会計は前年度比4.7%減の17兆7216億円。このうち、地方交付税等財源繰り入れを除く一般歳出は16.0%減の9370億円。さらに恩給費を除いた政策的経費は25.7%減の3252億円となる。前年度に参院選や国勢調査の経費が計上された反動で大幅に減少したが、これらの特殊要因を除くと1.9%減だ。各省庁の要望を4段階評価する「政策コンテスト」を実施して配分額を決定した「元気な日本復活特別枠」の活用などにより、地域活性化やICT(情報通信技術)活用・研究開発、地デジ放送への移行、消防・防災行政の推進などの優先課題に重点配分した。
【1月20日号】 連載「ICT先端都市を目指す広島の挑戦」の3回目は、平和や環境・エネルギーなどのグローバル分野、交通、医療、教育などの公共分野、観光や商業などの地域振興分野において、広島市が取り組んでいる「産学公民連携によるICT利活用プロジェクト」がテーマ。このうち医療では、救急現場への「画像伝送システム」の導入を進めている。救急車で搬送される患者の画像や心拍数などのバイタルデータを病院に伝送することで、医師から的確なアドバイスを受けられるようにするシステムだ。市消防局が所有する44台の救急車全てと、3次救急医療機関に導入する。これだけの規模で本格的に運用するのは全国的にも初めての試みという。市は「広島モデル」として全国に発信していきたいとしている。
【1月18日号】 グローバリゼーションという妖怪が徘徊している─。教育現場にも、もちろん押し寄せている。日本語を母語としない子供たちが急増している。都市部だけではない。過疎に悩むような町村にすら、である。その問題を告発してきた「あなたの隣の外国人」連載は、ついに「続々」となった。18日号から連続4回で、経済協力開発機構(OECD)のパリ本部に勤務するアナリスト田熊美保さんが各国の移民教育の実態を、数字をベースに分析する。明確な移民政策がないまま、教室の中で子供たちが置き去りにされる無責任な日本があぶり出される。
【1月21日号】 理不尽な要求を突き付ける保護者への対応を考える場合、「怒りの着火地点と爆発地点は違う」ケースがあることを知っておかなければならない。好評連載25回「モンスターペアレント論を超えて」は、「保護者自身あるいは、わが子に関連する複雑な思いが絡まっていることがあり、解きほぐしも必要かもしれない」と指摘する。「目の前にあるトラブルだけに目を奪われてはいけない」「背後をよく見よ」ということだろうが、学校の先生に厳しい視線を向ける人も、思わず同情する内容だ。
【1月18日号】 厚生労働省が昨年12月にまとめた「平成21年社会福祉施設等調査結果の概要」を特集として詳しく解説する。老人福祉施設や保育所等の施設数、在所者数、職種別従事者数、利用状況などを調べた結果、保育所や老人福祉施設は合計5万8千カ所弱で、施設の従事者は保育士35万人弱、介護職員8万人強など合計77万人余り。「地域を支える」では大阪府にある特例子会社のクボタサンベジファームを取り上げる。農業機械大手クボタの子会社で障害者を雇用して野菜栽培の事業を進めていることを紹介する。従業員10人の募集に300人の障害者が殺到して関係者を驚かせたという。連載「〝最貧国〟の最新事情」の20回目は「バングラデシュの『貧困』と南アジア」。バングラデシュのほかブータンやネパールなど南アジア地域協力連合諸国の5歳未満児死亡率などから貧困の実態を考える。
【1月21日号】 連載「〝最貧国〟の最新事情」の21回目は「貨幣価値『経済格差と通貨のマジック』」。バングラデシュの公務員、季節労働者、児童労働少年、海外の労働者の賃金を取り上げ、経済格差の実態を見る。「海外トピックス」では新局面を迎えた米国の医療保険改革法について解説する。「新刊図書の中から」では「現役世代のための介護手帖」「統合失調症」「予防接種は『効く』のか?」の3冊を取り上げる。
【1月21日号】 「地方税法総則─基礎から実務まで─」第40回は、行使されない地方税の徴収権が消滅する「消滅時効」についての解説に入る。民法には、「20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」(162条第1項)という条文がある。同条の第2項はさらに、占有開始の時に「善意であり、かつ、過失がなかった」のであれば、この20年間は10年間になることを認めている。真実の権利関係と一致しない事実状態が継続している場合、社会はその事実状態を前提としてその上に種々の法律関係を構築するため、真実の権利者が突然自らの権利を主張すると、事実状態の上に築き上げられた法律関係と社会秩序は崩壊しかねない。そこで、一定期間にわたって維持された事実状態は、そのまま権利関係として認められる制度がつくられた。地方税の徴収権もまた、行使されずに一定期間が過ぎると消滅し、税として徴収することはできなくなる。
【1月18日号】 「またか、役員給与の課税強化」と題する「直言苦言」は、1人オーナー会社の役員報酬の二重控除問題について、この数年二転三転している政府の対応に苦言を呈している。2005年度の法人税法改正では、給与所得控除相当額を法人税で損金不算入とすることで二重控除問題の改善が図られたものの、民主党政権になって損金不算入制度は廃止された。ところが11年度改正では、高額の役員給与に対する給与所得控除に適用制限が課される形で、新たな負担が求められることになった。筆者はこうした措置が「いたずらに現場を混乱させる」と指摘している。
【1月17日号】 「今後の牽引車見当たらない日本」と題して1月の景気動向と金融情勢について分析した記事を掲載した。それによると、「これまでの米国の景気回復に最大の貢献をしてきた在庫投資は、企業の姿勢が慎重化したことによって寄与度が低下していくだろう。雇用・所得情勢の改善テンポは緩慢ながら、減税効果が大きく利いて、個人消費が在庫投資に代わって主役となっていこう。一方、日本は輸出の勢いが既に失われている。エコカー補助金の打ち切りや家電エコポイント制度の変更により駆け込み需要が異常に盛り上がったことから、需要は大きく先食いされた。輸出と個人消費という2本柱を失うことで、回復に向けた今後の牽引車が見当たらず、景気後退入りのリスクは無視できなくなってきている」などとしている。
【1月20日号】 「金利上昇でもドルは希薄化で続落」と題して今年の為替相場に関する予測・分析記事を掲載した。それによると、「近年、外国為替市場で支配的な地位を占めてきた金利差と為替の関係が崩れつつある。これは、米国の量的緩和第2弾(QE2)の影響や副作用が大きいことを示唆している。ドル金利が上昇してもドルが下落するようになると、当局の政策運営は難しくなる。その中で、QE2マネーが大挙して流入する資源国通貨が強く、オーストラリア・ドル、カナダ・ドルは一層の上昇が予想され、中国はインフレ抑制重視に転換して人民元の上昇を容認せざるを得なくなる。逆に、金融・財政危機に直面する欧州では債務の再編(部分的デフォルト〈債務不履行〉)が視野に入り、紙幣の増刷で価値の希薄化が進むドルと共に、ユーロは『通貨レース』で最下位争いをしそうだ」などとしている。