【1月24日号】 国の出先機関改革の工程を示すアクションプランがまとまった。出先機関の事務・権限をブロック単位で地方に移譲できるよう、自治体側の受け皿となる新たな広域行政制度を整備するための法案を2012年の通常国会に提出し、14年度中の移譲を目指す。受け皿となる広域行政組織をつくろうという動きは、全国各地に広まっている。大阪など7府県は昨年、地方自治法に基づく「関西広域連合」を発足。九州地方知事会も、出先機関の事務・権限を丸ごと受けるとする「九州広域行政機構」の設立構想を立てている。現行の広域連合制度では、都道府県が持ち寄った事務に密接に関連するものを移譲するよう国に求めることができるが、国の対応についてのルールはない。このため、国から広域行政組織に事務・権限を移譲する仕組みづくりなどが課題になる。
【1月27日号】 議員は年間169日働き、報酬は770万円が適正──。全国に先駆けて議員同士の政策討論会などの改革案を実行している同若松市議会は昨年12月、独自の試算に基づき議員報酬の適正額を市民に示した。議員活動をモデル化し、それに基づいて報酬額を議会が試算することは全国でも前例がないという。独自試算のきっかけは、市民との意見交換会で「議員報酬は高過ぎる。減らすべきだ」という声が相次いだことだった。議会への出席だけでなく、どこまでが議員活動として認められるのかを議論し、モデル化して年間の労働時間を積み上げた。はじき出した報酬が冒頭の770万円だ。この結果、現行の議員報酬750万円が今後も継続されることになり、市民からは「議員が自分で報酬を決めるのはお手盛りだ」などと、厳しい声が寄せられているという。
【1月25日号】 米国弁護士から大阪府立和泉高校の校長に転身した中原徹さんは、昨年末に生徒を引き連れて上海の教育事情を見てきた。「驚愕の英語力」と形容する授業はハイスピードの英語で話す教師に、それについていく生徒。テーマは「人類の火星への移住計画」だった。上海の大人たちは英語で話し掛けても反応しないが、若者は違うという。OECDの学力テストで抜群の成績を上げた上海。この10年での成果というが、一体何が行われていたのか、興味深い話だ。
【1月28日号】 学校が保護者を訴える—1月18日の朝日新聞朝刊のスクープだった。保護者が学校を訴えるケースはこれまでもあるが、学校が保護者を訴えるとは、よほどのことがあったのだろうか。常識的には考えられなかったことが起きている。学校側の主張は、連絡帳に保護者が執拗に担任教師を非難するクレームが数十行にわたって書き連ねてあり、担任は不眠症にまでなったというものだ。連載「モンスターペアレント論を超えて」の執筆者小野田正利大阪大学教授は、このケースを2カ月前に知っていたという。連絡帳を使って実は「先生を攻撃する」本というのも出回っているらしい。連絡帳を発端としたトラブル事例は、全国的なものだともいう。「連絡帳事件」とも呼べる事の本質を、今回はえぐり出した。
【1月25日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設・事業所」の19回目は「就労継続支援事業などの工賃の現状を見る」で、厚生労働省が倍増計画を展開している障害者の工賃の現状を詳しく解説する。福島県、青森県の倍増計画などを取り上げ、具体例を見る。「地域を支える」では福岡市にある「アリヤ出版」を紹介する。福祉施設で作られる商品を紹介する情報誌を発行して障害者の工賃アップに一役買っている。連載「〝最貧国〟の最新事情」の22回目は「『雨季の稲作と乾季のジャガイモ栽培の村』訪問」。バングラデシュの農業について町の造成事業と併せて考える。
【1月28日号】 「社説拝見」は1月前期について「社会保障と税制の一体化を」と題して、社会保障の財源、タイガーマスク現象、B型肝炎訴訟、ウイルス対策などの社説を取り上げて解説する。連載「〝最貧国〟の最新事情」の23回目は「コミラ訪問『歴史の渦の中で生きた人』」。バングラデシュの東インド会社の末裔の家族、日本兵が眠る墓地を紹介する。「インタビュールーム」には茨城県病院事業管理者の金子道夫氏が登場。病院経営の立て直しの現状、今後の取り組みなどについて質問している。
【1月25日号】 「主要省庁別に見た2011年度税制改正」(上)は、国土交通省と総務省の担当記者が改正のポイントを解説する。国交省関係では、国内航空各社の競争力強化に向け、航空機燃料税の引き下げが決まった。また、中国をはじめとしたアジア各国の経済成長を受け、国内の大都市がアジアの拠点となれるよう、同省が新たに指定する「特定都市再生緊急整備地域(仮称)」で登録免許税を軽減するなどの優遇措置を導入する。総務省関係では、地域主権の観点を踏まえた地方税制度改革の方向性が11年度税制改正大綱に盛り込まれた。国による地方税制への過剰な関与を取り除き、地方自治体が自主的な判断で地方税条例を制定できるような制度のあり方について検討を始めるとしている。
【1月28日号】 「主要省庁別に見た2011年度税制改正」(中)は、経済産業省、文部科学省、環境省。経産省と環境省が要望し、石油石炭税への税率上乗せという形で決まった地球温暖化対策税(環境税)は今年10月スタートするが、激変緩和措置として13年4月、15年4月の合計3段階で引き上げられる。完全実施後の増収額は2400億円となる見通し。
【1月24日号】 「大化けするかスカイマーク」と題して航空会社のスカイマークに関する最近の動向をまとめた記事を掲載した。それによると、「海外の格安航空会社(LCC)が日本に本格上陸する一方、日本航空は経営再建中であるなど、日系エアラインが生気を失っている。そんな中、大胆な構想を打ち上げたのがスカイマークだ。同社は(1)保有機を3倍に増やす(2)ジャンボ機を上回る世界最大の旅客機A380を購入して長距離国際線に参入する(3)日航の退職社員を大量に採用する──などのビッグプロジェクトを立て続けに発表、一気に大手エアラインの仲間入りをしそうな勢いだが、果たして実現の可能性はあるのだろうか。一方、世界ではLCCの攻勢で守勢に回った老舗エアラインの提携や統合が進み、複数の国際エアラインの維持が厳しくなってきている。スカイマークの長距離国際線事業が本格化すれば、日系エアラインは3社体制になり、改めて日航による国際線の継続について論議が再燃する可能性がある」などとしている。
【1月27日号】 「南北対話と人民生活向上訴える」と題して、新年共同社説を基に今年の北朝鮮の動向について分析した記事を掲載した。それによると、「北朝鮮は毎年、1月1日に施政方針を『新年共同社説』という形で内外に公表している。朝鮮労働党機関紙・労働新聞、朝鮮人民軍機関紙・朝鮮人民軍、青年組織機関紙・青年前衛の3紙によるもので、金日成主席の『新年辞』に代わる『金正日総書記のあいさつ』と位置付けられ、北朝鮮の人々はその基本体系を深く学習すべきだとされている。われわれが同国の一年を占う重要な分析素材としてきたゆえんである。今年の共同社説は全体として大きなサプライズのないものだったが、幾つか注目すべき点があった」などとしている。