早読み行政誌

外国人観光客を呼び込むには(2011年1月31日〜2月4日号)

地方行政

【1月31日号】 特集は、訪日外国人旅行客を引き付ける地域戦略について専門家が語るセミナー「自治体インバウンド作戦」(時事通信社主催)の記事。外国人観光客を誘致するため、地方自治体はどのようなインフラを活用し、地域の魅力をどうアピールしていくべきなのか──。6人の講演者がそれぞれ違った角度から提案した内容を5ページにわたって詳しく報じた。記事によると、6人の講演で共通していたのは、観光振興には近道はなく、地域の地道な努力が必要だということ。また、多額の費用を必要とする新規のインフラ整備ではなく、既存のインフラを活用しながら、知恵と工夫で付加価値を生み出すことの重要性が語られた点も似通っており、自治体の施策展開には大きなヒントになりそうだとか。

【2月3日号】 「ICT先端都市を目指す広島の挑戦」の5回目は、障害者支援がテーマ。インターネットの著しい進展、パソコンの音声読み上げ、字の大きさを自由自在に変えることのできるソフトの開発、iPad(アイパッド)に代表されるICT端末のヒューマンインターフェースやアクセシビリティの充実などにより、ICTは障害者の社会生活を支える大事なツールとなりつつある。広島市では、ICTの利活用により、障害者が社会のさまざまな分野のリーダーとなって活躍できる社会の形成を目指し、生活支援に加えてパソコン指導の充実なども図り、障害者の就労をはじめとする社会活動への積極的な参加を促進している。こうした取り組みは、行政だけで進めるには限界があるが、広くノウハウや知識、技術を持つ民間企業や大学と連携することによって、活動の幅を広げることができたという。

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内外教育

【2月1日号】 移民の子供の学力の問題をOECDに蓄積されたデータで分析する「続々あなたの隣の外国人」3回目。筆者の田熊美保・OECDアナリストはスウェーデンの例を挙げ「移民の多い地区の図書館には移民の子供に本を読んだりするボランティアがいる」と指摘、学校だけでなく移民のコミュニティーが関わって低学力からの脱出を図る必要性を強調した。日本でも増える日本語の分からない外国から来た児童・生徒への対応の問題。ソリューションが示されている。

【2月4日号】 1月22日から24日まで水戸市で開かれた日教組教研集会をリポートしている。「保健室、給食から見える貧困」。東京都内の養護教諭は「貧困にあるとき、健康状態にも格差が生まれる。家庭内ストレスで心も不安定になり、学校の勉強どころではなくなる」と報告した。給食実施がほとんどない大阪市内の中学校。弁当代を用意できない生徒がつらい毎日を送っている。「俺、こんな弁当要らんねん」と食堂の片隅で立ち尽くす生徒がいる。集会は「全ての子供たちの社会への参加保障として、教育が重要であること」を確認するアピールを採択したのだが……。

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厚生福祉

【2月1日号】 連載「揺れる障害者自立支援法と施設・事業所」の20回目は「工賃の目標と工賃向上計画の事例を見る」で、都道府県や事業所などの障害者の工賃に関する評価、目標について解説する。福島県、青森県、大阪府、佐賀県、大分県などの工賃倍増計画を取り上げ、具体例を見る。「連載「〝最貧国〟の最新事情」の24回目は「深刻な事態『車の洪水』と無謀運転」。バングラデシュの道路事情や長距離バスの運行状況、渋滞する路上での盗難事件などについて紹介する。

【2月4日号】 主要省庁の2011年度予算案詳報の初回は厚生労働省。「子ども手当増額などで5・1%増 医師の偏在是正に支援センター」と題して、概要を解説する。「自殺とうつ」対策や求職者への支援などに重点を置いている。連載「〝最貧国〟の最新事情」の25回目は「バングラデシュ国民の証明『IDカード』の導入」。バングラデシュのIDカードをめぐる問題、美容の担い手となっている少数民族のガロなどを取り上げている。「インタビュールーム」には北海道地域生活支援札幌センター課長の野村宏之氏が登場。刑務所出所者のうち障害者や高齢者などに入所中から行き先の調整など社会復帰の支援に当たる上での苦労、今後の取り組みなどについて聴いている。

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税務経理

【2月1日号】 「検証・租税判決から見た不動産の時価」は、引き続き、固定資産税を算定する際に適用される「再建築価格方式」について。固定資産評価基準によって定められた価格が適正な時価とならない「特別な事情」が、家屋の収益性低下というケースにも認められるかどうか──。2005年8月の札幌地裁判決では、これが争点の一つとなった。原告である納税者は、係争対象となった家屋周辺の経済情勢の冷え込みが「特別な事情」に当たるとして、単なる経年減価以上の高い減価率を適用すべきだと主張。これに対し同地裁は、経済情勢などは「『特別な事情』には当たらない」として原告の請求を棄却した。このように、家屋に関しては固定資産評価基準に基づく評価がかなり厳しく適用されているが、その妥当性が立証できない場合、同基準による評価額が適正かどうかを疑問視する意見もある。昨今、固定資産税の評価に関する審査申し出が相次いでいるのも、こうした点を問題意識としている可能性があるという。

【2月4日号】 シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」は、「持ち分変動計算書」と「キャッシュ・フロー計算書」を取り上げる。持ち分変動計算書には、当期の包括利益合計額や「資本」「その他の包括利益」「利益剰余金」などの変動状況が表示される。一方、キャッシュ・フロー計算書には、企業の現金の流入額と流出額を記載する。実際の企業活動では「利益=現金の流入」「損失=現金の流出」とはならないが、経済取引の複雑化に伴い、減価償却など現金の流出入ではない項目を表示する「発生主義」の財務諸表が採用されるようになった。ただし発生主義では、黒字を計上していても売掛金の回収が遅れて資金繰りが苦しくなるようなケースが明確に示されないため、キャッシュ・フロー計算書は、こうした実際の現金の流出入額を表示する機能を果たしている。

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金融財政ビジネス

【1月31日号】 「正念場に差し掛かったユーロ危機」と題して昨年のギリシャの財政悪化に端を発した欧州単一通貨ユーロの現状や課題などをまとめた記事を掲載した。それによると、「ギリシャの財政悪化に始まった欧州単一通貨ユーロの危機は、アイルランドの国家債務の危機を経て、スペインにまで及ぶ勢いだ。今になって振り返れば、ユーロを支える機関として、物価安定を唯一の政策目標とする欧州中央銀行(ECB)だけしか設置しなかったのは、拙速であった。ユーロのような単一通貨制度においては、固定平価制度の場合と同様、制度を監視・運営する機関が必要である。すなわち、経常赤字や債務超過に陥った国が赤字削減や構造調整を行う間、財政支援や緊急融資などによって時間的な猶予を与えるとともに、構造調整策の実行を監視する機関が存在しなければならない。それは、第2次世界大戦後のブレトンウッズ体制の下で国際通貨基金(IMF)が果たしたような役割を担う機関である。現在、欧州ではさまざまな危機対応策が講じられているが、金融資本市場が果たしてそれらの対策で我慢できるかどうか、正念場に差し掛かっている」などとしている。

 また、「難しい舵取り迫られるナジブ首相」と題してマレーシアのナジブ首相による改革への取り組みをまとめた記事を掲載した。それによると、「マレー系や華人系、インド系などで構成される多民族国家のマレーシアで、ナジブ首相が経済改革を推し進めている。2009年4月に首相に就任する以前から『ブミプトラ』(マレー系と先住民族の総称)を優遇する政策の見直しに言及していたナジブ首相は、就任後間もなく、サービス分野のブミプトラ資本規制の見直しに着手。その後も、金融自由化策や上場企業のブミプトラ出資義務の撤廃を発表、外国資本の参入障壁を一部軽減した。ナジブ首相は、マレー系で組織され、長年にわたって与党第1党を維持している統一マレー国民組織(UMNO)の総裁を務めるだけに、ブミプトラ政策の見直しでは難しい舵取りを迫られているが、改革姿勢は国内の華人系やインド系からの支持取り付けに一定の成果を上げているようだ」などとしている。

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