早読み行政誌

東京の地下鉄統合、巨額債務で見送り(2011年2月21日〜2月25日号)

地方行政

【2月21日号】 「内政フォーカス」が東京地下鉄(東京メトロ)と都営地下鉄の経営統合問題を取り上げている。2月上旬に開かれた両社と国土交通省などによる協議会では、都営地下鉄の1兆円を超える巨額の長期債務などが問題となり、現時点では統合を見送ることが決まった。ただ、東京都の石原慎太郎知事はその後の記者会見で、「二つの地下鉄は統合されるべきだ。都民だけでなく使っている人の利益につながる」と話しており、都側があきらめる気配はないという。果たして、両社の経営統合は本当に利用者へのサービス向上につながるのか。例えば、運賃を比べるとメトロは初乗りが160円で最高が300円なのに対し、都営地下鉄は初乗りが170円で最高が410円となっている。統合したら都営の長期債務を理由に、割高である都営の料金体系で統一されるのではないかといった懸念もある。統合を急ぐ理由はあるのか。筆者は、都民をはじめ利用者に対するもっと丁寧な説明が必要だと訴える。

【2月24日号】 新連載「個性輝く自治を目指して」がスタートした。筆者は高崎経済大地域政策学部教授の松藤保孝氏。自治省(現総務省)に入ったあと、三重県企画室長、神奈川県国民健康保険課長・環境計画課長・市町村課長、堺市財政局長などを歴任。こうした自治体行政の経験を踏まえ、「私たちの幸福のために行政にどのような役割を期待し、そのためには行政の体制やシステムをどのように構築していけばよいのか」を探る。主題は「自治体に幸福プロデューサーの役割を」、副題は「人々の個性が輝き、さまざまな価値が創造される社会に」。松藤氏によると、これらのタイトルは「行政の目的は個人を幸福にすること、また、一人ひとりの幸福は個性を発揮してその人らしく生きることではないかと考えたことによるものであり、住民に最も身近な自治体がそのためのプロデューサーの役割を果たすことを、行政を担う公務員がそうした自覚と誇りを持つことを期待して付けた」という。

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内外教育

【2月22日号】 4月から小学校5、6年生で英語を教える。現場はどうなっているのか。子供たちが本当に英語ぺらぺらになることが可能なのか?内外教育の記者が現場に切り込んだ。子供は好きだけど、英語が好きじゃないから小学校を選んだ先生だっている。普通の学校でどう英語を教えていくのか。文科省からも「これがお手本」とお墨付きをもらったモデル校が神奈川県にあった。英語に悩む小学校教師はもちろん、全国の保護者、教育関係者に必読のソリューション付きリポートだ。

【2月25日号】 4月から全国の小学校で始まる外国語活動(英語)では、授業はネーティブの外国語指導助手(ALT)任せにするところが多いとみられる。既に総合学習の時間で行われる外国語活動では、担任が従で、ALT主導の授業が主流になっている。だが、あえてALT廃止に踏み切ったのが、東京都足立区だ。校長を中心に英語活動の自主研究会を立ち上げ、区教委がそれを支援。この荒療治、成功するのだろうか。答えは、4月以降の実践の中で改めて検証されることになる。

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厚生福祉

【2月22日号】 厚生労働省がまとめた今季のインフルエンザ中間まとめを特集。流行の中心がA香港型から新型に移って拡大、死亡例の半数が高齢者となるなど例年のパターンに近付いたことが分かる。「インタビュールーム」には宮城県のNPO法人「ほっぷの森」理事長の白木福次郎氏が登場。交通事故による脳の損傷等による高次脳機能障害者の就労支援活動に取り組んでいる同法人の活動内容、就労先のレストランの開設、実態調査などについて聴いている。「海外トッピクス」では韓国の企業内保育施設設置への規制、中国の老人人権権益保障法に子供の義務として「たびたび実家に帰り親に会うこと」が規定される見通しなどを取り上げている。

【2月25日号】 新連載「進む営利法人の『福祉参入』」の初回は「介護への参入状況と営利法人の特性」。厚生労働省の調査結果により介護サービスで急速に増えている営利保人の参入状況、規制緩和の経緯などを解説する。「インタビュールーム」には秋田県健康福祉部がん対策推進チームリーダーの金子治生氏が登場。がん死亡率のワースト1位から脱却を目指して検診の受診率向上への取り組み、成果などを質問、金子氏は「がん検診は健康なときにこそ受けるものとの意識を定着させたい」と強調している。「社説拝見」は2月前期の年金や子ども手当に関する各社の提言などを取り上げている。

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税務経理

【2月22日号】 「直言苦言」は、消費税率引き上げの機運が高まる中で、同税の「広く薄く、公平、簡素」という三つの理念が守られるのかどうかに懸念を投げ掛けている。筆者は税率引き上げの議論について、三つの理念のうちで「広く薄く」の「薄く」の定義が「今もって定かでなく、どの程度を指すのか不明である」と指摘。将来の税率に関してさまざまな数字が挙げられていることには、「10%の次は何%になるのか、上限がないと頭で理解できても内心は不安が募る」という。そして、税率引き上げに際して国民に疑念を持たれないようにするために「税制調査会には、役所作成の資料や数字をうのみにせず、客観的な数字・データに基づいた慎重な検討をすることが求められる」と強調している。

【2月25日号】 「2011年度税制改正と今後の展望」の第3回は、総務省担当職員が固定資産税と都市計画税関係の改正事項を解説する。11年度税制改正では固定資産税に関する大きな改正は行われていないが、厳しい財政事情の中、税負担の軽減措置について徹底的な見直しが行われた。その結果、固定資産税と都市計画税の税負担軽減措置のうち、産業政策などのための政策税制措置の42項目が見直され、廃止が17項目、サンセット方式による廃止が4項目、縮減が7項目となった。

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金融財政ビジネス

【2月21日号】 「回復傾向示すREIT市場」と題して最近の不動産投資信託(REIT)市場の動向や今後の見通しなどを分析した記事を掲載した。同記事は「長らく低迷が続いてきたREIT市場は、2010年10月ごろから投資口価格(株価)が急速に上昇し、回復傾向が明確になってきた。本稿では、この回復の要因と、今後も回復傾向が継続するかどうかを中心に検討してみる。また、11年9月でスタートから10周年を迎えるREIT市場については今後さまざまな変革が予想されるため、その動きも概観する」などとしている。

【2月24日号】 「寡占・独占をもたらす『見えざる手』」と題する連載「経済物理学入門」の第22回を掲載した。同記事は「本連載において、主流派経済学(新古典派経済学)の問題点がたびたび話題とされてきた。特に第2回、第7回、第12回では、新古典派マクロ経済学が依拠する『代表的消費者』および『代表的企業』という概念の問題点が指摘された。経済主体間に相互作用がある場合、代表的なミクロ経済主体の行動を単純に集計してもマクロ経済の動きを説明できるわけではない、という指摘である。ところが、代表的経済主体という概念が理論的弊害をもたらすのは、何もマクロ経済学に限ったことではない。この指摘は『マクロ経済』を『市場』に置き換えても成り立つ。すなわち、ミクロ経済学に対してもそのまま当てはまるのである。今回は、代表的経済主体という概念の弊害については繰り返さず、新古典派ミクロ経済学が抱える別の根本的な問題点について考察し、それを超克するための一つの試みとして、筆者らが構築したエージェントベース・モデルを紹介する。従って、今回は経済物理学特有のデータ解析の紹介ではなく、理論やモデルに重点を置くことになる」などとしている。

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