早読み行政誌

「里の仕事人」過疎化に取り組む(2011年2月28日〜3月4日号)

地方行政

【2月28日号】 連載「自治体の防災危機管理」の10回目は、「市民参加で防災条例を作ろう(上)」。近年は、自治体のさまざまな条例制定過程で、広範な市民が参加して議論されるようになり、中には公募委員だけで条例の検討会が構成されるケースもあるとか。委員の多数を公募すると自治体の事務的負担は増える半面、民主的プロセスが徹底されるとともに、市民ニーズを条例案に反映させやすくなるといったメリットがある。特に防災に関しては、市民が自ら備える活動が重要なので、条例の制定過程にはできるだけ多くの市民が参加することが望ましいという。委員の公募だけでなく、市民アンケートやパブリックコメントの募集などで市民の関心を高める。こうして市民と共に時間をかけて条例作りをすれば、条例の実効性の確保にも生きてくるわけだ。

【3月3日号】 特集で、過疎化・高齢化が進む農山村地域に職員を「里の仕事人」として配置し、定住環境の整備や雇用機会の創出などに取り組む京都府の「地域担当職員制度」を取り上げている。2010年度からスタートしており、府によると、都道府県が職員を地域振興担当として派遣するのは全国でも初めてという。派遣された職員の一人は「仕事人はサラリーマンや自営業者などさまざまな人が相手となり、一般の住民がどういう思いを持って地域の活性化に取り組んでいるのかを知ることができ、勉強になる。仕事人として何年地域に関わることができるか分からないので、次代を担うリーダーを育てていくことも使命」と、仕事人にやりがいを感じている。

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内外教育

【3月1日号】 4月から小学校で英語教育が始まる。そんな中で、品川区立小山台小学校の先進例が紹介されている。この小学校は、2002年度に国際理解教育推進校として指定を受け、区教育長の「使える英語を義務教育でたたき込め」という指示の下に突き進んできた、飛び抜けた存在だ。「そこまでやるのかよ」という思いと、「ますます学校間格差が開くな」という懸念を直感するかもしれない。

【3月4日号】 中高年の男性の中に、あんな風に英語が話せたら、と思い英語の勉強をした人が確かに存在する。あんな風に、とは、同時通訳者としてテレビで活躍していた鳥飼玖美子さん。今も英語講座で活躍する姿が見られるが、本業は立教大学教授。英語教育の第一人者だ。4月から始まる小学校への英語導入に反対を貫いてきた。その鳥飼さんはインタビューで「付け焼き刃で英語を教えないでほしい。『先生はできない』というのを子供にも見せたらいい」と突き放す。明治時代に小学校では英語を教えられない、という結論を日本は既に得ているとまで言う。「しゃべれる英語を」という大人の身勝手な世論に押されて行き着いた現状を、一刀両断にした。

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厚生福祉

【3月1日号】 1月の菅再改造内閣発足に伴い厚生労働副大臣に就任した大塚耕平氏へのインタビューを特集。年金改革はじめ社会保障制度改革への考え方を聴いている。主要省庁の2011年度予算案詳報の連載最終回は環境省。化学物質の子供への影響調査、環境関連ビジネスの育成支援策などに重点を置いていることが分かる。都道府県政令都市の2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載を開始。初回は滋賀県、岡山市、徳島県を取り上げる。「海外トピックス」では英国政府が定年退職制度を今年10月までに完全に廃止することになったことなどを取り上げる。

【3月4日号】 社会保障制度改革のとりまとめに裏方として支える中村秀一・内閣官房社会保障改革担当室長にインタビューし、4月に基本方針、6月に税との一体改革案を取りまとめる方針で事務的な準備を進めていることを明らかにしている。厚生労働省が2月17日に発表した09年10月時点の介護サービス施設・事業所調査の結果を詳しく解説する。都道府県政令都市の2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載2回目は大阪市、愛媛県、福岡県を取り上げる。

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税務経理

【3月1日号】 「2011年度税制改正と今後の展望」の第4回は、総務省担当職員による11年度地方税収の全般的な動向に関する解説。同年度税制改正では、地域主権改革を推進する中で地方がその役割を十分に果たすため、法人実効税率の引き下げなどが地方税収に与える影響を極力少なくするような配慮がなされた。この結果、給与所得控除や退職所得課税の見直し、法人税の基本税率の引き下げなど国税の税制改正に伴う影響を加味した地方税全体の増減額は、初年度で4億円減、平年度ベースで328億円増(地方法人特別譲与税への影響額も加えると、初年度111億円増、平年度1177億円増)となっている。

【3月4日号】 「2011年度税制改正と今後の展望」の第5回(完)は、財務省の担当者が11年度税制改正大綱の「基本的な考え方」などについて解説を加えている。大綱は、「デフレ脱却と雇用のための経済活性化」「格差拡大とその固定化の是正」「納税者・生活者の視点からの改革」「地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革」の四つを柱と位置付け、併せて税制抜本改革の一環を成す緊要性の高い改革を実施するなどとした。税制抜本改革については、昨年10月に「政府・与党社会保障改革検討本部」が設置され、▽社会保障の安定・強化のための具体的制度改革案とその必要財源を明確にする▽財源の安定確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革─という目標に向けて、現在も検討作業が続けられている。

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金融財政ビジネス

【2月28日号】 「駆け込み需要の反動でマイナス成長」と題して2010年10〜12月期の国内総生産(GDP)1次速報値について分析した記事を掲載した。同記事によると、「内閣府が2月14日に発表した10年10〜12月期の国内総生産(GDP)1次速報値によると、物価変動の影響を除いた実質GDPは前期比マイナス0.3%、年率換算ではマイナス1.1%と、5期ぶりのマイナス成長だったが、民間予測平均の年率マイナス2.13%に比べると、小さい落ち込みにとどまった。これで10年の暦年値が明らかになり、日本が経済規模(名目GDP)で中国に追い抜かれ、米国に次ぐ世界第2位の座を明け渡したことがマスコミで大きく取り上げられた」などとしている。

【3月3日号】 「『特許審査ハイウエー』などの推進に意欲」と題して、知的財財産権について有識者や専門家に連続インタビューする「IPフロントランナー」の第9回として、特許庁の南孝一特許技監に登場してもらった。同記事によると、「南技監は、2008年の全世界の特許出願件数が1995年に比べ約1.8倍にまで増加していると指摘。そうした中、日本の出願件数が減少傾向にあることについて『それをもって、研究開発力の低下に危機感を持つのは妥当ではない』との考えを示した。また、南技監は日米欧などの各国当局が特許に関する審査データを利用し合う『特許審査ハイウエー』、同様の目的で設立された日米欧中韓による『五大特許庁会合』の現状と見通しを説明。その上で『特許制度の統一や調和の議論に積極的に取り組んでいきたい』と意欲を語った」などとしている。

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