早読み行政誌

「闘う知事会」正念場(2011年3月14日〜3月17日号)

地方行政

【3月14日号】 「内政フォーカス」が、4月に会長が交代する全国知事会を取り上げている。現会長の麻生渡福岡県知事は、4月10日投開票の知事選に出馬せず今期限りで引退。これに伴い、会長職も自動的に退くことになる。会長選挙のスケジュールは、同12日告示、同19日告示締め切り、複数立候補の場合は同26日の知事会議で投票となる。会長職はかつて「親睦団体のトップ」のような位置付けだったが、小泉内閣時代の「三位一体改革」から劇的に変わった。梶原拓前会長(前岐阜県知事)が「闘う知事会」というスローガンを掲げて激しく国に対抗したように、現在は他の地方関係団体や自治体の意見をまとめ、利害を調整して国との交渉に当たるとともに、必要があれば声明を出して情報発信する重責も担う。知事会を取り巻く現況は、三位一体改革の頃に勝るとも劣らないほど厳しく、新しい知事会長は就任早々から手腕を問われる。

【3月17日号】 特集は「地域イノベーションにおける『産学官金』連携」。産学官金連携とは、地域金融機関の参画による産学官連携活動のこと。産学官連携活動は規模の大小や行政の関与の仕方に違いはあれ、全国各地で多数の取り組みが行われてきた。主役となるべきは「産」であり、その多くは地域に拠点をおいて活動する中小製造業だ。しかし、産学官連携活動は全体的に見て十分な成果を上げているとは言い難い。そこで、最近では産学官連携に対して金融機関が果たす役割が注目されているという。開発資金の円滑な供給はもちろんとして、技術に関するニーズとシーズの橋渡し、ビジネスフォーメーションの構築に向けた企業間のマッチング、新しい市場への進出や販路開拓の支援などが期待される役割で、経産省はここ数年、地方経済産業局単位でこうした活動のてこ入れを進めている。

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内外教育

【3月15日号】 学力を上げる。教師の重大な任務だろう。ICTを使って成功した東京都日野市立平山小学校の実例が、校長先生によって報告された。「学力を上げたいという一心で」という見出しが、学校全体が一丸となって取り組む重要性を示している。筆者の校長先生、五十嵐俊子さんは中教審委員の新メンバーの一人。こうした現場の経験を、文教政策形成のプロセスにもフィードバックしてほしい。

【3月18日号】 先生の指導観が「学習支援」から、基礎の反復習得という「訓練」に変わってきているという調査結果が明らかになった。ベネッセ教育開発センターが実施した「学習指導基本調査」は、教育現場が学力重視にかじを切り、訓練を中心とした授業になっている実態を裏付けたという。小中学校とも「可能性を開花するのを支援する」教員が減少、「大人になるため必要なことを教え、訓練する」教員が増加した。訓練派は小学校で43・9%、中学校で61・0%になっている。

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厚生福祉

【3月15日号】 連載「進む営利法人の『福祉参入』」3回目は介護報酬の仕組みを解説しながら、一般企業とは異なる介護経営の特性について検証する。2010年国勢調査結果の速報を都道府県別人口の一覧表とともに掲載。2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載5回目は、京都府、堺市、三重県をとりあげる。

【3月18日付合併号】 東日本大震災関連では、厚生労働省などの動きをまとめたほか、津波の復旧作業にあたる人が気をつけなければならない注意点を掲載。中国医療ルポの連載2回目は、外国人向けに高水準の医療サービスを提供する民間クリニックなどを紹介。社会問題となっている「看病難・看病貴」(治療を受けるのが難しく治療費が高い)解決へ、政府が民間資本導入に力を入れている状況にスポットを当てる。2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載6回目は、福島県、大阪府、山梨県。

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税務経理

【3月15日号】 固定資産税は、土地、家屋、償却資産を課税客体として評価し、その各所有者に課税される。従来、評価は土地を重視して行われてきたが、近年は家屋評価の重要性が着目されてきている。家屋の課税標準の基礎となる「適正な時価」と評価の妥当性をめぐり、課税自治体と納税者との間での紛争が目立つようになっているからだ。新連載の「わかりやすい固定資産税の家屋評価実務・初級編」では、こうした家屋の評価を適正に行って行くための基礎的なノウハウを、自治体の課税実務担当者向けに解説していく。

【3月18日号】 「わかりやすい固定資産税の家屋評価実務・初級編」の第2回は、家屋評価で基準となる「再建築価格」などを取り上げている。再建築価格は、評価対象と同一の家屋を、評価の時点でその場所に建築すると考えた場合の建築費を指す。再建築費はまず、建築資材の種別や等級、施工態様ごとに定められた評点を総合した「再建築費評点数」として表され、これに損耗の状況や需給事情に応じた減点補正などを行った上で、評点数1点当たりの価額を掛けると、評価額が算出される。

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金融財政ビジネス

【3月14日号】 「新たに加わった地政学的リスク」と題して3月の景気動向と金融情勢について分析した記事を掲載した。それによると、「日米欧の先進国による金融緩和政策が生み出した過剰流動性が、国際商品市況の高まり、金融引き締めによる新興国の景気失速リスクといった副作用につながっている。さらに、2月からは中東・北アフリカの政情不安という地政学的リスクも加わり、米国の景気をリードする個人消費の先行きに不安を投げ掛けている。日本では景気対策の縮小で個人消費が支えを失い、輸出の先行きも前述のリスクを抱えて不透明になってきており、いったん弱含んだ景気の動きが『踊り場』で済む保証はないと言えよう」などとしている。

【3月17日号】 「景気回復に寄与した追加緩和策」と題して米連邦準備制度理事会(FRB)が発動した追加量的緩和策の影響などについてまとめた記事を載せた。同記事は、「内外からさまざまな批判も出ていた中、バーナンキ議長率いるFRBは、6000億ドルの米国債を購入するという果敢な追加量的緩和策(いわゆるQE2)を発動した。今日、米経済の指標の中には、強過ぎることが驚きとなるほどのものも散見されるようになっている。そこで、『果敢な政策対応が果たしてこの回復をもたらしたのか?』という問いについて冷静に検討する必要がある」としている。

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