早読み行政誌

兵庫「教育復興チーム」震災現地へ(2011年4月4日〜4月8日号)

地方行政

【4月4日号】 3回連載の「10年以内に財源枯渇、インフラPPP待ったなし」(日本総合研究所)がスタートした。高度成長期に整備された日本の社会資本ストックの多くはこれから一斉に更新時期を迎えるが、地方自治体では、本来は増やさなければならない更新・維持管理経費を、財政難でむしろ削減する傾向にさえあるという。日本総研は、社会資本ストックの更新・維持管理の現状と課題を探るため、自治体に対してアンケート調査を行い、その結果を分析した。それによると、社会資本ストックの更新・維持管理が財政上の課題として「既に顕在化している」と回答した自治体は73%に上り、施設別の深刻度ランキングは(1)公立学校、給食センター等(2)道路・橋梁・トンネル(3)庁舎、宿舎、警察施設、消防施設等──となった。1位に挙げられた公立学校は、地震防災対策特別措置法などで早急に耐震化を図ることとされ、既に国から相当の支援を受けているにもかかわらず、いまだに自治体の大きな財政課題となっている。

【4月7日号】 連載「10年以内に財源枯渇、インフラPPP待ったなし」の2回目は上水道事業を取り上げている。上水道事業は現在、経営上の問題として、(1)職員の高齢化(2)差し迫る大量更新問題(3)悪化する財政状況──の「三重苦」を抱えている。これらの問題は密接に関連しており、日本総研の調査でも、「今後、水道関連施設(取水・浄水・配水・給水施設)が耐用年数を迎え、更新が必要になるのは間違いないが、更新作業に必要な人員は不足しているし、必要な財源も不足している」という実態が浮かび上がった。このような課題を解決するためには、既存の常識にとらわれない複合的な解決策が必要になる。例えば人員問題の解決には、さらなる民間活用や他事業体の活用を進める。既に大多数の自治体が個別業務委託を活用しているが、今後はより包括的な委託形式の導入を進めていくことが求められる。

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【4月5日号】 東日本大震災の「後」を考える。緊急特集「被災後の心のケアを考える」。臨床心理学を専攻する東京女子大学教授前川あさ美さんが、「トラウマ」「PTSD」の用語解説から始める。問い掛けに答える形式で、具体的に話が進む。トラウマを持つ人の反応について、「周りも自分でも否定せずに、そのまま受け止めることが必要」と言う。「トラウマの被害者自身が持つ回復力を信じて」と呼び掛ける。温かいメッセージが伝わって来る。

【4月8日号】 緊急特集の第2弾は「神戸からの伝言」。被災地の教育復興を支援する専門チームが兵庫県教育委員会にある。その名は「EARTH(震災・学校支援チーム)」。このEARTHは東日本大震災発生の6日後に宮城県南三陸町に入り、避難してきた人々が集まる志津川中学校、同小学校を訪れた。自らも被災しながら避難所を切り盛りし、被災者支援に全力で立ち向かう教員の姿を確認した。役場も警察も機能しない中、住民同士のけんかの仲裁まで担う教員たち。疲れはとっくにピークを迎えていた。そんな教員たちに「頑張りすぎては駄目」と神戸の教訓を伝えた。そして、「一日も早く学校を再開することが鍵」と言う。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【4月5日号】 連載「進む営利法人の『福祉参入』」6回目は、介護事業を営む営利法人の有価証券報告書などから各企業のリスク認識をひも解くほか、ニーズが高い訪問看護をめぐる状況を示す。期限ぎりぎりまで揺れた子供手当延長法成立に関する記事や、スリーマイル島原発事故から32年を経た“原発の町”米ペンシルベニア州ミドルタウンのレポートを掲載。2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載9回目は、岐阜県、川崎市、岡山県、福井県を取り上げる。

【4月8日号】 東日本大震災で、福島県の老人保健施設から入所者と職員を千葉県鴨川市に丸ごと移転させる疎開作戦が実施された。特集「東日本大震災」では、大規模災害時の新たな避難モデルになり得るとして注目されるこの作戦を紹介するとともに、被災から移転に至るまでの施設長の手記を掲載した。2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載10回目は、山形県、千葉市、佐賀県。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【4月5日号】 巻頭の「フォーラム」は、3月11日に発生した東日本大震災を取り上げる筆者がこのところ多い。本号では星野泉明治大学政治経済学部教授が「大震災からみえること」と題し、震災当日の帰宅困難問題など震源地から遠く離れている大都市東京の脆弱(ぜいじゃく)さに着目。地域の均衡ある発展と再生のためには、地域が企業や大規模施設誘致に頼らず運営できるよう、税源配分と地方交付税など地方財政制度の見直しが必要、などと提言している。

【4月8日号】 「分かりやすい固定資産税の家屋評価実務・初級編」の第5回では、区分所有家屋の取り扱いや家屋評価救済制度などを詳述している。第5回をもって「家屋評価の基礎」を終え、次回からは木造家屋の部分別解説と評価計算実例に移る。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【4月4日号】 「6月末のQE2終了が視野に」と題して、米国の金融政策に関する分析した記事を掲載した。それによると、「米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月15日に発表した声明文では、景況判断が楽観的な内容に変更され、6月末の追加量的緩和策(QE2)終了に向けた地ならしが行われたとされている。米国の民間部門では循環的な回復局面が定着しつつあり、コアインフレ率は既に底打ちしている。しかし、東日本大震災や中東・北アフリカの不安定な情勢など対外要因が不透明な中、米連邦準備制度理事会(FRB)が出口戦略を急ぐことはないだろう」などとしている。

【4月7日号】 「依然遠い終着点への道のり」と題し、米国の医療保険改革法に関するこれまでの状況と今後の見通しをまとめた記事を載せた。同記事は、「米国で医療保険改革法が成立して1年が過ぎた。具体的な成果が見えにくい中で、世論の評価は依然として分かれたままで、賛否両論が拮抗。改革の本格実施に向けた実務的な準備と、一向に収まらない政治的な論戦が並行して進んでいる。財政再建のためには追加的な改革の必要性も残されており、医療保険改革の完了への道のりはまだまだ遠いと言えそうだ」としている。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは