【4月11日号】 連載「自治体の防災危機管理」の東日本大震災3回目は、「避難所運営の見直し」がテーマ。被災した高齢者が肺炎などで亡くなる「震災関連死」を止めるには、避難所の環境を改善しなければならない。避難所の衛生状況、暖房、食事などが不十分ならば、医療機関がいくら努力しても次々に新たな患者が発生してしまうからだ。避難所を運営するための着目点を挙げると──。まず、運営組織は災害前に決めておくべき重要事項で、学校施設を所管する学校長、避難所の運営を担当する自治体職員、地域住民を代表する町内会長などで構成する。行政が上に立つと、行政への要望・依存型の運営になりやすい傾向があるので、リーダーは住民代表の方が望ましいようだ。また、避難所生活は不便の連続でトラブルはつきもの。初期にきちんと対応しないと、トラブルが大きくなって他の方にも広がっていくおそれがある。秩序維持には、一定のプライバシーが保たれるような配慮も大切だ。さらに、避難者が交代で清掃活動や食事の配布をすることで、自治的な秩序維持機能が高まるという。
【4月12日号】 前川あさ美・東京女子大学教授による緊急特集「被災後の心のケアを考える」2回目は、学校と家庭の連携で子供たちの変化を丹念にフォローすることを訴えている。年代別に幼児から小学校低学年、高学年、そして中高校生まで。発達障害等の傾向を見られる子供は、特に配慮がすることが必要だという。個別のケースに対し、具体的に回答するのが臨床心理学なのだろう。誠実さが文章の隅々に、にじみ出る内容だ。
【4月15日号】 被災後の心のケアは長期戦だ。阪神大震災の時は、症状のピークは1997〜1998年にかけて迎えた。教員は心理学や精神医療に関するプロではない。専門知識があるわけでもない。しかし、被災のダメージを抱える子供たちを見捨てることができようか。「共感を持って対応すること。しんどいときは話を聞いてあげる。そのスタンスさえあれば心のケアはできる」—阪神大震災を経験した神戸の教員チームからの伝言だ。
【4月12日号】 連載「進む営利法人の『福祉参入』」7回目は、引き続き介護事業者の「事業リスク」がテーマ。医療法人、不動産会社など他業態との競合について述べる。東日本大震災関連では、被災地向けの政府の緊急雇用対策第1弾や、放射線リスクに関する専門家のQ&Aなどを掲載。2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載11回目は、栃木県、長崎県、横浜市を取り上げる。
【4月15日号】 東日本大震災で、米国から医療支援に駆け付けた日本人医療者の活動を紹介。「地域を支える」では、弁当屋を通じて引きこもりやニートといった若者の就労支援を行う和歌山県のボランティア団体を取り上げた。3月後期の「社説拝見」は「地震・津波被災、原発災害と闘おう」と題し、被災者支援や災害弱者、放射能による農作物被害や食の安全など、多岐にわたるテーマについて各紙の見解をまとめた。2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載12回目は、静岡県、熊本県、鹿児島県。
【4月12日号】 随時掲載している外部筆者による「直言苦言」では、「改めて考える地方税務の危機管理」と題し、東日本大震災からの復旧・復興への取り組みを地方税務の視点から提起している。新たな危機管理の課題として、今回の大地震で行政情報をハードごと喪失した市町村もある住民基本台帳など自治体が持っている行政情報の管理を取り上げ、リスクを軽減するため、①自治体間で相互に管理する②地方の行政情報を国あるいは第三者機関で管理する─などのバックアップ体制の検討を提案している。
【4月15日号】 各号最終ページに掲載している、自治体などの税務関係者による「私の苦心」では、東京都内有数の人口増地域を抱える都税事務所長が、中高層から高階層を会員制リゾートホテルとして使用する施設の滞納事案への対応を取り上げている。こうした「大型困難事案」に対し、特別班を設け、課税部門と徴収部門が連携し、情報収集から登記簿調査、財産調査を徹底的に行い、会員権の差し押さえを行うなど、滞納圧縮に向けた取り組みを紹介している。
【4月14日号】 「日本経済を一変させた大震災」と題して、4月の景気動向と金融情勢に関する分析した記事を掲載した。それによると、「東日本大震災の発生によって日本の原油調達量が増加、その結果としてエネルギー価格の上昇を引き起こすことは必至とみられる。また、日本からの中間財の供給に支障を来すことなどで、米経済にも大きな負の影響を及ぼすことになろう。被災の程度が大きかった青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県が日本の国内総生産(GDP)全体に占めるウエートは7%程度と比較的小さい。しかし、この地域の情報通信機械や電子部品・デバイスの分野が占めるウエートは大きく、そのダメージは日本の製造業全体に波及する恐れがある」などとしている。
また、「『新たな目』で見られる日本」と題し、東日本大震災に対する世界各国の見方などについてまとめた記事を載せた。同記事は「3月11日、英国や米国のテレビは津波が車や家を押し流すNHKのニュース映像を絶え間なく流し、人々はそれにくぎ付けになった。それから毎日、テレビのニュース番組を日本の災害がほぼ埋め尽くしてしまったかのようだった。各新聞も、残骸となった家々や、その中を両親や兄弟、夫や妻、子どもを捜してさまよう人々の写真に覆われた。震災から数日後、被災地を訪れた東京駐在の英紙タイムズのベテラン記者、リチャード・ロイド・パリー氏は、十分な食料も水もなく、暖房もない寒さの中で暮らす避難者たちの冷静さ、秩序、協力し合う精神や温かさにいたく感動し、記事を『こうした日本人と一緒に暮らせることは、光栄である』と結んでいる。大地震、大津波、さらには福島第1原子力発電所の事故と、幾つも重なった大惨事は、広く世界中に大きな衝撃を与えた。国民のイメージ、政府の役割、大企業の実態、産業界の力──。世界は新たな目で日本を見ている」としている。