【4月25日号】 連載「東日本大震災、阪神からの伝言」が始まった。3月11日に発生した東日本大震災は、1995年の阪神大震災を上回る戦後最悪の自然災害となった。神戸市など局地被害だった阪神大震災と、超広域被害の東日本大震災とはやや性格が異なるが、それでも阪神大震災の教訓が役立つのは間違いない。阪神大震災と同様に東日本大震災でも、帰郷を強く望みながら、故郷の外へ疎開せざるを得ない被災者が大量に発生。既に全国の自治体などが用意した避難施設や公営住宅へ多くの被災者が移っている。仮設住宅の建設も始まったが、故郷の仮設住宅に全員が入居できるわけではない。初回は、仮設住宅を中心に阪神大震災で浮上した難問を紹介する。
【4月28日号】 「東日本大震災、阪神からの伝言」の2回目は、「どう復興するか」がテーマ。大災害の復興には当然のことながら国が手厚い助成をする。それは必要不可欠なことだが、それに依存するのみでは被災地の再生は至難の業。被災地が主体とならなければ、復興は不可能だ。阪神大震災では、国が打ち出したプロジェクトは目立った実績を残さず忘れ去られている。国の熱が冷めるにつれて尻すぼみになったからだという。代わりに、神戸市が力を入れているのが、先端医療の拠点を整備する医療産業都市構想で、復興計画策定の数年後に市が主体となって進めたプロジェクトだ。また、地元から提案された神戸ルミナリエなどの取り組みも、被災地に力を与え、復興に貢献している。
【4月26日号】 臨床心理学を専門とする前川あさ美東京女子大学教授による「被災後の心のケアを考える(下)」は集団でできるケアの意味を考えた。複数の目と専門性でチャックすることは大切なのだが、一方で「集団を対象とした「共有」と「協同」によるケアは、個々の心の傷を深めるようなリスクも伴っていて、配慮と慎重さが必要」と指摘している。
【4月26日号】 連載「進む営利法人の『福祉参入』」9回目は、介護事業者のリスクの最終テーマとしてコンプライアンス(法令順守)を取り上げた。旧コムスンなど実際に起きた介護事業者の不正事件を振り返り、「不正」のリスクをひもとく。「インタビュールーム」は、発達障害者診療で実績のある精神科医の本田秀夫氏。2011年度厚生・労働・環境関係予算の連載15回目は、東京都、神奈川県。
【4月26日号】 連載「検証・租税判決から見た不動産の時価」では、東京都の基準地価を基にして算定された土地の固定資産税評価額(標準宅地の価格)についての取り消しを求める裁判で、標準宅地の価格が適切でないとみなされた判決を、問題とされた幾つかの事項を今後の評価実務にどのように生かすべきかという視点から取り上げている。土地基本法制定以来、固定資産税評価額は公示地価や都道府県の基準地価、不動産鑑定士による鑑定評価額などを基にこれらの価格の7割の水準を目安として決定されている。2002年3月に東京地裁が出した判決は、固定資産税評価額の基礎とされた標準宅地の選定および評点数の付設の双方に瑕疵(かし)があると認定し、従来にはない判断を示した。
【4月25日号】 連載インタビュー「私の来た道 政策当局者の証言」の第1回として「朝日を蹴って日銀へ」と題する記事を掲載、日銀の緒方四十郎元理事に登場してもらった。連載の趣旨について同記事は「終戦から66年近くがたつ。高度成長、石油危機、バブルの崩壊と、さまざまな曲折を経てきた日本経済の舞台裏には、数多くの政策当局者たちの存在があった。活躍した分野はそれぞれ違うものの、当局者たちの半生は日本がたどって来た道の『鏡』ともなり得る。その生い立ちから活躍していた当時などについて、現役を退いた政策当局者に連続インタビューする。これにより、日本経済の来し方を顧み、将来を考えるきっかけとすることが狙いである」としている。
【4月28日号】 「動きだした通貨評議会」と題し、湾岸協力会議(GCC)のメンバー国による通貨統合計画に関するまとめ記事を掲載した。同記事は、「中東の産油国は、政治改革要求のデモや原油価格の高騰などを背景に、最近再び世界的に注目を集めている。ただ、アラビア半島で金融制度の見直しに関する歴史的なプロジェクトが進行していることは、わが国ではあまり知られていない。湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国のうち、サウジアラビア、クウェート、カタールおよびバーレーンは通貨統合を予定しており、実現に向けた準備が進められている。通貨統合を通じた域内共通市場の深化により、同地域への投資需要の増加などの効果が期待される。もっとも、2009年に域内第二の大国であるアラブ首長国連邦(UAE)が計画からの離脱を表明したことにより、計画規模は大幅なスケールダウンを余儀なくされた。また、残った4カ国の中でサウジの存在感が突出してしまったこともあり、加盟国間で計画実現への熱意に温度差が見られるようにもなっている。さらに、バーレーンを中心とする国内動乱もあり、先行きには不透明感が漂っている。本稿では、通貨統合計画の最近の進展状況を整理する。その際、最も重要な先例である欧州連合(EU)との比較によって、通貨統合の実現に当たってのGCCの課題を明らかにしたい」としている。