【5月16日号】 連載「自治体の防災危機管理」の19回目=東日本大震災(7)は「自治体版地震防災戦略の作成」がテーマ。東日本大震災を受けて、自治体の地域防災計画を見直す動きが活発化すると思われが、被害想定の作成は市区町村だけでは困難で、計画全体の見直しには国や都道府県、そして関係機関と協議しなければならないので時間もかかる。そこで今回は、まず自治体が単独でできる重要な項目について集中的に検討し、必要な取り組みを実施することを提案する。具体的には、国が平成17年3月に定めた地震防災戦略の自治体版の作成だ。既に、先進的な自治体は地震防災戦略を策定しているが、東日本大震災の教訓を取り込むことでレベルアップを図る機会にもなるという。
【5月19日号】 連載「東日本大震災、阪神からの伝言」は最終回。東北などの被災地は復興へ向かい始めた。その時、私たちはどう支援したらいいのか。筆者がまず訴えたいのは、東北をどんどん旅行して被災地にカネを落とそう、ということだ。東北に行くことを遠慮していては、復興は絶対に成し遂げられない。阪神大震災でも、道路、鉄道などの交通網を一刻も早く復旧させて人々を呼び込もうと、最大限の力を注いだ。しかし、それでも人々はなかなか神戸に戻ってこなかった。「避難所や仮設住宅で不自由している神戸市民が大勢いるのに、観光なんてとてもできない」と、みんなが遠慮したからだという。しかし、人が来ることで、被災地が見捨てられていないことが被災者に分かるし、復興への手応えも感じることができるのだ。だから、どんどん東北を旅行しよう。
【5月17日号】 学校の先生になるには教員免許が必要だが、この免許は教育学部を卒業している者だけに与えられるわけではない。一般大学で教職課程を履修した者も教員免許を取得できる開放制は、戦後教育の特質として挙げられる。が、その開放制が今後も続くかどうか。教員の資質に多様化をもたらしたとして評価される一方、最近の中教審の議論で開放制が維持されないとの危機感を抱く私大関係者も多い。教員養成をめぐる錯綜する議論を、東京で開かれたシンポジウムから読み解いた。
【5月20日号】 自信をなくした教師の服装は?好評連載「モンスターペアレント論を超えて」の筆者小野田正利大阪大学大学院教授は、緑色のド派手なジャケットで保護者対策の講演をすることがある。なぜか?気持ちがふさぐと、表情や服装にも表れるからだと言う。自信をなくした教師も同じ。ふさいだ気持ちは、子供たちに本当に良く観察されている。さあ、元気を出して!赤でもオレンジでも、イエローでも。カラフルな先生の服装が、教室をきっと明るくする。今回は読むと元気になる「モンスターペアレント論」だ。
【5月17日号】 新潟県中越地震以降広く知られるようになった震災時のエコノミークラス症候群について、東日本大震災の被災地でも調査を続ける新潟大大学院・榛沢和彦医師のインタビュー記事を掲載、直後だけでなく中長期的に留意すべき点などを伝える。連載「進む営利法人の『福祉参入』」11回目は有料老人ホームをめぐり、トラブルの多い入居一時金や、自治体が施設数を制限する総量規制の問題を取り上げた。社会保障と税の一体改革に関連し、厚生労働省の案が12日に示され、全容が見えてきた。その内容や解説をまとめた。
【5月20日号】 東日本大震災で、医療にとどまらず多彩な支援を行った岡山県のNPO法人AMDA(アムダ)代表のインタビュー記事を掲載。阪神大震災での経験も踏まえ、引き揚げのタイミングなど支援活動の重要なポイントを述べている。看護師不足が問題となる中で、わずかながら離職率の低下傾向が続いているという日本看護協会の調査結果を紹介。「2011年度厚生・労働・環境関係予算」の連載17回目は神戸市、北海道を取り上げた。
【5月17日号】 連載「検証・租税判決から見た不動産の時価」では、各論的な内容に一歩踏み込んで、個別具体的な見地から時価評価の妥当性の有無を判示したケースとして、住宅の敷地として利用されている市街化調整区域内の土地の評価をめぐる判例を取り上げた。2010年3月に横浜地裁が出した判決は、土地の地目を宅地と認定した上で、争点となっていた市街地宅地評価法(画地計算法)の適用について、同土地の利用上の制限の態様および程度が「建築基準法の規定から除外された道に沿接する画地」に類似するという理由で、これと同率の補正率により補正した価格を適正なものと認定した。
【5月20日号】 巻頭のフォーラムでは、一橋大学名誉教授の石弘光氏が東日本大震災の復興対策に関連して「復興財源としての増税措置」と題し、財源調達の方策を提示している。それによると、「まず子ども手当などのばらまき政策を見直し財源を確保するのが先決」とした上で、「当面数年間は数兆円規模の復興国債を発行し,しかる後に復興国債の償還のための増税を実施することを併せて検討し、公表する必要がある」と指摘。増税措置に関しては、「法人税減税を凍結しつつ、所得税・住民税、法人税・法人事業税そして固定資産税などに付加税を課し、調達することが現実的」とした。消費税については「社会保障財源として用いるべきで、社会保障改革の恒久財源として充当するしかない」と強調している。
【5月16日号】 「見えてきたのは追加緩和」と題して、日銀が4月下旬に発表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)に関する分析記事を掲載した。それによると、「東日本大震災による経済状況の激変を受け、日銀は4月28日に発表し展望リポートで、当面の景気見通しを下方修正しつつも、2012年度については前年度比プラス2.9%という急回復を予想した。先行きに対して強気の景気シナリオである。ところが、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)コアの見込みは、デフレ脱却に自信が持てないことを示す数字だった。見えてきたのは『追加緩和』という選択肢である」などとしている
【5月19日号】 「イノベーションエコシステムが必要」と題し、知的財産権について有識者や専門家に連続インタビューする「IPフロントランナー」の第10回として、米インテレクチュアル・ベンチャーズ上級副社長兼日本総代表の加藤幹之氏に登場していただいた。同記事によると、「米マイクロソフトの元幹部らが設立した特許管理・投資会社、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)の加藤幹之上級副社長兼日本総代表は、日本企業の技術開発が必ずしも国際競争力の向上につながっていないことについて『研究開発(R&D)投資は活発であるし、特許の出願件数も多いが、開発した技術が新しいビジネスにつながっていないことが大きな問題だ』と指摘。その上で、日本では技術者に加えて会計士や弁護士、技術を『目利きする』コンサルタントなど多くの関係者が集まってビジネスを展開する『イノベーションエコシステム』を構築する必要があると強調する」としている。