【5月23日号】 特集は、5月から県市職員が同一フロアで業務を行っている秋田県と同県横手市の記事。同市にある県出先機関の平鹿地域振興局内に、市の観光物産や農林分野などの部署を移し、県職員と市職員が机を並べて仕事が行える環境を整備。県は「機能合体」と銘打って市町村との間の二重行政解消に取り組んでおり、同一フロアで業務を行う「ワンフロア化」をその目玉と位置付けている。関係者は、二重行政解消と同時に、同じ建物の中に県と市の窓口が設置されることで、住民サービスの向上にもつながると期待しているという。ただ、全く「仕事文化」の違う集団が一緒に働くワンフロア化には、「慣れるのに時間がかかる」というのが県、市の共通した見方とか。このため、県は今年度後半にもワンフロア化を検証して改善に役立てる方針だ。
【5月26日号】 増田寛也元総務相(前岩手県知事)が19日、東京都千代田区の日本記者クラブで、東日本大震災からの復興をテーマに行った講演の詳報を掲載。増田氏はまず、東日本大震災発生以降の日本の状況について、「巨大な津波被害、福島の原発事故、決して東日本だけではない全国的な電力の喪失、とてつもない風評被害、サプライチェーンの寸断。ざっと考えても五つのそれぞれが大変危機的な状況」にあると指摘。その上で、「今の被災地の状況であれば、復旧以前、まだ人命救助の段階ではないかと思われるような気がする」とし、政府に対しも「特に避難所にいる人たちの命を救うということをまず早急にやっていかなければいけない。これはまさに政権の命運を懸けた政治の一番大きな役割だと思う」などと訴えた。
【5月24日号】 新聞を教材として活用するNIEが今年度から、新学習指導要領に基づき教育現場で始まった。そこで、内外教育は隔週の火曜日号で、「NIEここがポイント」の連載を開始した。筆者はNIEの実戦経験豊富な阪根健二・鳴門教育大学大学院准教授。1回目のテーマは「東日本大震災」。題材となったのは、毎日新聞4月25日夕刊(大阪本社発行)1面トップの「12歳 震災日記」。見事な記事さばきで教え込むコツが伝授される。
【5月27日号】 各国の教育事情を分析する「世界の動き」は、内外教育の誌面で長年続く月1回の企画リポートだ。筆者は比較教育学の大学教授陣が中心だが、今回採り上げられたのはフランスの初等教育改革。英米の教育事情はそれなりに伝えられるが、フランスの場合はあまり模範的でもないからかもしれないが、実態は行き詰まりのようだ。フランスの小学校の特長は年間授業日数が少ない。7週間授業が続くと、2週間休むという7・2制。これが今、大問題になっている。国力の発展の基盤を削ぐものとして、「問題の根幹は初等教育」と槍玉に挙がっているのだ。その実情が詳しく伝えられている。
【5月24日号】 東日本大震災の大津波被害は、他の太平洋沿岸地域にとっても人ごとではなかった。震災特集の和歌山県立医大付属病院長インタビューでは、津波被災への備えや、災害支援の課題などを尋ねている。連載「進む営利法人の『福祉参入』」12回目は低価格路線と高価格路線に二極化する有料老人ホームの経営実態に焦点をあてた。このほか、国内では珍しい髄膜炎菌性髄膜炎で寮生活の高校生が死亡した問題や、専業主婦の年金切り替え漏れ問題などをめぐる情報を掲載。
【5月27日号】 通所介護の事業所が介護保険外の宿泊サービスを提供する例が増える中、質の担保のため東京都が独自に基準をつくり報告を義務付けたニュースを、背景となった実態調査とともに改めて詳しく紹介。5月前期の「社説拝見」は「浜岡原発が止まった」と題し、首相の判断に対する評価や、福島第1原発のメルトダウンなどをめぐる各紙の論調を解説した。このほか、社会保障制度改革に関し政府の集中検討会議で示された厚生労働省案、生肉による腸管出血性大腸菌食中毒事件の続報などを掲載。
【5月24日号】 シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」の第18回では前回に続き、棚卸資産の会計処理を規定している国際会計基準(IFRS))IAS2号に焦点を当て、棚卸資産の価額を決定する方法として日本の会計基準でも適用されている低価法を取り上げ、採用の背景や税制上の取り扱いなどについて詳細に解説。特に税制上の取り扱いでは「棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更などの事情によって低下しただけでは、損金に算入できない」ことなどに注意すべきだとしている。
【5月27日号】 巻頭のフォーラムでは、日本不動産鑑定協会副会長の緒方瑞穂氏が「安すぎるものは不安」と題し、死亡者まで出した牛肉の生肉食中毒問題に触れ、「信頼して注文したお客の無念を忘れずに、私たちも安すぎるものは不安という教訓を再確認しなければならない」と指摘した上で、不動産鑑定評価の業界でも導入され始めた競争入札で見られる安価入札について苦言を呈している。「交通費も出ないような価格で入札する意図には、おそらく鑑定評価の『実績』を蓄積する目的もあるのだが、安ければ調査や資料の収集に手を抜きたくなるのは人の常である。こうして不完全な報告書ができあがり、問題が発生することになる。発注者も注意が必要だろう」
【5月23日号】 「ドル下落は止まるか、円はどこへ向かうか」と題して、ドルを中心とする為替相場の今後の動向に関する見通し記事を掲載した。 同記事は「米ドルの下落が止まらない。2008年秋のリーマンショック直後は、世界経済の不安定化により流動性通貨への回避の、いわゆる『世界的なタンス預金化』が起こり、ドル需要が急速に高まった。しかし、それもつかの間、ドルの価値は下落している。昨年の追加量的緩和策(QE2)によるドルの過剰流動性と、米国の景気停滞による低金利の長期化がその背景にある。一方で、同じ流動性通貨として好まれる円は、約16年ぶりに戦後最高値を更新した。この差はどこにあるか。今後、この差はますます広がるのか。あるいは逆転してドル高・円安となるのか。台頭する新興諸国の代表として期待が先行する中国の人民元は、世界をリードする通貨となるのか。突出したリーダーが存在しない『Gゼロの時代』と言われ始めた現在、ドル中心から通貨分散が拡大している為替相場について、ドルを中心に現状と今後を概観してみたい」としている
【5月26日号】 「テロ撲滅に道はあるか」と題して、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害について述べた「新・歴史夜話」を載せた。同記事によると、「倫理・道徳的に考えても、殺人ほど重い犯罪はない。人間の死は自然の循環の中でこそ価値が見いだされることもあるが、人為的に死を他者に強いることは最も嫌悪されるべきことである。本来、生きている人間の生命を奪うことは誰にも許されない。ところが厄介なことに、世の中には、因果関係による理由も、金銭的な問題もなく、ただ連続殺人を行ってしまう青髭ジル・ド・レイのようなサイコキラーもいるのだから、殺人を完全に撲滅することは難しいのだろう。では、同じように無関係な(またはそうと思える)人間を手にかけるテロは撲滅できないのだろうか。国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者が殺害されたという『9.11』事件の決算的なニュースを聞きながら考えたのは、『テロを消すものがあったとしたら、何だろうか』ということだった」などとしている。