【5月30日号】 「自治体による地理空間情報の新たな整備・活用」と題する連載が始まった。ヤフー地図をはじめとするインターネット上の地図サービス利用の定着、スマートフォンの普及による地図サービスの利用デバイスの拡大など、地理空間情報を、いつでも、どこでも、より便利に活用できる「G空間社会」が到来しつつある。一方、自治体に目を転じると、改善に向けた取り組みは見られるものの、全体としては旧態依然のまま。G空間社会における自治体の役割は極めて大きく、自治体の停滞はそのままG空間社会の停滞につながる可能性があるという。連載では、自治体がG空間社会とどのように向き合い、地理空間情報を効率的かつ効果的に整備・活用していくべきかを考察する。
【6月2日号】 民間シンクタンクの東京財団(加藤秀樹理事長)が開講している市区町村職員向け「週末学校」の特別公開シンポジウムが5月21日に東京・赤坂で開かれ、その詳報が特集記事として掲載された。週末学校の目的は、住民を主体とする地方自治の実現と地域活性化に貢献できる人材の育成。今回のテーマは「地方にこそ可能性がある─首長と語る地域の現場と求められる人材」だ。鳥取県智頭町の寺谷誠一郎町長ら現職の3市町長と前市長の4人が自らの体験談を交え、まちづくりの苦労話を披露。各地から集まった29人の研修生や一般参加者が熱心に耳を傾けていた。
【5月31日号】 通常学級に在籍したまま通級指導教室で一部専門的な指導を受けた小中学生が2010年度に6万人を突破した。過去最多を更新し、前年度からとの比較で増加数も過去最多。とりわけ学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)の増加が著しい。文部科学省がまとめた数字を紹介している地味な記事だが、その背後にあるものに深い分析が必要だ。一方で、小中学校に比べ幼稚園、高校が体制整備に遅れが見えると指摘、国公立に比べ私立の体制整備の遅れも浮かび上がっている。教育を真剣に考える人には必読のリポートだ。
【6月3日号】 内外教育の巻頭エッセー「ひとこと」は教育に関する幅広い問題を掲載している。筆者は教育界の大御所が多いのだが、今回の執筆者は大学分野の研究の第一人者だった東京大学名誉教授の天野郁夫さん。関東大震災まで遡り、被災と大学の在り方に言及している。早稲田大学、東京帝国大学、東京商科大学。それぞれの大学が関東大震災とどう向き合ったのか。短く凝縮された内容は、深く考えさせられる大学論だ。
【5月31日号】 連載「進む営利法人の『福祉参入』」13回目は、財務比率分析の手法を用いて介護事業の経営内容をみていく。介護事業ごとの特性や、財務指標の見方のポイントが述べられている。社会保障制度改革では、年金分野に関する厚生労働省案が示された。「地域を支える」は中越・中越沖と2度の大地震を経験した新潟県で被災者支援を行う「新潟こころのケアセンター」を紹介。東日本大震災でも、ノウハウの提供などのサポートが期待される。日本でも生肉を介した腸管出血性大腸菌による食中毒が問題になったが、ドイツで感染者が急増しているというのもやや気になるニュース。
【6月3日号】 社会保障制度改革で、厚生労働省案に続いて民主党の案もまとまり、骨子とともに紹介。児童虐待対策の強化を盛り込んだ改正民法成立や、病院などに対しては緩和する夏期の電力使用制限のニュースを掲載した。経済協力開発機構(OECD)の報告書では、世界で子供のいない世帯が半数を越えたというデータや、育児・保育への公共支出が少ないなどの日本の現状と課題が指摘された。「都道府県・政令都市2011年厚生・労働・環境関係予算」の連載最終回は兵庫県、静岡市、広島県。
【5月31日号】 連載「検証・租税判決から見た不動産の時価」では、個別具体的な見地から時価評価の妥当性の有無を判示したケースとして、隣接している所有者が異なる各土地の固定資産税評価額の決定方法などをめぐり、大阪地裁が2010年2月に出した判決を取り上げた。大阪地裁判決は、隣接している所有者が異なる各土地を一画地と認定して固定資産税評価額を決定したことが適法としたケース。原告、被告の主張とともに、(1)当該宅地の価格と客観的交換価値との関係(2)画地の認定(3)本件価格の適法性─の視点から示した裁判所の判断を解説している。
【6月3日号】 税制をめぐる意見などを載せる「直言苦言」欄では、東日本大震災に関連し、「液状化に伴う固定資産税減免の課題」と題した投稿を紹介。
今回の震災では、被災地域の周辺や、かなり離れた場所でも液状化現象が顕在化したことを紹介する一方、4月27日に施行された地方税に関する震災特例法の適用対象に、液状化による被害が入っていないと指摘、特に土地に対する固定資産税の問題点などを例示し、救済のための方策を求めている。
【5月30日号】 「天然ガスは『早い、安い、優しい』」と題して、東京電力記事を掲載福島第1原子力発電所の事故を受けた今後のエネルギー動向に関するまとめ記事を掲載した。同記事は「『早い』とは、発電所の建設工期が短期であること。『安い』とは、建設コストも資源価格も低価格であること。『優しい』とは、環境面でクリーンかつ大量であること。つまり、ソースは多様で、さまざまな場所で購入できる。これが筆者の考える最良のエネルギーの条件である。これに該当し、原子力の代替エネルギーになり得るのは、太陽光のような再生可能エネルギーではなく、天然ガスである」としている。
【6月2日号】 「持ち直しから腰折れへ」と題して、今年1〜3月期の国内総生産(GDP)1次速報値に関する解説記事を載せた。同記事は「内閣府が5月19日に発表した1〜3月期のGDP1次速報値によると、物価変動の影響を除いた実質は前期比マイナス0.9%、年率換算ではマイナス3.7%だった。前期マイナス成長の後、工業生産の持ち直しを主因に景気は再び拡大し、3月初旬時点での民間予測値の平均は年率プラス1.7%だった。しかし、同月11日に東日本大震災が発生、月末までのわずか21日間でマイナス成長に暗転した。これを一過性とみるか、景気後退とみるか、あるいは潜在成長力の低下とみるか。今後を見据えた景気に対する読みが求められる」などとしている。