早読み行政誌

理科嫌いの先生のゼミ、開講中(2011年6月6日〜6月10日号)

地方行政

【6月9日号】 東日本大震災で被災した岩手県の達増拓也知事、宮城県の村井嘉浩知事が2、3の両日、日本記者クラブで相次いで記者会見した。達増知事は復興を効率的に進めるために「東北復興院」を設置するよう主張。村井知事は、政府の復興構想会議が今月末にとりまとめる第1次提言に被災地の意見を反映させるよう求めた。質疑応答では、政府の震災対応について達増知事が「震災の全貌を把握していない中で、場当たり的に流されているようなところがある。全貌を把握した上で、今必要なのはこれだと徹底的にやっていくことが求められている」と厳しく指摘。村井知事は菅内閣への不信任案否決について問われ、「被災地は待ったなしの状況で、やるべきことが毎日減るどころか、どんどん増え続けている状況だ。与野党が力を合わせていただいて次から次へと行動を起こしていただきたい」と訴えた。

地方行政表紙 地方行政とは

内外教育

【6月7日号】 理科嫌いの先生のためのゼミナールがある。東京学芸大附属小金井小学校の三井寿哉教諭らが中心となって夜の研究会を定期的に開いている。その名も「理科おもしろゼミ」。参加するのは大学の教員や学生、企業人も集まるから多面的な見方や工夫、発想が一気に広がるようだ。こんなゼミで学びの楽しさを経験した教師が、増えていくと理科嫌いの子供たちは減るだろうな、と思わせるリポートだ。

【6月10日号】 日本教育経営学会のシンポジウムが4日、東京都世田谷区の日本大学文理学部のキャンパスで開かれた。公開シンポジウムは「保護者・地域が支える学校運営の可能性を探る」がテーマ。コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度、地域運営学校)のマネジメントの在り方について議論された。一部地域への偏在などが指摘されるが、「関東型」「関西型」に分類されるなどの指摘もされた。地域づくりと密接につながる学校づくり。地域と学校を考える人には、必読のリポートだ。

内外教育表紙 地方行政とは

厚生福祉

【6月7日号】 政府の社会保障改革に関する集中検討会議が、改革案をまとめた。この案で社会保障はどう変わるのか、骨子や解説と併せて掲載。連載「進む営利法人の『福祉参入』」14回目は、上場企業の利益率を中心に、他の業種との比較も交えて点検する。「地域を支える」は医療費削減にも効果を挙げている三重県の「元気づくりシステム」を紹介。東日本大震災関連ではついに、懸念されていた特例上限を超える作業員被曝のニュースも。

【6月10日号】 特別区職員研修所が「孤立対策」をテーマにシンポジウムを開催、他の自治体にも参考になりそうなその内容を紹介する。政府の社会保障改革案では、改めて「子ども・子育て」「医療・介護」「年金」各分野の詳しい内容を掲載。認知症患者の退院支援で、精神科医療と介護の連携が進んでいない実態が厚生労働省の調査で明らかになった。ドイツの腸管出血性大腸菌O(オー)104感染は拡大し、「新種の可能性」との世界保健機関の見解を紹介。

厚生福祉表紙 地方行政とは

税務経理

【6月7日号】 シリーズ「国際会計基準─見方・読み方」の第19回では、過去に発生した費用ではなく、将来発生するであろう費用を先取りして計上する引当金の会計処理を取り上げた。まず日本の引当金の種類、分類、特徴などを紹介した上で、国際会計基準に規定されている引当金と比較。また、東日本大震災に関連した会計処理・税務の参考にしてもらうため、東京電力が5月20日に発表した2010年度決算に触れ、税務上の取り扱いを含め、詳説している。

【6月10日号】 最終ページに掲載の「私の苦心」欄では、「より高度の専門家集団を目指して」と題し、岡山県市町村税整理組合の取り組みを紹介。同組合は一部事務組合として発足。平成の大合併を経て、現在、岡山、倉敷など4市を除く23市町村が加盟している。同県滞納整理機構が個人住民税中心なのに対し、普通税のほか、国民健康保険税などの目的税、介護保険料、後期高齢者医療保険料なども扱い、滞納額の圧縮に向け、職員のスキルアップを図るための研修内容などを紹介している。

税務経理表紙 地方行政とは

金融財政ビジネス

【6月9日号】 「日本は主導的な役割を」と題して、東アジア地域でのリージョナリズム(地域主義・地域協力)の動向についてまとめた記事を掲載した。同記事は「日本政府は菅直人首相が『平成の開国につながる』と唱えてきた環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加の是非を6月に決める方針だったが、3月11日の東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故で決定は先送りされた。しかし、『世界の成長センター』であるアジア太平洋地域をめぐり、経済・安全保障の両側面で米国と中国の間でせめぎ合いが激化しているという、TPP論議の背景にある状況に変わりはない。いずれ日本国内の情勢が落ち着いてくれば、日本政府も態度を決めなければならない。米中の真意を探りながら、TPPや鳩山由紀夫前首相が唱えた『東アジア共同体』構想などのリージョナリズム(地域主義・地域協力)をめぐる動きを整理していくと、日本はこうした共同体構想の中で主導的な役割を果たすべきである、との結論に達した」となどしている。

また、「労働生産性分布を再考する」と題して、連載「経済物理学入門」の第24回を載せた。同記事は「労働生産性の分布は、現在主流の新古典派経済学の是非を問う上で重要な研究テーマとなっている。このテーマは、本シリーズの第2回、13回、14回で取り上げられた。ケインズ的なマクロ経済学の見地から、労働生産性の分布を有効需要に対応した温度(温度が高ければ高いほど需要は大きい)で特徴付ける理論が提示され、わが国の実データの解析により、労働生産性に大きな広がりがある事実が明らかにされた。他方、主流派経済学は代表的経済主体の均衡状態(限界生産に達したパレート最適状態)に基礎を置き、労働生産性のゆらぎを許さない。本稿ではさらに網羅的なデータに基づく最新の解析結果を報告する。労働生産性の分布形状は、製造業では約3000万円/年/人、非製造業では約6000万円/年/人を境にして大きく異なる。主要な低生産性側(労働者数で95%以上)では、物理学上の概念である『負の温度』が有効であることを新たに示す。そこでは、絶対零度が新古典派均衡に対応し、温度の下降が需要不足の拡大を表す。そのような『温度』の実測は、非製造業における(製造業に比べて)顕著に大きい需要ギャップの存在を明らかにする」などとしている。

金融財政ビジネス表紙 地方行政とは