【6月27日号】 長期連載の「自治体の防災危機管理」第24回は「災害時要援護者支援を考える(1)」。東日本大震災では多くの高齢者、障害者、入院患者、そしてその介助者が逃げ遅れて亡くなった。津波から一人でも多く要援護者を助けるためには、何が必要だったのか。一番重要なのは、近所の人が要援護者を把握してすぐに避難するように勧めることだ。しかし、要援護者と一緒に避難しようとしたら、津波から逃げ遅れる可能性が高くなる。実際に要援護者と一緒に被災した人も相当に多いと思われる。ではどうしたらよいか。足腰の弱い要援護者は逃げようと思っても逃げられないかもしれない。そのような要援護者を置いて果たして逃げられるのか。このジレンマを避けるためには、要援護者は津波で被災する危険性の高い場所からなるべく離れた所で生活した方がよいということだ。それは要援護者自身の命を守るだけでなく、介護者、支援者の命を危険にさらさないためでもある。
【6月30日号】 政府の東日本大震災復興構想会議が、「復興への提言〜悲惨のなかの希望」と題する提言を菅直人首相に手渡した。この提言について、時事通信解説委員長は「総花的で、実現に向けた工程表も示されていないなど、拙速の面も否めない」とし、特に復興財源として増税を明記したことに「違和感を覚える」と指摘する。なぜなら、構想会議はまさに復興に向けた「構想」を提案することが最大の任務であり、これに要する財源を考えるのは政府あるいは国会の仕事だからだ。消費税など基幹税の臨時増税で賄うと明記することは「越権行為と言うべきもの」という。まず増税ありきではなく、民主党政権が手を付ける必要があるのは、子ども手当などのばらまき予算の全面見直しであり、最後の最後に国民にお願いするのが増税でなければならないはずだと訴える。
【6月28日号】 総合的な学習の時間が導入されて12年が経過した。それぞれの現場で創意工夫に満ちた実践が展開されてきたのだろう。岡山県浅口市の私立おかやま山陽高校では学外の社会人講師らを招いての44講座を「マイスター・スクール」として実施している。ビリヤード、能、アカペラ、墨彩画など多彩だ。中にはホームヘルパー2級を目指す講座もある。今後は地域住民に向けての講座も準備するそうだ。総合学習の展開は、コミュニティとのつながりを生むのかもしれない。
【7月1日号】 若者のコミュニケーション能力の不足が指摘されて久しい。でも本当にそうなのだろうか。6月末に開かれた日本語教育学会の公開シンポジウムで、面白いやりとりがあった。経団連の社会広報部長は「学生を面接しても日常的なボキャブラリーは少なく、コミュニケーション能力も不足している」と指摘した。一方、文科省の「コミュニケーション教育推進会議」の座長も務める平田オリザ大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授は、コミュニケーション能力はむしろ向上している、と言う。この認識の違いはどこから来るのか。平田教授は「対話」と「会話」、そして社会の在り方までに及んで検討した結果を報告した。
【6月28日号】 「節電」が叫ばれる夏。病院などは政府による電力使用制限の対象から外れたとはいえ、電力の有無が命に直結しかねない場として、電力不足への対応は必須だろう。医療機関や福祉施設の節電対策の第一弾として、東京都の河北総合病院の例を紹介する。連載「進む営利法人の『福祉参入』」17回目は介護職員の給与と生産性がテーマ。低いとされる介護事業の生産性を向上させられるのか、またその必然性はあるのかといった論点が示されている。
【7月1日号】 性暴力被害に遭った女性に一貫したケアを提供する「性暴力救援センター・大阪」1周年の集いが大阪市内で開かれた。その様子をレポートし、こうしたセンターの必要性や運営上の課題などを伝える。東京都のクリニック院長が臓器売買の容疑で逮捕された事件は、改正臓器移植法施行1年を前に、移植医療の現場に大きな衝撃を与えた。6月前期の「社説拝見」は「問われる日本のエネルギー政策」と題し、国際原子力機関(IAEA)による調査報告書やドイツの脱原発政策、また政府の社会保障改革案などをめぐり、各紙の論調をまとめた。
【6月28日号】 巻頭のフォーラムでは、弁護士の相原佳子氏が「東日本大震災と法律家の役割」と題し、同震災の被災者を対象に、相続放棄の手続き期間を11月末まで延長する民法特例法(議員立法)が、6月に成立したことを受け、同特例法を評価するとともに、政府提案で主体的に対応すべきだったと苦言を呈している。特例法は、通常は親族の死亡から3カ月以内に相続を放棄しなければ、資産、負債とも自動的に継承することになるが、期間延長により負債の相続を回避しやすくするという内容だ。筆者はさらに「関係各省庁は、被災者の方々が法律的な問題でさらなる困難を負うことを少しでも防ぐ手だてを、早急に検討してほしい」としている。
【7月1日号】 最終ページ掲載の「私の苦心」欄は、「『取る』か『押さえる』か」と題し、宇都宮市納税課の取り組みを紹介。筆者の納税課長によると、「今の職員に求めるのは『取る』『押さえる』の判断の早期徹底」とした上で、「よく『取る・押さえる・落とす』という言葉を耳にするが、これは3、4年という異動サイクルで循環する市町村職員にはなじまない。百戦錬磨の滞納者相手に全うな納税指導をするのは難しい」と指摘。「真摯(しんし)に滞納者に納付を要請し、徹底的に財産を調査した上で、職員のモチベーションを維持し、他の納税者との公正を図るためにも、一丸となって『取る』か『押さえる』かの姿勢で乗り切っていきたい」という。
【6月27日号】 「米金融界はどう変わるのか」と題して、米金融改革法(通称ドッド・フランク法)が同国の金融界などに及ぼす影響等に関するまとめ記事を掲載した。同記事は「2010年7月21日に成立した金融規制改革(ウォール街改革および消費者保護)法(「ドッド・フランク法〈以下DFA〉」とも呼ばれる)は、PDFファイルで848ページ、1601条に及ぶ膨大なものである。DFAが成立してもうすぐ1年が経過しようとする現在、米国の金融界がどのように変わっていくのかについて検証する」としている。
【6月30日号】 「震災で試される『日本株式会社』の力」と題して、主要企業の2011年3月期決算に関する記事を載せた。同記事によると、「11年3月期の企業業績は、自動車や電機などの業種を牽引役として、リーマン・ショック前の08年3月期以来となる3年ぶりの増収増益に転じた。新興国を中心とする海外経済の好調さに加え、家電エコポイント制度など国内経済対策の効果が大きかった。しかし、11年3月期決算で部分的に顕在化した東日本大震災の影響は12年3月期に本格化。サプライチェーン(部品供給網)の寸断や電力不足で、企業業績の回復は足踏みしそうだ。『日本企業の復興力』(高品佳正大和証券キャピタル・マーケッツシニアアナリスト)が試されているとも言える」としている。