【7月11日号】 北九州市は、節電協力の一環として7、8月の2カ月間を「ノー残業月間」と定め、時間外勤務の削減に全市を挙げて取り組んでいる。特定の曜日を決めて行う「ノー残業デー」や、1週間単位の「ノー残業ウイーク」を実施している自治体や企業は多いが、月単位で行うのは極めて珍しい。記事によると、この取り組みは、北橋健治市長が6月定例議会で表明したが、「事前に聞いていなかった」「9月議会の準備や来年度予算の準備作業があり、無理じゃないのか」などの声が続出し、庁内は蜂の巣をつついたような騒ぎになったという。実施に当たって懸念されているのは、職員が退庁した後に中央省庁や県などから、問い合わせや連絡があっても対応できない点だ。労組からは「たまった仕事は誰も片付けない。(仕事の)質は落ちる」との指摘も出ている。スタートから2週間、成果はいかに。
【7月14日号】 特集記事は、2日に開催された日本自治学会の震災復興シンポジウムだ。片山善博総務相の基調講演に続いて、神野会長、西尾勝東京市政調査会理事長、室崎益輝関西学院大教授、森民夫全国市長会会長(新潟県長岡市長)によるパネルディスカッションが行われた。片山総務相は復興の基本的な枠組みについて、被災地を一律に考えるのではなく、地域それぞれの個別事情に応じ、市町村が主体となって計画を立てるべきだとの考えを示した。発生直後にヘリコプターで津波に襲われた海岸線を視察し、「岩手県や宮城県北部のリアス式海岸と、仙台市周辺の平野部、さらに南の福島県まで、被害の状況を一様に捉えることはできない。入り江ごとに地域は分断され、面的にひとくくりにした復興はできないと、その時に思った」と言う。討論を通じ、▽復興計画の策定は国がリードするのではなく、市町村が主体となって住民の理解を得ながら進める▽全国一律の規制を被災地では特区制度などを通じて弾力運用する──ことなどが提言された。
【7月12日号】 「銀の匙」を中学の3年間かけてじっくり読み込む授業で、灘の名物教師だった橋本武さんが27年ぶりに教壇に復活した。橋本さんは今年で99歳。「学ぶ」を「遊び」ながら、自分で考える授業を展開。授業時間が残り30分を切ったところで、思い出したようにプリントを取り出した。銀の匙の第1章を朗読した所で宿題を出した。「夏の間、それぞれ自分の『銀の匙』を書いてください。文集にしてお返しします」進学校として君臨する灘の秘密が少し分かった気がする。巻頭のインタビューも灘の校長。本物の中高一貫とは何かが語られている。
【7月15日号】 節電。教育現場でも当然、キーワードになっている。兵庫県豊岡市では市内の40の公立小中学校で2006年4月から節電に取り組み大きな効果を生んでいる。節電で浮いた電気料金の半額を学校と市がそれぞれ受け取る「フィフティ・フィフティシステム」。昨年は05年比で10%の節電効果があり、67万余円が節電で効果を上げた小中学校34校に還元された。取り組みの詳しい様子をリポートした。
【7月12日号】 「メタボ健診」として知られる特定健診および特定保健指導は、3年間の実施状況を踏まえた制度の見直しが始まっている。巻頭言で、全国社会保険協会連合会の伊藤雅治理事長が、治療中の人に対する保健指導が医師任せになっており、地域の保健師や管理栄養士らが関与できないという制度上の課題を指摘。また、受診率や受診の利便性の向上に向けた厚生労働省の見直しの方向性に関する記事も掲載した。連載「進む営利法人の『福祉参入』」19回目は、売り上げを決める要因をひも解きながら、介護事業を営む上場企業の売り上げが伸びた背景を探る。
7月15日号 東日本大震災では被災地域の広さや交通アクセスの問題がネックとなり、活動したボランティアは阪神・淡路大震災の3分の1にとどまるという。ボランティアバス運行などの支援を続ける「ひょうごボランタリーブラザ」の高橋守雄所長代理に、現状の課題や今後の支援の在り方について尋ねたインタビュー記事を掲載。「ボランティアのニーズは変化するがなくなることはない」としている。暴力団がからんだ臓器売買事件が発覚、深刻なドナー(臓器提供者)不足の問題が改めて浮かび上がる中、脳死臓器移植の推進に向けて日韓台が連携を図るというニュース。前回に引き続き、特定保健指導の見直しに関する記事も掲載した。
【7月12日号】 税制をめぐる意見などを載せる「直言苦言」欄では、6月末に相次いでまとまった、政府の社会保障と税の一体改革案および東日本大震災復興構想会議の提言に盛り込まれた消費税増税や基幹税目の臨時増税に関する投稿を紹介。「増税に頼る危うさの中で『光る』もの」と題し、消費税増税に関しては「地方への配分で不透明な点が残る」などと指摘。また、臨時増税に関しても「増税期間が相当長引くことで、景気の下押しが懸念される」とした。その一方で、社会保障と税の共通番号制度を挙げて、「増税という重い選択は、公正・公平な制度と、それに基づく税務の執行によってこそ支えられるはず。そのことを忘れてはなるまい。共通番号制度の導入は、その大事な礎石となる」として、その具体化を求めている。
【7月15日号】 最終ページに掲載の「私の苦心」欄では、「未収金の縮減はノーサイド精神で」と題し、ラグビーチームに例えて秋田市特別滞納整理課の取り組みを紹介。同課は、市税の滞納繰越額の圧縮とともに、増加傾向にある税外収入の未収金の解消に向け、今年度設置された。市税滞納整理のノウハウを税以外の公課の徴収に生かすとともに、所管課担当者の折衝能力向上などのため市債権管理条例の運用の下で債権管理の指導・助言を行っている。「紆余(うよ)曲折は予想されるが、滞納の解消という究極の目標の達成がノーサイドであり、チームで秋田の美酒で乾杯したいものだと考えている」と結んでいる。
【7月11日号】 「世界景気に減速の気配」と題して、7月の景気動向と金融情勢についてまとめた記事を掲載した。同記事は「米国の4〜6月期の実質個人消費の伸び率は前期を大きく下回る可能性が出てきている。インフレ抑制のための金融引き締め策で世界景気に減速の兆しが見えてきており、企業業績にも陰りが出てきている。2011年の成長率は10年を下回るのではないか。一方、日本の実質輸出は5月に増加に転じた。供給力の復活からしばらく増加は続くものの、海外需要の減速から伸び率は鈍化に向かうとみられ、景気の牽引役にはなり得ない。東日本大震災からの復興需要が期待できる設備投資、住宅投資が景気回復を主導することになろう」としている。
【7月14日号】 「欧米が日本発の円高を後押し」と題して、外国為替市場の動向に関する予測記事を載せた。同記事によると、「『人気投票』の観点からすると、低成長、低金利に加えて、見苦しいまでに政治が混乱している日本の円は買いにくい。そこへ米国が追加量的緩和(QE2)を終了させたため、にわかに円安・ドル高期待が広がった。しかし現実には、こうした論理で為替は動いていない。元気のない日本では円高が進みやすく、今日の米国はドル安を必要としている。加えて欧州からはギリシャ発のソブリン問題、金融危機の嵐が近づき、ユーロが崖っぷちに差し掛かっている。あたかも日本発の円高を欧米が後押ししている格好になる」としている。