【7月25日号】 全国知事会(会長・山田啓二京都府知事)が7月12、13の両日、秋田市内で夏定例の全国知事会議を開催した。会議には東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県知事も出席し、東日本大震災の復興や、福島第1原子力発電所事故に対する政府の対応を中心に議論した。特に原発関係では、将来的に原発依存から脱するという「卒原発」構想を嘉田由紀子滋賀県知事が提案。これに対し、伊方原発を抱える愛媛県の中村時広知事が「卒原発という新しい言葉を背負うのは違和感がある」と反論するなど、活発な議論が展開された。また、福島原発事故をめぐっても、政府の対応を「場当たり的」などと批判する声が相次ぎ、首相に事故の説明責任などを強く求める「緊急提言」を知事会として初めてまとめた。
【7月28日号】 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で負傷し、身体障害者手帳を取得した「震災障害者」について、兵庫県と神戸市が初の合同実態調査を行った。調査報告書によると、今後起こる大災害で障害を負った人にとって、最も必要になるのは心のケアだと考えている人が多いとの結果が出た。また、震災当時は約6割の人が行政の対応窓口の存在を知らなかったことも分かった。震災後の復興施策を検証している兵庫県「復興フォローアップ委員会」の室崎益輝座長(関西学院大総合政策学部教授)は「障害者の問題は、実態把握が非常に難しいのが特徴だが、東日本大震災でも同じ問題が生じると予想される。この結果を今後の施策の参考にし、早急に有効な対策を講じるべきだ」と訴えている。
【7月26日号】 日本初の金星探査機「あかつき」の開発に携わった独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の佐藤毅彦教授が理科の授業を出前している。理科の教え方、特に天体でつまずく子供たちが多いのだが、具体的な教え方をモデル授業からリポートする2ページと、インタビューで佐藤教授が科学者としての人生を振り返りながら理科嫌いをなくす方法を2ページにわたって語っている。理科離れが起きる理由がよく分かる、そして、その処方せんまで解読できる特集だ。
【7月29日号】 演技の基礎訓練を基に開発した対人教育「ドラマケーション」をご存知だろうか。「ドラマ」と「コミュニケーション」の複合語だ。元は、放送専門学校の学校法人「東放学園」が、役者が演技に入る前に互いの関係を円滑にする目的で開発したもの。楽しみながら意識せず相手との関係を築く体験型の教育で、受講する児童・生徒が人前で自由に表現できるようになることを狙っている。同学園の子会社が全国の学校に出張講座の講師を派遣中。学校関係者は必読のリポートとなっている。
【7月26日号】 日本栄養士会は東日本大震災の被災地に管理栄養士、栄養士を400人以上派遣した。中村丁次会長による巻頭言は、支援を通じて見えた食料援助の課題や、栄養アセスメントの重要性を述べている。6月後期の「社説拝見」は「原発事故再発防止でIAEA会合」と題し、引き続き原発事故や放射能汚染、再生エネルギー問題のほか、税と社会保障の一体改革、クリニック医師による臓器売買事件などに関する各紙の論調を紹介する。
【7月29日号】 連載「進む営利法人の『福祉参入』」21回目は「居宅系サービスの単位変動要因を見る」。通所介護(デイサービス)や訪問看護など居宅系サービスについて、介護報酬を左右するさまざまな要因を解説する。原発事故に苦しむ福島県でがん陽子線治療に携わる不破信和医師から、放射線被曝に関する見解が寄せられた。避難勧告を出すべき時期は放射線量が高かった3月15日からの1週間であり、現時点での高齢者の避難は再考の余地があること、児童の通学路などで特に放射線量の高い場所(ホットスポット)を減らすべきであることなどが述べられている。
【7月26日号】 最終ページに掲載の「私の苦心」欄では、「早め早めの滞納整理を」と題し、大阪市税務部の取り組みを紹介。2008年秋のリーマン・ショック以降の経済情勢の悪化で税収が落ち込む中で、収納率の維持・向上はいずれの自治体にとっても大きな課題。「滞納整理に近道なし。早め早めの対応が大事」として、大阪市は10年度、収納率が低く、事案数が増加している滞納繰り越し事案について、7月から9月を「滞納繰越分の集中整理期間」と定め、全ての市税事務所で担当者1人当たり100件を抽出して集中的に整理を進めた。その結果、滞納繰り越し分全体の収納率は向上、市税総計の収納率も上昇し、3年間横ばいだった未収金額を約21億円圧縮させることができたという。
【7月29日号】 巻頭の「フォーラム」は、名古屋大学大学院教授の佐藤倫正氏が「原発会計の日米比較」と題して、寄稿。東日本大震災による東京電力福島原発問題に絡み、再処理や処分が極めて重要な原発の使用済み核燃料の扱いが、日本と米国の電力会社の財務諸表にどのように表れているかを分析。米国の電力会社の財務諸表には、①使用済み核燃料の処理に関わる「積立金」も「引当金」も計上されていない(それは使用済み核燃料を一括して軍が引き取って管理しているかららしい)②原子炉解体のための資金が積み立てられているが、日本では積み立てられていない─といった点を例示するなど、興味深い内容となっている。
【7月25日号】 「英語の未来はバラ色か?」と題して、英語の特徴と歴史などについて紹介した記事を掲載した。同記事は「このところ、日本には無防備な形で英単語が入ってきており、日本語はいわば『壊滅状態』にあると筆者は考える。アンジュレーション(undulation=ゴルフコースの起伏)やハッチポッチ(hotchpotch=ごた混ぜのテレビショー)、キュレーター(curator=美術館などの学芸員)、ラビリンス(labyrinth=迷宮)、レアアース(rare earth=希土類)、アバター(avatar=仮想空間上の自分の分身を表すキャラクター)などが代表例である。愛好家や関係者にとっては自明の言葉なのだが、門外漢には意味不明の言葉が氾濫しているようにしか思えない。『研究社新英和大辞典』によると、英語自体が『言語的消化不良の慢性症』に陥っているという。世界中の言葉が次々と英語に取り入れられ、語彙が無限に膨張しているからである。言うまでもなく、英語は国際社会で使用される世界共通言語だが、グローバル・イングリッシュ(グロービッシュ)の将来は果たしてバラ色なのだろうか」としている。
【7月28日号】 「最新鋭機B787の時代が到来」と題して、今秋から日本に導入される米ボーイングの最新鋭中型機の特徴や航空業界などに与える影響などについてまとめた記事を載せた。同記事は「米航空機・防衛大手ボーイングの最新鋭中型旅客機B787『ドリームライナー』が世界に先駆け、いよいよ日本に納入される。55機を発注した全日本空輸は今秋に国内線に投入するほか、日本航空も早ければ年内に国際線に就航させる見込みだ。B787はボーイングが15年ぶりに世界に送り出す最新鋭機。開発スケジュールは当初の計画に比べ3年も遅れたが、先端技術がふんだんに盛り込まれた画期的な機種と言えるだけに、世界中からの期待は大きい。受注数は累計835機にも達しているが、日本製の部品が全体の35%も使われており、日本の航空機産業にとっても重要な飛行機になりそうだ」としている。