早読み行政誌

「ウッドマイレージCO2」税制とは?(2011年8月29日〜9月2日号)

地方行政

【8月29日号】 7月13日に北海道や神奈川県、大阪府など35道府県が設立した「自然エネルギー協議会」に続き、仙台市や名古屋市など17政令指定都市も同27日、同様の組織を発足させた。仕掛け人はいずれもソフトバンクの孫正義社長だ。孫社長は両協議会の事務局長に就任した。東日本大震災に伴う福島第1原発事故を受け、太陽光や風力などの自然エネルギーを使った発電所の普及を目指して一民間企業と地方自治体が手を組んだ。一民間企業の構想に52人もの首長が賛意を示したのはなぜか。ソフトバンクは2万キロワット級の太陽光発電所の建設費用を約80億円と見積もるが、自治体の負担はそのうち1億円程度に抑えるという。低費用で自然エネルギーに参入できるという提案が、財政難にあえぐ身に心地よく響いたことは間違いないだろう。

【9月1日号】 「防災の日」特集として「3・11以後見えてきたもの=自治体連携元年─新時代の幕開け」を掲載。東日本大震災が発生した3月11日以後、世界は大きく変わった──。こう主張する人は少なくない。確かに、政治・行政の姿は大きく変わりつつある。それでは「前」と「後」とではどう違うのか。それを断定するのは時期尚早だが、まだ収束していない原発問題を除いて現時点で考えると、(1)自治体間の相互支援(2)ボランティアの定着──など、いくつかの特徴が浮かび上がってくる。中でも最大の注目点は、自治体間の相互支援が「群生」したこと。国の指示がないのに自治体が自発的に被災自治体を独自支援するという動きが、全国規模で広がった。日本の行政史上画期的なことであり、新たな時代の幕開けとも言える。阪神大震災が発生した1995年は「ボランティア元年」と呼ばれた。ならば、2011年は「自治体連携元年」と呼ばれるかもしれない。

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内外教育

【8月30日号】 3・11をきっかけに防災教育を含めた教育の中で災害をどう受け止めるか、という動きが目立っている。千葉県内で8月に開かれた教研集会でもフォーラムや分科会で話題が集中した。その様子をリポートした。福島県南相馬市の小学校の先生の報告には、「津波で家を流された子が『もう終わったことだから』と書いた」とあった。その先生は「子供たちはいい子過ぎる。発散できないのが心配」と報告した。別の高校教師も「子供たちが大人に気遣っている。大人たちが喜ぶように演じている」と指摘した。いずれにしても。気がかりな報告だ。

【9月2日号】 非常識な要求を突き付ける保護者への対応を考える連載「モンスター・ペアレント論を超えて」は若い教師に向けての対策編となっている。若い教師は親たちから「あなたは子どもを育てたことがないから」と言われて、意気消沈することがよくある。だれでも若ければしょうがない。大学を卒業して、先生になって、結婚して、親になっても働いて……、当然のサイクルなのに、そこを突かれる時がある。「だから教えてほしいのです」。この言葉を発して、次へつなぐ対話を続けることができるようになれば、いいのだが。「ひるまず、うろたえず、次のステップへ」。筆者の小野田先生はこう説いている。

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厚生福祉

【8月30日号】 日本による統治と、その後の国民党政権下での日本語使用禁止、そして民主化。歴史に翻弄(ほんろう)された台湾・台北市に、日本語で運営する高齢者デイケアセンターがあり、戦前・戦後に台湾に嫁いだ日本人妻や日本語世代の台湾人らの心のよりどころとなっている。特集「日本語で高齢者デイケア」は、22周年を迎えた同センターの活動や課題をリポートした。連載「進む営利法人の『福祉参入』24回目は、主要な介護サービスである通所介護について、介護報酬とスケールメリットとの関連を解説する。

【9月2日号】 医療事故で死亡したり重い障害を負ったりした場合に、医師の過失の有無を問わず補償金を支払う「無過失補償」制度について、厚生労働省が検討会を設置し、議論がスタートした。併せて、原因究明・再発防止の仕組みについても検討するという。いずれも医療の質の向上のために重要な制度でありながら、さまざまな事情で実現への道は容易ではなかったことから、今後の展開が期待される。2011年版の「厚生労働白書」は、国民皆保険制度実現から半世紀を迎え、社会保障制度の役割を振り返るとともに、負担と給付に関する意識調査の結果を紹介。現行の給付水準は「維持できない」と考える人が6割を超え、過半数が負担増を容認するなど、現状への危機感が見て取れる。

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税務経理

【8月30日号】 最終ページ掲載の「私の苦心」欄では、「政策税制の創設に向けて」と題し、新潟県の取り組みを紹介。それによると、同県では昨年5月、税務課を事務局に県税制調査会を設置し、県独自の政策税制の可能性や地域主権確立に向けた地方税制のあり方について、調査・検討を重ねている。初年度の検討テーマのうち、「地方における環境税制としてのウッドマイレージCO2に着目した税制」については、既存の税制度を活用した仕組み(グリーン化)の可能性を改めて検討。その結果、不動産取得税において超過課税と軽減措置の政策ミックスを用いることにより、「ウッドマイレージCO2(木材の輸送過程で排出する二酸化炭素量)」の趣旨を生かした仕組みが可能との結論に達し、今年6月に報告をまとめた。

【9月2日号】 資産評価政策学会の今年度通常総会が7月23日開催された。総会で行われたシンポジウム「大震災により生じた不動産評価のパラダイムシフト」などの模様を、同学会理事の武田公夫氏が寄稿。シンポジウムでは、3月の東日本大震災は首都圏においても宅地液状化の被害など地震リスクを再認識させられたとの問題意識から、主に首都圏の不動産市場を対象とし、東日本大震災による価格形成要因の変化を考察。賃貸不動産市場(不動産投資市場)や不動産評価で重視されるリスクの解明に向け、議論を深めた。

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金融財政ビジネス

【8月29日号】 「輸出減で3期連続マイナス成長」と題して、今年4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値に関する分析記事を掲載した。同記事は「内閣府が8月15日に発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)1次速報値によると、物価変動の影響を除いた実質GDPは前期比マイナス0.3%、年率換算ではマイナス1.3%となり、民間予測のマイナス2.8%を上回った。3期連続のマイナス成長にはなったが、マイナス幅が大きく縮小し、政府、民間共に先行きV字回復への期待が高まっている。しかし、需要項目別に見ると、反動増と反動減が入り交じり、基調を捉えにくい状況が続いている。それに、何よりも景気の実感に近いとされる名目GDPの前期比はマイナス1.4%と大幅な減少が3期続いて、2010年7〜9月期の水準から3.8%の低下となった。08年から09年にかけての4期連続マイナス、9.2%低下に比べればマイナス幅は小さいが、ITバブル後の01年の3期連続マイナス、3.5%低下より悪い状況にある。にもかかわらず、与謝野馨経済財政担当相は『景気後退には当たらない』との認識を示している」としている。

【9月1日号】 「店舗からソーシャルメディアへ」と題し、米国の銀行が顧客にサービスを提供するルート(チャネル)に関する最近の動向を解説した記事を掲載した。同記事は「銀行が顧客にサービスを提供するルート(チャネル)といえば、当初は店舗が中心だったが、これにコールセンター、インターネット、モバイルが加わり、さらにネットというルートもソーシャルメディアへと進化してきている。米銀はこうしたチャネルをどのようにして使い分け、または統合的なメッセージを顧客に伝えようとしているのか、最近の動向を探る。米銀行家協会(ABA)では毎年、消費者を対象に『好ましい銀行チャネル』の調査を実施している。以前は店舗が一番人気のあるチャネルだったが、ここ2年ほどはネットバンキングの人気が店舗を上回り、しかもその差は広がっている」としている。

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