早読み行政誌

地域食のテキストを作れ(2011年9月26日〜9月30日号)

地方行政

【9月26日号】 月曜連載「自治体の防災危機管理」の34回目は、建物耐震化の課題と推進政策がテーマ。阪神・淡路大震災の年齢別死亡者数を見ると、高齢者とともに20代前半の若者が多くなっている。地方から出てきて、大学に通うために古い木造アパートの1階に住んでいた学生たちがたくさん犠牲になったからだ。親に負担をかけまいと、住宅費を節約できる古い木造アパートを選んだと思われる。筆者が学生約400人にアパート選びの基準を聞いたところ、耐震性を挙げた人は一人もいなかったという。借主が賃貸住宅選択の判断基準とする不動産広告にも、耐震性の有無は表示されていない。耐震性は、地震国・日本で人命にかかわる重要事項であるにもかかわらず、その表示すらされずに住宅の賃貸借が繰り返されている。耐震性の情報公開が義務付けられていたら、国家の宝となる多くの若者を失うことはなかっただろう。

【9月29日号】 木曜連載「地域力と地域創造」がスタートした。筆者は、食総合プロデューサーの金丸弘美氏。地域の「食」に焦点を当て、これからのまちづくりのためにどう活用したらうまくいくかを各地の事例を踏まえながら検証していく。初回は茨城県常陸太田市の蕎麦を取り上げ、ブランド化に向けた取り組みを紹介している。ブランド化に必要なのは、まず「食のテキスト」の作成だという。例えば、同市のテキストでは蕎麦の品種、栽培の歴史、栽培されている地域と場所、収穫時期、栽培の量、1年間の栽培の暦、栽培から消費者に渡るまでのプロセス、栄養価、蕎麦に関する用語、取り扱いの連絡先、蕎麦栽培の環境、地元での蕎麦の打ち方などが分かる。地域の食を売り出すためには、こうしたベースとなる情報を明らかにした上で、関係者間でその情報を共有化することが大事だ。具体的な特徴が明確に語られていなければ、専門的なメディアは扱ってくれない。ブランド化は、足元の地域調査と連携から始まる。

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内外教育

【9月30日号】 小学校の英語は今春から、5、6年生で必修化された。この必修化に先立ち、東京都品川区立小山台小学校は1年生の時から週1回、学科として「英語」を学んできた。その成果を試すべく、ネーティブスピーカーを相手にした演習に挑んだ。どんな結果だったか。読んでいただきたいのだが、小学生にとっては、名詞は分かっても、形容詞は難しかったようだ。「ホストファミリーと過ごす時間」で、さまざまな問題も浮かび上がった。

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厚生福祉

【9月27日号】 連載中の「検証 租税判決から見た不動産の時価」では、競売で取得した土地建物(ホテル用途)の固定資産課税台帳登録価格が適正な時価を上回っているかどうかが争われたケース(津地裁)を取り上げた。同地裁判決(2008年6月19日)では、固定資産課税台帳登録価格が適正な時価を上回っているとはいえないとの判断を示した。本稿では、判決から読み取る評価実務上の留意点として、(1)競売における最低売却価額および評価額と客観的な交換価値との関係(2)家屋の需給事情による減点補正との関係─など3点を示している。

【9月30日号】 最終ページ掲載の「私の苦心」欄では、「住み良さ日本一を目指して」と題し、秋の国体を控えた山口県の取り組みを紹介。それによると、管内の税額が県全体の約3割を占める山口県税事務所は、滞納繰越額の大半を占める個人県民税の徴収率向上に向け、併任徴収について、県下ブロック担当制から市町への一括併任制に移行し、より機動力を発揮できるようにした。また、本庁税務課の徴収対策班との連携の下、管内で生じた自己破産案件について即日の捜索、売掛金の回収等を実施しており、今後もタイヤロック、インターネット公売等の滞納処分を効果的に行いながら、徴収率向上と滞納繰越額の圧縮に努めるとしている。

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税務経理

【9月29日号】 「不快指数が高い最近の経済変動」と題して、金融危機後の世界経済について分析した記事を掲載した。同記事は「経済活動は変動が避けられないものだが、このところの変動はどれも『不快指数』が高い。金融危機の後の不況は世界で同時に起き、近年になく深刻なものだった。大きな不況の後には比較的強い回復があるという見通しが米国では広く語られてきたが、それは現実にはならなかった。インフレ面で不安含みの動きが見える国もある。欧州では短期金融市場が荒れ始め、リーマン・ショック型の様相を呈している。さらに、米国では突然の景気急減速を示す指標が出て、比較的慎重にみてきた論者でさえ戸惑っている。金融危機の前に『大いなる安定』(Great Moderation)が言われていた状態からは様変わりしている。これは、『安定をもたらす』として称賛を得ていた枠組みであるインフレ目標と欧州通貨統合の見直しにつながりかねない。この枠組みの変化は、さらに市場を揺さぶることになるかもしれず、見極めが必要である」としている。

 また、「有力候補3人の争いに」と題し、来春に予定されているフランスの大統領選挙に向けた野党社会党の候補者争いに関する記事を載せた。同記事は「来年4〜5月のフランスの大統領選に向けて、極右・国民戦線(FN)のルペンが立候補を表明、環境保護政党「欧州エコロジー・緑の党(EELV)」のエバ・ジョリが候補に選ばれたのに続いて、社会党候補選出の戦いが今まさに酣だ。10月9日と16日に社会党の公認候補予備選が行われるからである。大統領選の決選投票では大統領保守派(国民運動連合〈UMP〉)と社会党の一騎打ちになる可能性が高い。7月の社会党の公認候補の立候補締め切りまでに正式に立候補を表明したのは6人、そのうち有力なのはオブリ第1書記、オランド前第1書記、ロワイヤル元大統領候補の3人である。9月15日にフランス国営テレビ『F2』で6者の公開討論会が放映され、社会党予備選の火ぶたが本格的に切られた。視聴率は22.1%と、500万人近くがこの番組を視聴し、高い関心を集めた」としている。

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金融財政ビジネス

【9月12日号】 「日米経済に下押し圧力」と題して、9月の景気動向と金融情勢に関する記事を掲載した。同記事は「2011年上半期の米経済は、個人消費の低迷で大きく減速した。世界景気の減速を背景に輸出の伸びが縮小傾向をたどり始め、企業の景況感も悪化に向かっている。11年の成長率はかなり低いものにとどまろう。一方、日本の7〜9月期の成長率においては外需が大幅なプラス寄与に転じる見通しとなっていることなどから、4四半期ぶりにプラスとなることがほぼ確実な情勢だ。ただし、その先は世界景気の減速を背景に、輸出の伸びは失速し、高い成長率が続くことは期待しにくい」としている。

【9月15日号】 「対応迫られる企業経営」と題し、円高下の日本経済について分析した記事を載せた。同記事は「為替レートがどのように決まるかについては、既に様々なモデルが考えられ、いろいろな説明がなされてきた。長期的には貿易財についての購買力平価が影響しており、中期的には金利差も変動要因となり、さらにより短期ではランダムに動いているという整理もなされている。このように、為替レートには様々な要因が影響を与えており、その中には、先行きの金融経済状況に対する期待の在り方によって瞬時に大きく変化する金利差も含まれる。極めて多数の参加者が毎日膨大な取引を行っている今日の国際市場において、そこで形成される期待を自在に操作するのは決して容易なことではない。こうしたこともあり、当局が効果的な対応策を打ち出すのもなかなか難しいようだ。従って、日々、事業を継続していかなければならない企業にしてみれば、過去に見られたような為替レートの大幅な変動がこれからも繰り返されていく可能性があると覚悟せざるを得ない。その上で、ビジネスの計画を作るに当たって、為替レートが円高・円安双方に振れた場合の代替計画をあらかじめ持っていないといけないようだ」としている。

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