【10月3日号】 中央商店街の空洞化に悩む佐賀市で、中心市街地活性化をめぐるシンポジウムが開かれた。シンポでは、市民が日常的に出入りする公共施設を中心部に誘致する同市の試みが紹介されたほか、駅周辺に市民活動を支援する機能を持たせることで活性化を目指す宮崎県延岡市、古い民宿や住居をおしゃれに改造して住民を増やそうとする山形市の取り組みなどが披露された。それぞれの構想立案に関わった人物による討論は、これからのまちづくりに多くの示唆を含んでいる。延岡市の事例報告では、2月に同市の「延岡駅周辺整備プロジェクト」のデザイン監修者に選任された乾久美子氏が登壇。東京都中央区の「ディオール銀座」などを設計し、新建築賞を受賞している新進気鋭の建築家だ。乾氏の役割は通常の建築家にとどまらず、「市民ワークショップ」などに参加してNPOや市民らのさまざまな提案や意見を調整し、ソフト面を含めたデザインを取りまとめる役割を担うという。
【10月6日号】 人事院は9月30日、国家公務員一般職の2011年度給与について、月給を0・23%引き下げ、期末・勤勉手当を年間3・95カ月のまま据え置くよう国会と内閣に勧告した。平均年間給与がマイナスとなるのは3年連続。月給は、民間の同世代との差が大きい高齢層に対する引き下げに重点を置き、40代以上の俸給表をマイナス改定した。歴代内閣は勧告を尊重する姿勢を示してきたが、今年は前の菅内閣が国家公務員の俸給月額を役職に応じて5〜10%、期末・勤勉手当を一律10%引き下げる特例法案を国会に提出し、継続審議となっている。特例法案で削減される人件費は、東日本大震災からの復興財源として期待されていることなどから、勧告が実施されない可能性も指摘されている。ただ、「ねじれ国会」で同法成立のめども立っておらず、政府内にはまず勧告を優先すべきだとの声もある。
【10月4日号】 「完璧を求めたら今でも学校は再開できていない」——。宮城県気仙沼市教育委員会の及川幸彦副参事は都内で開かれた日本教育社会学会でこう報告した。学校復興はまだ途上。及川氏は3・11当時は気仙沼市立中井小学校の教頭だった。白書にも引用された、同市立階上中学校の卒業生の答辞はこう呼び掛けた。「苦境にあっても天を恨まず、運命に耐え、助け合っていくことが、これからの私たちの使命です」。及川氏は報告の中で「未来を実現する力」を展望した。この厳しい現実の中で育まれていくのだろう。
【10月7日号】 大阪府教育基本条例案が9月の大阪府議会に提出され論戦が始まった。大阪本社発行の全国紙の紙面はこの問題で大盛り上がりだが、東京本社の扱いは極端に冷たい。そこで、本誌は7日号から連続4号でその問題点を取り上げる。舞台は本誌の看板連載企画「モンスターペアレント論を超えて」。筆者の大阪大学大学院の小野田正利教授が「学者としての使命」から渾身の問題提起をしていく。初回のタイトルは、「親も追い詰められ、子どもも台なしに」。
【10月4日号】 超高齢化社会に向け、医療・介護・福祉の連携で高齢者らの在宅療養を支えることは、もはや喫緊の課題となっている。特集記事「在宅看取りで『地域創造会議』発足」は、自宅で穏やかな死を迎えられるような社会システムを目指す滋賀県の取り組みを紹介。県単位でのネットワークづくりは全国でも珍しいという。「動き始めたメディアドクター 医療報道のあり方を考える取り組み」は、医療に関する記事を検証し、報道と医療の現場にフィードバックするという新しい動きについて概説する。「地域を支える」では、国立ハンセン病療養所がある瀬戸内海の長島を「人権の島」として歴史を伝えていく入所者らの活動を紹介する。
【10月7日号】 新連載「12年度介護報酬改定の焦点」がスタート。来年度の改定に向けた具体的な論議が本格化しており、その中で注目されるポイントや、6月に成立した改正介護保険法の内容などについて解説していく。第一回は、過去の介護報酬改定の内容を振り返るとともに、今回の改定について厚生労働省の分科会で絞られた論点を挙げた。「地域を支える」は、東日本大震災の被災地で高齢者らの「自立」を支援する仙台市健康福祉事業団の活動を伝える。
【10月4日号】 最終ページ掲載の「私の苦心」欄では、「税業務の共同化について」と題し、京都地方税機構の取り組みを紹介。同機構は京都府と府内市町村(京都市を除く)の税業務を共同で行っていくための広域連合で、2009年4月から全面的に業務を開始した。特徴は、(1)基本的に全ての滞納案件とともに、市町村の国民健康保険税(料)も対象としている(2)課税事務も、全ての税目を機構で処理していくことを前提としている─こと。個々の自治体の努力に限界がある中で、多くの自治体が協力し合いノウハウを集積することや、共同化によるスケールメリットを生かすことで、納税者の利便性向上や税収確保により大きな効果をもたらすことができるのではないか、としている。
【10月7日号】 巻頭のフォーラムでは、明治大学政治経済学部教授の星野泉氏が「持続可能な地方財政制度を」と題して寄稿。地方税制の国際比較を紹介し、個人所得課税の住民税個人分、法人所得課税の法人二税、財産税である固定資産税、その他の個別消費課税で成り立っている日本の税制に関し、「少子高齢化、経済のサービス化が進行し、農村部では過疎化が著しい。地域再生のためには、企業負担に頼る部分を減らし、住民税を中心に税を集め、自治体として住民に福祉、教育、医療等サービスをしていく循環型の地方財政に変えていくほかはない」と指摘。その上で、「過疎化や高齢化を構造的な変化とみて、構造的財源難は地方交付税で対応する。再分配をモラルハザードなどとあおって、地域住民を無理に頑張らせてはいけない」と強調している。
【10月3日号】 「可能性低い米欧の『日本化』」と題して、最近懸念されている欧米諸国の「日本化」について分析した記事を掲載した。同記事は「現在の米欧諸国の経済状況を見ると、日本と共通した「症状」として、(1)国債利回りの大幅低下(2)金融政策の限界(3)人口動態の逆風──が指摘できる。しかし、米欧諸国はデフレには陥っていないため、実質長期金利を低下させることができており、1990年代の日本のような通貨高にも見舞われていない。米欧の景気回復にいつも以上の時間がかかるであろうことは間違いない。しかし、日本のように『失われた20年』といった事態を迎える可能性は、現時点でそれほど高くないと思われる」としている。
【10月6日号】 「対決姿勢鮮明にしたオバマ大統領」と題し、来年の米大統領選に向けたオバマ大統領の再選戦略に関する記事を載せた。同記事は「再選を懸けた米国の大統領選挙が来年に迫る中、バラク・オバマ大統領が野党共和党との対決姿勢を鮮明にしている。オバマ大統領が前回2008年の大統領選で掲げた『対立の克服』への希望は潰えてしまうのだろうか。鍵を握るのは『政府の在り方』に対する有権者の判断であるようだ」としている。