早読み行政誌

応援職員、3年間派遣を!(2011年10月11日〜10月14日号)

地方行政

【10月13日号】 東日本大震災で大被害を受けた岩手県陸前高田市は、市役所の行政機能が事実上壊滅してしまった。同市はいったいどのような被害を受け、どう対処していったのか。大震災による同市職員の死亡・行方不明者は、295人のうち68人、嘱託や臨時を含めると421人のうち107人と、全体の約4分の1にも達した。中でも、災害対応の中枢を担う防災の対策室と総務課では、職員9人のうち残ったのは3人だけという惨状だった。生存した職員の中にも家族や自宅を失った人が大勢いる。役所機能を回復する上で最も困ったこと・苦労したことは、第一に職員がいないことだった。現在は、新規・中途採用、OBの嘱託採用、現職の勤務延長などで、激減した職員を確保しようとしている。それでも足りない部分を他自治体からの応援職員で補充している格好だ。市は、職員の適正規模を見極める3年間は他自治体から応援職員を派遣してもらいたいという希望を持っている。

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内外教育

【10月11日号】 日本人の2人に1人はががんになり、3人に1人が亡くなっているにもかかわらず、国民の意識は希薄だ。バイエル薬品は子供のうちからのがんに対する正しい知識を身につけることが必要として、学校の授業をサポートするCSR活動を展開している。その一場面を東京都江戸川区立葛西第2中学校からリポートした。講師は今回の福島原発事故で「正しい怖がり方」をネット上でも発信してきた東大医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授。面白いのは、喪失感を疑似体験させる質問を投げ掛けて、死の意味とその逆にある生きる意味を中学生に体験させている点だ。その授業名は「生きるの教室」。

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厚生福祉

【10月14日号】 連載「12年度介護報酬改定の焦点」2回目は、改正介護保険法の内容について詳しく見た上で、その中で柱となっている24時間対応の定期巡回・随時対応サービスに焦点を当てた。来年度の制度改正に向けて必ず把握しておきたい内容だ。「インタビュールーム」は医師不足が特に深刻な青森県の山中朋子・医師確保対策監。医師が安心して働ける仕組みづくりに取り組んでいる。「進言」は、子どものいる女性の就労を支援する京都府の「マザーズジョブカフェ」の取り組みを紹介する。

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税務経理

【10月14日号】 最終ページ掲載の「私の苦心」欄では、「地道な努力の積み重ねこそ原点」と題し、滋賀県の取り組みを紹介。それによると、同県では、2005年度に滞納整理特別対策室を設置し、3年ごとの目標を掲げて、自動車税と個人県民税の滞納整理に取り組んできた。第2期の08年度からは、県内全ての市町と「滋賀地方税滞納整理機構」を立ち上げ、地方税全体の徴収対策での連携支援を推進。3期目に入った今年度からは県税事務所に軸足を移し、地域の実情に沿った市町連携を進める一方、滞納整理特別対策室は、県の徴収対策と市町連携の要の部署として「地方税徴収対策室」に改組。市町と、これからの地方税の効率的な賦課徴収を進める手法として「税務機関の共同設置」導入の研究・検討も始めている。

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金融財政ビジネス

【10月13日号】 「近づく世界同時不況の足音」と題して、10月の景気動向と金融情勢についてまとめた記事を掲載した。同記事は「2008年秋のリーマン・ショック後に各国が取ってきた景気対策の副作用が顕在化してきた。米国では株価の下落が消費者マインドを押し下げ、世界経済の減速が需要減につながり、企業の景況感を悪化させている。今年下期の成長率も低いものにとどまるのではないか。一方、7〜9月期の日本経済は外需の急反発を主因に高成長になるとみられる。しかし、その後は公的需要以外に確実な伸びが見込める項目が見当たらない。このため、今年度下期の成長率もさほど高くなるとは思えない。世界同時不況の足音が次第に近づきつつあると言えるのではないか」としている。

また、「コスト論ではなく安全性重視を」と題し、東京電力福島第1原子力発電所の事故を機に原発の在り方について分析した記事を載せた。同記事は「3月11日に起きた東日本大震災は、1000年余に1度の超巨大地震だったと言われる。被害は想像を絶する甚大なものだったが、そこに東京電力福島第1原子力発電所の事故が加わったことで、日本社会にさらに大きな影響を及ぼすことになった。原発を推進するかどうかは、優れて科学的な問題であると同時に、自然に対する心の在り方にも関わっていると考えられるが、今日の原発をめぐる論争は『コスト論』を軸に進められる傾向が徐々に強まってきている。しかし、福島の多くの人たちが今もなお避難生活を強いられている今回の事故を、コストやベネフィットで判断すべき程度の災害だったと考え、論議するとしたら、あまりにも軽くみていることにならないだろうか。原発問題を考えるに当たっては、コストの検討が先にあるべきではなく、原子力発電という方法が安全なのかどうか、人間が生み出した『科学』を当の人間が制御できるかどうかがまず問われねばならないはずであると筆者は考える」としている。

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